32話 総合防災訓練 運営側
<第一小 PTA役員 円城寺清香>
今日は総合防災訓練、PTA役員は基本参加する。しかし前日の夜、PTA会長の佐伯さんからの連絡があった。
「明日の訓練、息子が具合悪くなって行けなくなったのよ。西地区から一人来てもらうことにしたから、円城寺さん私の配置お願いします」
「佐伯さん、どこでしたっけ。私は4年でしたけど」
「サポートルームと保健室」
「そこも訓練対象なんですか?」
「そうなのよ、サポートルームは事情がある子の部屋だから、やめといた方がいいと、私も言ったんだけど、学校運営委員長がね。どこでも災害は起きるでしょって聞かなかったのよ」
「そうなんですね。わかりました」
学校運営委員会は地域の自治会長みたいなおじいさんがやっているから、子ども個別の事情とか考えられないかもね。
訓練当日9時30分、昇降口前に集まり、訓練に参加する地域の方への説明を学校運営委員長がして、配置を読み上げた。
「1年生~さん…4年生~さんと西地区の方お名前は?」
「柏原です」
「柏原さんね、急遽ありがとうございます。5年生~さん、~さん…6年生~さん~さん、1階保健室とサポートルーム円城寺さん。ではみなさんそろそろ始まりますので、各自持ち場へ着いてください」
昇降口に敷いてある雑巾で靴底を拭いて、靴のまま校内に入る。あ、いつもの癖でヒールできてしまった。このまま校内入るの忘れていた。
「あれ、円城寺さんここは?」
廊下を通る先生に声を掛けられる。
「サポートルームと保健室も対象って聞きましたけれど」
「そうだったんですね」
学校の連絡ができていないみたい。ちょっと引き止められて放送が始まってしまった。
<地域の人 柏原京子(6年1組 柏原美月の母)>
今年は町内会の委員が回ってきて、防災委員をしている。ある夜に、同じ委員の方から連絡が来た。明日の小学校である総合防災訓練、人が足りなくなったので出てもらえないかと。まあ、予定はないから行くけれど。自分の子が行かない行事ってちょっと行きづらいなあ。地域の人は、各教室に配置されるのだけど、私は4年生の担当だそう。
4年、美月が行かなくなった教室かあ…。ちょっと気が重い。
訓練が始まって、子ども達と一緒に避難。まあ特に話すこともないから、すぐに終わる感じよね。校庭でクラスごとに整列している様子を見ると、先生一人、児童一人の組み合わせ、その後ろからヒールを履いた髪巻かれた女性が出てきた。え、あの子は?
思わず手を振る。
「美月」
今日登校しているのは知っていたけれど、サポートルームは訓練しないと思っていた。学校側との連絡の行き違いがあったみたいだけど、大丈夫なんだろうか。帰ってきたら様子を聞いてみよう。




