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王都ツアー、美少女ガイド付き!はいはい、そんなオイシイ話あるわけ・・・。

「はぁ~、やっぱ、街いいわ~。」


「はぁ~~~、すごい活気だった~。」


さっきまでいた大通りの人込みを後に、待ち娘姿でぶらりお散歩継続中。

もちろん、徒歩で!


「結構楽しかったでしょ、王都も。」


「さすがというか、何というか。にぎわって、品物も安くて種類があって、皆笑顔でって、初体験!」


思わず、身振り手振りもついちゃうぞ!


「国も、結構頑張ってるからねー。」


「うちの領地はやっぱり人少ないし、もっとのんびりしてるもんねー、もう田舎って感じの~。」


「そうみたいねー。うちはもっと商人が幅きかせてるから、駆け引きが熱いくらいよー。」


それ以上胸ははらないでください、カティさん。

うん、わかってるから、我が胸たちよ。


う、うらやましくなんてないんだからね!


「それはちょっと怖いかも・・・。というか、さっきので十分わかったけど。」


「あら、心外ね~。あのフルーツはあれでも高いくらいよ!大丈夫、ちゃんと儲けはでてるはずだから。」


「ちょっと、泣いてたよ、お店のおじさん・・・。」


「ま、一人が買い叩くと、他の客も調子付いちゃうから、引き締めるのが大変だと思うわ~。」


あ、ちょっと痛いとこつかれたって顔したよ、この人!


「そ、そーなんだー。」


「おいしくいただいちゃった、イリスも同罪よ~、おーほっほっほっほ。」


「えぇーー、濡れ衣!?」


「はいはい、でも、あのネコの細工物はお買い得だったんだからいいじゃない。」


「う、確かにあれは。」


あ、一目ぼれしたネコの細工物の値切り交渉、手伝ってもらってた、てへぺろ。


手のひらに乗るくらい小さいのに、目も丁寧にガラスがはめ込まれてたし、フォルムもまた美しくて!!


「イリスも意外と目が高いわよねぇ~。あれ、きっと隠れた名品よ~。」


「そー、なのかな?何となく、惹かれちゃったんだけど・・・。」


「そういう勘が大事なのよ!うちに欲しい人材だわ。」


え、一瞬、目がマジになりましたよね?


「え、えっと、今のところは、遠慮しときます?」


「何で疑問なのよ。ま、困ったら頼むかもって、感じね。」


「は、ははははは。」


「さ、堪能したし、帰りましょっか。」


「だね。」


「馬車でも拾い


きゃあぁぁっ!

おぃ、危ない!

逃げろ!


1歩先でこちらを振り向いた、カティーの向こうに巨大な影が


とっさにつかんだ腕をひっぱり、その勢いのまま体を半回転させて、左側後方へ飛ばした。


あ、そこのお兄さん、カティーよろしく!


ドサッ


ナイスキャッチ!


スローモーションで流れる景色に、勢いを殺せないままもう半回転する体と冷静な自分が取り残される。


あ、馬車が暴走してたんだ。


立ち上がった馬のお腹を見て浮かんだのはそんな事。


せめて、痛くありませんように!


そう祈った瞬間、風にすっ飛ばされた。


と思ったら、誰かの腕の中にいた。



へ?

どちらさん?


「怪我はなかったかい?お嬢さん。」


茶色いローブに隠れた口元からは美声が。


「え、ええっと、ありがとうございました?」


「はは、僕に聞くんだ。」


おぉ!

って、なんで抱きしめられてんのよ!


「はっ!え、あっと、怪我はないです!助けていただいてありがとうございました!!」


そして、一刻も早く、開放して下さい!


「いえいえ、どういたしまして。」


めっちゃ、身を引いてるのに、なんで動かないの。


「・・・。」


「・・・どうかしたのかな?」


「えーっと、そろそろ開放していただけませんか?命の恩人さん?」


早く、離してくださいな。


「君、そこはもうちょっと、こう、運命的なものを感じてみてもいいんじゃないかな?」


「そういう期待をされましても、失礼ですが口元だけしか見えない男性に言われましても・・・。」


不審人物というより、抱きしめられてる状況に頭がパンクしそうなんですがね!


「僕の顔を見たいだなんて、結構言うねぇ~。ちょっとだけだよ。勇敢なお嬢さんに祝福を。」


ちらっと、ローブをあげて覗いた顔は結構な美形さん!?


って、距離がちかっ!


「何をするんじゃあ~~~いっ!」


スカっ!


「何って、祝福のキスだよ。勇敢で幸運なお嬢さん。」


そういって、体を離す、茶色ローブ。


よ、避けられた!?


「なっ、なっ。」


「また今度ね。」


もう一発!

一歩踏み出して!


「イリス!!」


えぇ!

何!!


「あ!カティー!?大丈夫だった?」


振り向けば、真っ青な顔のカティが駆け寄ってきた所で。


「私の台詞よ!!怪我はない?」


「うん、そっちは?」


「えぇ、何とか。あいつがいて助かったわ。」


「あ、やっぱり、知り合いだった?あのお兄さん。」


「!?わかってて、飛ばしたの!?」


「え、いや、飛ばす方向に、こっちに駆け寄りそうなお兄さんがいたから、そっちの方向にっとは思ったけど。」


「あなたって・・・。」


「ん?」


「・・・気にしないで。っで、さっきの茶色いのはなんだったの?」


「茶色・・・!?どこいった~~!!きーーーーっ!!」


「ちょっ、イリス、どうしたのよ!助けてくれたんじゃないの?」


「助けてくれたのはいいけど、あんにゃろ~~、でこちゅーかましていきやがった!!!!」


「で、でこちゅーって・・・。祝福のキス?それくらいいいじゃないのって、許可なく?」


「いきなり。」


「ふ~ん。それはそれは・・・。で、どんなやつだったのかしら、イリスちゃん?」


「ちらっと見た限り、めっちゃ美形だったけど、あれは駄目だ!イケナイ路線だ、あれは。」


「遊び人?」


「と、いうか、たらしを装ってるというか。」


「男としては駄目って感じ?」


「大火傷したいなら別って感じ?」


「人間としては?」


「うーん。雰囲気は悪くなかったような・・・。私を助けてくれたし・・・。ただ」


「ただ?」


「人で遊び慣れてる感が、やだ。」


「・・・そう。とりあえず、帰りましょっか。」


「うん。疲れた。」


「あぁ、後で落ち着いたら、詳しい人相聞くから、忘れないでね。」


「いや、忘れませんから、というか、許してないし。」


「それもそうね。」


少し眉を潜めて、考え込むようなカトリーナに、疲れ果てたアリスは当然気づかなかった。


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