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楽になりたかっただけなのに、熊みたいな男に拾われました!~物と話せる不思議な店で人生やり直します~  作者: かゆると


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8/12

〘ドーンザワ商店よ♡〙

男を見送った後

 

私は散らばった木くずを拾い集めながら

ガイルへ声を掛けた。


「棚と扉、後日直しに来てくれるって

 話がついて良かったね」

 

ガイルは面倒臭そうな顔のまま

無言で瓦礫を拾い集めている。

 

「ねぇ」

 

ふと店の入口へ視線を向ける。

 

「このお店の名前って…なんて言うの?」

 

看板を見上げながら尋ねた、その時

 

〘ドーンザワ商店よ~♡〙

 

突然、大きな声が響いた。

 

(……ん?)

 

私は思わず辺りを見回す。

 

けれどそこにいるのは

私とガイルだけだった。

 

「ね、ねぇ…… 今の聞こえた?」

 

そう尋ねると

ガイルは盛大に嫌そうな顔をした。

 

まるで


『出やがった……』


とでも言いたげな顔で。

 

そして何も言わず、顎で上をしゃくる。

 

「……上?」

 

看板へ視線を向けた瞬間…

 

〘どーこ見てんのよぉ♡〙

 

看板の文字が、ふわりと光り始めた。

 

〘アタシよぉ♡ ア・タ・シ♡〙

 

「…………は?」

 

光はゆっくりと人の形を作っていく。

 

男とも女ともつかない 不思議な人影。

 

その光る人形は

ふわふわと宙へ浮かぶと

一直線にガイルの方へ飛んでいった。

 

〘ガイちゃん!!

 相変わらずアンタは愛想がないのよ~!〙

 

ガイルの周りをクルクル飛び回りながら

看板は大袈裟に両手を広げる。

 

〘あんな対応するから

 変人だ何だって誤解されんのよ~?〙


「……ガ、ガ、ガイル?」

 

私は看板とガイルを交互に見る。

 

「看板…… え、なに……話した?」

 

頭が追いつかない。

 

「あ、あの…… どちら様?」

 

パニックになりながら尋ねると

 

〘きゃ~~~♡〙

 

光る人形が嬉しそうな声を上げた。

 

そして………

 

ぎゅうっ!!

 

「わっ!?」

 

いきなり抱き締められる。

 

〘リールちゃん♡ って言ったわよね~♡〙

 

光る人形は頬をすり寄せるようにしながら

上機嫌で続けた。

 

〘あなた最高よぉ♡〙

 

〘ガイルに物怖じしないで

 ちゃんと言い返すし~♡〙

 

〘そ、れ、に♡〙

 

看板はピシッと店の入口を指差した。

 

〘よく弁償の話を出したわねぇ♡〙

 

〘あれ、アタシ感動しちゃった♡

 あなたのこと好、き、よぉ♡〙


「……は、な、れ、ろ!」

 

ガイルが額に青筋を浮かべながら

私と看板を無理やり引き離した。

 

バリッ!

 

「わっ!?」

 

〘やーだー♡〙

 

看板はケラケラ笑う。

 

〘なによぉ♡ ヤキモチ~?♡〙

 

「違ぇ!!」

 

〘ガイル~♡ アタシはあなた一筋よぉ♡〙

 

投げキッスを飛ばしながら

今度はガイルへ抱きつく。

 

「あー……っ!!」

 

ガイルは頭を抱えた。

 

「うるせぇ!!

 まだギンのことが終わってねぇんだ!!」

 

〘あら♡ そうだったわねぇ♡〙

 

(ギン……?)

 

私は首を傾げた。

 

(誰?)

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