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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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水と土の癒し系達。

(凄い…本当に私、妖精界に来ちゃったんだ…。)

空を力強く飛ぶドラゴンを見ながら思う。
とんでもない世界に来ちゃったな、と。

前世では妖精も魔法も何もかもが空想上の物でしかなくて、小さい頃に誰もが一度は夢を見る「空を飛ぶ」なんてこともこの世界では出来てしまう。

二十五歳の「私」が今や八歳の「私」に。

人生何が起きるか分からない。


「不思議ね…とてもここは落ち着くわ。居心地が凄く良いのよ」

『ふむ。それはお前さんの魔力がこの妖精界に合っているからじゃろう。
ここは魔力の流れに満ちておる。波長が合う者にとったら最高の場所じゃな』

「だからさっきから体がポカポカするのね」


フヨラ様の背中に乗りながら、妖精界の森を探検した私は今は草原の丘で休憩中。
妖精達が用意してくれたナロの実のジュースを飲んでいる。
さっぱりした甘さで凄く美味しい。
今度、妖精達にレシピを教えて貰おう。

心地好い風とともに魔力の流れを全身で感じた。
なんて素敵な場所なんだろうか。


(確かに…これはずっといたくなっちゃうレベルかも。)


ある書物には「一度、妖精界へ足を踏み入れたならば二度と出てくることは無い」と書かれていた。

その書物を書いた人はジュリエ・タナルという有名な絵本作家さんだ。
彼女は妖精達の登場する絵本を描き続け、ついには「妖精図鑑」なんて物まで書いてしまった。

「妖精図鑑」は瞬く間に国中と言わず、国外にまで広まり有名になった。
ちなみに、その図鑑にさっきの言葉が書いてある。

もしかしたら…というか、絶対確実にジュリエさんって妖精界に来てるよね。


「フヨラ様はジュリエ・タナルさんって人をご存知ですか?」

『ジュリエか?勿論、知っておる。あやつは変わったやつだったのぉ…妖精界にずっといて、亡くなる直前まで妖精達の絵を描いておったわい』

「やっぱり…だから、彼女の書物だけが真実ばかりなのね」


妖精達についての情報は彼女が書いた書物以外は全て予想や事実と違う内容が書かれている。
「…だろう」とか「…と言われている」とか。
レインもこれ嘘ばっかりだよ!と前に怒っていた。

ジュリエさんが書いた書物は彼女が亡くなった今でも読まれ続けている素晴らしい物なのだ。

彼女の妖精達のことが大好きで、妖精界も大好きな場所だという気持ちがとても伝わってくる。


『あ。水のやつらが来たー』
『遊びに来たー』
『何でー?』


流れる川の一部が丸く光り、そこから水色の髪と青い瞳をした妖精達が出てきた。

土の妖精に続いて、水の妖精まで…私、運使い果たしてないかな。

水の妖精達は土の妖精達と軽く挨拶を交わしたかと思うと私の頬や髪や手をツンツンと触ってきた。


『お前が土の妖精王を助けた子供か?』
『強い魔力だ』
『私達の王もとても興味深そうだった』
『他の妖精達も興味があると言っていた』
『面白い子供だ』


土の妖精達よりも大人っぽい話し方をする水の妖精達。
図鑑には知的で落ち着いた性格だと書かれていて、何より彼らの一番の特徴が常に無表情だということ。
今も無表情に興味を示されている。

妖精達も属性によってかなり性格が違うのだ。


『土の妖精界の扉がやっと開いた』
『これで行き来が出来るな』
『待ってた』

『僕達も待ってたー』
『扉やっとー』
『嬉しいー』


楽しそうに飛び回る土の妖精達と無表情だけれど楽しそうな雰囲気の水の妖精達。

扉が開いたことが本当に嬉しいというのが伝わってくる。

妖精界は一つだけではなく、それぞれの魔力属性の妖精界が存在しているのだ。
そして、妖精王が成人になって扉が開くまではお互いの妖精界に行き来が出来ない。

簡単に言うと妖精界にも国があって、外交関係があるというわけだ。


『今度、火のやつらが来ると言っていた』
『相変わらず騒いでいた』
『えー火のやつらがー?』
『燃やしちゃわないかなー』
『しんぱーい』

「そんなに元気な子達なの?火の妖精達って?」

『…ずっと騒いでるからのやつらは。元気すぎて困るくらいじゃ』


毛に覆われていて表情は分からないけれど、フヨラ様はげっそりとしている様子だった。

そんな時、水の妖精達に祝いの品として三つの真珠を渡された。
ヒヤリと冷たい真珠は綺麗な輝きを放ち、不思議な魔力を込めているのがすぐに分かった。


「こんな素晴らしい物、頂けませんわ…この魔力は私には勿体無さすぎです」

『私達の王からの贈り物』
『王は土の妖精王の誕生をとても喜んでる』
『だから貰って欲しい』
『感謝の印』

『水の妖精王は前王をとても慕っておったのじゃよ。今度、王と一緒に水の妖精界へ行くと良い。喜ぶと思うぞ』

「…分かりましたわ。では、レインに伝えなければね」


妖精王は亡くなっても、その記憶は次世代へと受け継がれていく。
レイン本人から軽く自分には数千年分の妖精王としての記憶があると話された時は驚いたものだ。

妖精王の彼らの絆の印である真珠をドレスのポケットに大事にしまった。


『では用が終わったので帰る』
『また会おう』
『水の妖精界で待っている』


行きと同じ様に帰りも光る川の中へと消えて行った水の妖精達。

手を降って見送っていると、今度はスゥと四角く光る線が目の前に現れた。
また違う妖精達かと思ったら、はっきり扉の形に変化し、開いた。


「っ、トワ?!大丈夫か?!」
「ごめんなさいトトー!!僕がもっと妖精達にちゃんと言っておけば良かったよー!!」
「ヴァン?!レイン?!」


焦ったヴァン君と泣き気味のレインが勢い良く登場し、反応より先に二人に抱き付かれ、そのまま私は後ろに転んだ。
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