3話 校長面談 第二小 5年2組 柏原美月
小学校はもう行かないと言ったものの、全く行かないというわけにはいかないらしい。
「生存確認」と言って、定期的に学校と連絡をとったり、年に一度は校長先生と面談をしないといけないと学校から聞いた。
行きたくはないけれど。行かないとお父さんやお母さんが悪いことをしているんじゃないかと思われるらしい。お父さんやお母さんは何も悪くないのに。
そんなわけで、今私は第二小の校長先生との面談に向かっている。
職員玄関の前に職員室があり、その隣が校長室。校長室には、私とお母さんがドアの近くの席に座るように言われた。そしたら二人の先生と思われる大人が入ってきた。
「初めまして、第二小の校長の森田です」
女の校長先生が目の前の席に座る。
「5年2組担任の、上田です。よ、よろしくお願いします」
若い男の先生。
「今日は来てくれてありがとう。ここまで来るのは大変じゃなかった?」
校長先生が私を見て話す。
「別に、第一小と距離変わらないです」
「お母さんも、ありがとうございます。まずは美月さんに色々聞かせていただきますね」
校長先生は母にも目線を向ける。
「学校に行かなくなった時のことは、第一小から聞かせてもらったので、今の美月さんについて聞きますね。
普段、どんなふうに過ごしていますか? 朝何時頃起きるとか、何か好きな事あるかな?」
私は答えに詰まる。学校に行かないと、できることも限られる。
「朝は9時過ぎで、テレビみたり、お母さんがいるときは一緒に出掛けたり。勉強はたまに」
「そうですか。例えばどんなところに出かけるの?」
「普通に買い物、あとは最近は、割引券があるとかで博物館にも行ってみました」
「朝はいつも9時過ぎなの、何か理由があるのかな」
「登校時間だから」
「登校時間?」
「学校行く子に会いたくないから、その時間が終わってから起きる。9時過ぎに、お母さん仕事行くからそれまでには起きるようにしています」
「そっか、今辛い気持ちがあるんですね。では、これまでの経緯について確認させてくださいね。上田先生」
校長先生は、上田先生を促す。
「え、えっと、美月さんは4年生の9月ごろから、クラスメイトとのトラブルがあり登校が難しくなり、休みがちになったとのことでして、名前は・・・」
え?そうなの?そんなこと私言っていた?
「待って、そんなんでしたっけ。確かに意見が合わなかったとは思うけれど」
大人たちが顔を見合わせる。
「ええと、第一小からそう引き継ぎまして・・・」
上田先生は困った様子だ。
「それだけじゃないし、自分でもわからない」
それから定期的に、生存確認する方法が話し合われた。あと教室に行きにくい人が通う部屋も案内され、いつでも使っていいと言われた。そんな部屋があったんだ。第一小にもあったのかな。広くて、思ったより明るい感じの部屋だった。




