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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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永遠の出会い。〜エイエル視点〜

妖精が現れ、すぐに魔方陣の中へと消えていった我が娘。
ふむ、これは困ったなと顎に手を当て頷いた。


「…あらあら、消えちゃったわ」
「消えてしまったねぇ」


隣に座るユマも落ち着いた様子で紅茶を飲み、娘と妖精が消えていった魔方陣を眺めていた。


(いずれ妖精達にもトワの魔力が相当なものだと知れ渡るだろうと予想していたが、かなり早かったな…。)


雷属性にも関わらず、他の属性との融合魔法などをやってのけてしまう娘は私達両親の誇りだ。

性格も向上心と探求心に溢れ、ヴァンと遊ぶ姿は天使達がいると行っても過言ではない。

そんな娘を溺愛しているのは僕だけではなく、妻も兄のクオンや義弟のヴァンも過保護なくらいトワを大切にしている。
特にクオンは妹離れは永遠に無理だろう。
今も床に向かって号泣している姿を見て再確認した。


「トワが…トワが妖精に連れ去られた…う"ぅ、ぐすっ…」
「あいつ…大丈夫かよ…」


うん。ヴァンも無理そうだね。

二人して顔を青くし、この世の終わりの様な雰囲気を出していた。
連れ去られたって言っても妖精達だから何も心配することが無いのにねぇ。

彼らは一度、気に入ったものはとても大切にする性格だからトワに危害を与えるなんてことは絶対に無い。
妖精界も温かく迎えてくれることだろう。


「もう、二人とも心配しすぎよ。そんなに心配なら今すぐ妖精界に行けば良いじゃないの」
「行くって…」
「レインちゃんと一緒なら扉を潜れるでしょう?それで妖精界に行ったら良いわ」
「っ、ではすぐに迎えに行きます!」
「お前には今日中にやらなければならない仕事があるだろう」
「……何てことだ」


ガックリとまた手と膝を床につけ項垂れるクオンに苦笑いを返す。
僕としては、次期当主としてクオンには教えたいことがたくさんあるから仕事を休むことを容認出来ない。

それを分かっているクオン自身はかなりショックを受けていることだろう。


「レイン、夜になったらヴァンとともに妖精界へトワを迎えに行って欲しい。
今頃は妖精界を案内して貰っているだろうからね」
「分かりました…ごめんなさい。エイエル様、ユマ様。僕がしっかりしてなかったから…」
「こらこら。そんなに自分を責めるものではないよ。トワなら平気さ、僕らの娘だよ?何の問題も無い」


大きくなっても、まだまだ子供らしいレインがとても微笑ましい。
優しく頭を撫でてやるとくすぐったそうにする姿が可愛らしかった。
クオンは恥ずかしがって最近は撫でさせてくれないからねぇ…レインは髪サラサラだなぁ。

柔らかい髪を堪能していると、落ち込んでいたクオンが急に復活して立ち上がった。


「分かりましたよ、お父様!やってやりましょう!すぐに仕事を終わらせてトワを待ってやりますとも!!
ヴァン!トワをよろしく頼むぞ!!」
「しょ、承知し、ました…クオ、ン兄さ、ん」


両肩を掴まれてガクガクと揺さぶられるヴァンの首が心配になるが、仲が良い兄弟達だなと見ていることにした。

クオンは覚悟を決めたのか失礼します!と声を上げ広間から出ていった。本当に優秀な息子である。


「…あの、話は変わるのですがお父様。お父様は妖精界に行ったことがあるのですか?」
「ふむ。ヴァンは何故そう思ったんだい?」
「先程の口振りが妖精界を知っている様な感じでしたので…」
「ふふっ、ヴァンったら鋭いわね。貴方、見破られてるわよ?」
「あぁ、かなり僕らの子供達は優秀な様だね」


ヴァンが疑問に思ったことは当たっている。

僕と妻のユマは過去に一度だけ妖精界へ行ったことがあり、きっかけは幼なじみだった。
彼女は妖精を題材にしている絵本作家で、そいつが妖精ととても親しかったのだ。

その彼女に妖精達が集まる場所があると言われて、連れていかれたのが妖精界。
最初は理解が出来なくて驚いたものだ。
まぁすぐに妻は臨機応変に妖精界に溶け込んだがね。

紹介して貰ったのは火の妖精達で、彼らはとても友好的で話も面白く仲良くなるのに時間は掛からなかった。

だが、ある日突然、幼なじみは事故で命を失ってしまった。
その悲しみで火の妖精達は人間との繋がりを断ち切り、妖精界へ行く扉を固く閉ざしてしまう。
私達は彼らに二度と会えなくなってしまったのだ。


(まさか、私達の娘が妖精達との繋がりを作ってくるとは驚いたなぁ…。)


小さなレインを初めて広間で紹介された時は驚いたと同時に本当に嬉しかった。

妖精界という美しく素晴らしい世界を私達に見せてくれた幼なじみを思い出した。
その世界を私達の娘も見れるなんてこれ以上、嬉しいことは無い。

トワとレインとの繋がりは私達と幼なじみを繋ぐ記憶を呼び起こしてくれた贈り物だと思った。



「妖精界、存分に楽しんでおいで。あそこはとても美しい場所だよ。それにとても心地良い」
「えぇ、絶対に貴方も気に入ると思うわ。ふふっ、トワも楽しんでいるんじゃないかしら?勿論、レインも楽しんでらっしゃいね」


私達が好きだった場所に私達の子供が行くとは不思議なものだ。

あわよくば、過去の懐かしい火の彼らとまた会えたらと願う僕は我が儘かな。


(帰って来たトワの反応が楽しみだ。)


僕とユマは顔を見合せ笑った。
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