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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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それは暴走列車と言う。

「まぁまぁ…!可愛く育っちゃって!
しかも、トワより大きくなっちゃうなんて凄いわレインちゃん!!」
「魔力に比例して成長すると聞くが…子供達の成長は嬉しいものだねぇ」


成長したレインを見ても私の親は慌てることも無く、驚くことも無く、落ち着いた反応を返してきた。

今日はお祝いしなきゃだわ!と手を合わせて喜ぶお母様の大物さに尊敬する。

だが、ただ一人。
祝福ムードの中でどんよりとした雰囲気を纏う人物がいた。
今にもこの広い広間の隅でキノコでも栽培しそうだった。

話し掛けて関わるのは避けたいけれど…さっきから話し掛けて欲しいオーラ出しながらチラチラ私を見てくるんだよな。
はっきり言おう。めっちゃ面倒。


「はぁ………………あの、お兄様?」
「…っ、トワァァァ!!」
「ふぎゅうっ」


意を決して、どんよりオーラ駄々漏れのお兄様に話し掛けると余程嬉しかったのか鳩尾に抱き付いてきた。
抱き付くなんて生易しい。タックルされた。

あんた、か弱い乙女の可愛い妹に何してんだ。


「トワ!その子がレインだって?!
じゃあ、昨日まで普通に一緒のベッドで寝てたってことかい?!
ズルいじゃないか!僕だってトワを抱き締めながら一緒に寝たいのに!!」
「あの、いや、ちょ…」
「昔はあんなにトワの方から一緒に寝んねしよ?と来てくれたのに…!悲しいよ僕は!」
「お兄様、えっとだから…」
「そうだ!今からでも遅くない!今まで一緒に話せなかった分、くっつけなかった分、たくさんいよう!!そうしよう!さぁ何して遊ぶふぁ?!」
「一回、落ち着きましょうか。お兄様」


頭の上にチョップを落とす。
少し威力が強すぎたかもだけど、お兄様だし大丈夫だろう。

暴走列車という名のお兄様は痛いと言いながらも嬉しそうに叩かれた頭を撫でていた。
はっきり言おう。気持ち悪い。

いつからドMになったんだ私の兄は。
本当に本当に、残念すぎるイケメンである。


「お兄様…誰に嫉妬してるんですか。レインですよ?」
「…だって、僕とレインはもう既に見た目的に同い年くらいじゃないか。
何で同じ十二歳でも僕は駄目なんだ不公平だ」
「そんな涙溜めた目で見られても一緒に寝ませんからね。駄目です」
「トワァァァ…」


妹がまた反抗期だよぉぉと床に手をついて泣き崩れる兄にドン引きするしかなかった。

それまで隣で静かにしていたリリィとハヤテはお兄様の両肩をポンポンッと優しく叩く。
兄よ…動物にまで慰められてるぞ。


『ほんまにおもろい人やんな、こいつ。
これで社交界では女にめっちゃモテてるから不思議やね』
『そうね。婚約者の人と上手くやっていけてるのが奇跡よ』

「二人とも…」


私にしか聞こえない二人の会話がその通りすぎて笑うしかなかった。

実際にお兄様は社交界では、女の子達にイケメンで優しくて賢い人としてかなり優良物件と認識され、モテまくっている。
そして、何より驚きなのがこんな兄でも大丈夫と言う素晴らしいお心の持ち主の婚約者の人が存在する。

カランさんといって、見た目は黒髪美人で普通の女性だが性格がかなり凛々しい。
乗馬も狩りも剣術もお手の物で、もしカランさんが男の人だったら物凄くモテただろう。

意外にもお兄様とカランさんはとても気が合い、仲が良い。
カランさんはお兄様のこの重度のシスコン性格を知っても「そうか」と一言だけで終わらせてしまった凄い人なのだ。


「こーら、クオンちゃん。
そんな言ってたら、カランちゃんにも愛想つかされちゃうわよ?良いの?」
「う"っ…良くないです…」


母強し。
あの兄をすぐに納得させてしまった。

兄は立ち上がり、目線が殆ど一緒のレインの顔を見て溜め息を溢した。
レインの方は何と声を掛けて良いのかさっぱり分からず、戸惑っている。


「クオン様、あの…」
「良いんだ。良いんだよレイン。僕の負けさ」
「いや。何の戦いですか」


軽くまたお兄様の頭にチョップを落とす。

何、うちの子困らせてるんですか。

トワァァァとまた抱きついてきたお兄様に呆れていると扉が開いてヴァン君が現れた。
泣いているお兄様に驚いたのか入り口近くで立ち止まり苦笑いしていた。


「朝から賑やかだと思ったら、やっぱりクオン兄さんだったか…今回はどうしたんだ?」
「それが…実はレインに関してなんですの」
「レイン?」


不思議がるヴァン君の前にレインを押していくと、途端にえ?という顔をするヴァン君。

そして数秒後には頭を抱えだした。


「……なぁ、トワ。まさか、この年上がレインだとか言わないよな?」
「そのまさかですわヴァン」
「………………」
「ヴァン?あの、大丈夫…?」
「ふっ…良いさ。驚くのには慣れたさ。取り敢えず、トワは…分かってるよな?」


詳しく説明して貰おうか、という逆らえない笑みを向けられたら頷くしかないでしょう。
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