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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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幻想世界。

暗闇の中をずっとずっとずーっと奥深くへと落ちていく。
どのくらい落ちているか分からない。
ただ、光る出口を目指して落ちるだけ。

まず言わせて欲しい。


「長い」


ヒュゥゥゥゥゥと体はどんどん下へ落ち、いつまでも続く落下に飽きて今では身を任せている。
足掻いても上に戻れはしないし。

何故、急に私がこんなことになっているのかをお答えしよう。

朝食を食べながら家族全員にレインとその妖精達との出来事を話している途中にポンッと三人の妖精が現れたのだ。
しかも、実体化しているのでそこにいる全員が妖精を見ることが出来ていた。

反応は様々で、お父様とお母様は喜び、数人の使用人達は驚き慌てふためき、お兄様とヴァン君は固まっていた。

人が大勢いる場所をあまり好まない妖精が現れたことに驚きながらも、私が話し掛けると物凄く可愛い笑顔で言われた一言。


『待てなくて迎えに来ちゃったー』


そこからは一瞬だった。

足元に魔方陣が現れ、私はその中に吸い込まれた。そして今現在。
暗い穴の中をずっと落ちているというわけだ。


『あともう少しで妖精界に着くからねー』
『魔方陣から入ったから入り口が遠いのー』
『いつもは木の扉からー』
『他のトコから入ると遠いー』
『遠いー』


私の体に捕まって一緒に落ちている三人の妖精達は話し方が弛いながらもちゃんと説明してくれた。

普通なら、妖精界へ行くには森の奥深くにある扉を開けて入らなくちゃいけないらしい。
妖精界と私達がいる世界の時間にはズレがあるのだと言う。
こっちの十日間は妖精界では一日分。

なので、時間のズレを補修している扉から入るとすぐ着く妖精界も魔方陣という正規の扉ではない入り口から入ったので、こんなにも移動時間が長いのだ。


「突然、現れたから驚いたわ。皆、サプライズが得意ね」

『えへへー得意なのー』
『僕達、ずっとトワ待ってたー』
『待つの嫌ー』
『王様もすぐ来るー』
『後から来るー』
『『『だから大丈夫ー』』』


小さな見た目に反して、何とも凄い行動力である。


(土の妖精達は他の妖精達よりも自由奔放な性格だって話だけれど…本当みたい。)


彼らの感情(セカイ)は「好き」か「嫌い」かの二択だけで作られている。
だから、彼らが選択に迷うことは絶対に無い。
一度決めたら即実行。

自分の感情にとても素直な子達なのだ。


「急に消えたから皆、今頃騒いでますわよね…特にお兄様が心配だわ」


…暴走的な意味で。

ある程度はレインが説明してくれてると思うから安心しているけれど、あの兄を止めるのは至難の技だ。


悶々と考えていると、グンッと光る出口に体が引っ張られる。
また吸い込まれるんかいっ!

眩しくてギュッと目を瞑ると、数秒後にポワンッとまるでトランポリンの上に落ちた様な柔らかな感触のする所へ落ちた。


『とうちゃーく』
『ようこそ妖精界へー』
『ようこそー』
『フヨラ様ありがとー』


目を開くと、見えたのは幻想的な風景だった。

見たことも無い大きな木や草花。
太陽の光を写す輝く湖。
空には妖精達が飛び交い、動物達は楽しそうに草原を走り回っていた。


「わぁ…なんて綺麗なの…」

『ふぉっふぉっふぉ、随分と可愛らしいお嬢さんじゃないか』

「?!」


そういえば、と私が座っていた場所に視線を落とすと黄緑色のフサフサ毛が動き出した。

その毛の中から顔らしき物を覗かせた何か。
象と同じくらい大きな体と長い毛に覆われて鼻しか見えない顔。少し犬っぽい気もする。


『だから待てと言ったじゃろう。魔方陣で連れて来られて混乱しておるじゃないか』
『だって待てなかったー』
『王様怒るー?』
『フヨラ様怒るー?』
『……王にはちゃんと謝るのじゃぞ』
『『『はーい』』』
『お嬢ちゃんにもじゃ』
『『『ごめんなさーい』』』


三人揃ってペコリと頭を下げるのにキュンとしていると、フヨラ様と呼ばれた犬?象?さんが笑いその振動が伝わってきた。

お、おぉ…揺れる揺れる。


『お嬢さんをずっと待っていたのじゃよ。
ワシはフヨラ。この妖精界の森の番人をしておる者じゃ』

「私を知っているのですか?」

『勿論じゃ。お前さんは妖精界では有名じゃよ。王から話は伺っておる。
ゆっくりしていきなさい。妖精界はお前さんを歓迎しておる』
『歓迎歓迎ー』
『こっちこっちー』
『早く行こー』


そうして、どこへ?と言う間も無く、フヨラ様に乗ったまま森の中へと進んで行った。

色々と聞きたいこと山々です。
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