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楽になりたかっただけなのに、熊みたいな男に拾われました!~物と話せる不思議な店で人生やり直します~  作者: かゆると


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告白

「リール!!

 本当に良かったぜ~!

 俺もジレンも、ずっと心配してたんだぜ!」


「リールさんが元気になって

 本当に良かった!」


「二人とも、心配かけてごめんね

 毎日、お見舞いに来てくれてたのよね?」


私は二人を見ながら、そっと笑う。


「本当に、ありがとう」


「へへっ!」


「うん!」


その日の夜……


ガイルがたくさんのご馳走を作ってくれて

私の回復祝いのパーティーが開かれた。


「ふん……折れても困るからな」


そう言いながら

ガイルはどこかご機嫌な様子で

私のお皿へ次々と料理を取り分けていく。


「ちょ、ちょっとガイル……

 そんなに食べられないって」


「……いいから、食え」


そう言って、また一つ


〘ガイちゃ~ん♡?〙


バンさんが、にっこりと笑う。


〘…………させないわよ?♡〙


「……………」


〘ガイル~

 何考えてんだ、テメェは~〙


「……うるせぇ」


「…………?」


私は三人を見比べながら、首を傾げた。


(……何の話?)


〘あーぁ、バカ女

 目ぇ覚ましちゃったのねー

 静かで良かったのに〙


ギンちゃんが

ふわふわと私の周りを飛びながら

べーっと舌を出す。


「でも、ギンちゃん

 僕たちが帰る時

 リールさんが起きたかどうか

 毎日聞いてたよね!」


ジレンくんが料理を頬張りながら

何気なく言う。


「ああ、そういやそうだな~!」


ザックさんも思い出したように笑った。


「心配そうに

 リールの部屋の窓を外から見てたもんな~!」


〘なっ……!〙


ギンちゃんの顔が、みるみる赤くなる。


〘ガ、ガイルが!

 元気なかったから!!

 アタシはガイルが心配だっただけ!

 バカ女のことなんか

 心配してないんだから!!〙


「ふふっ……」


私は思わず笑ってしまう。


「ギンちゃん、ありがとう」


〘だから違うって言ってんでしょー!!〙


私は改めて

みんなの顔を見回した


ザックさんも、ジレンくんも

バンさんも、ボクさんも、ギンちゃんも


そして………ガイル


「みんな……本当に、ありがとう」


そう、静かに呟いた。


……………………………


パーティーがお開きになったあと


私はボクさんに頼んで

木の上へ連れてきてもらっていた。


「はぁ~……お腹いっぱい……」


膨れたお腹をさすりながら

夜空を見上げる。


頭上には、数え切れないほどの星


そして二つの月が

寄り添うように浮かび

街を青白く照らしていた。


「今日は……満月かな」


「……そうだな」


「…………」


「…………え?」


聞き慣れた低い声に、ゆっくりと隣を見る。


いつの間にか

ガイルが、すぐ隣に座っていた。


「ガ、ガイル!?いつの間に!」


「……さっきだ」


「全然気付かなかった……」


「ふん…」


しばらく、二人で月を見上げる。


静かな夜風が、私たちの間を吹き抜けた。


「……うぅ、寒っ」


思わず両腕をさする。


(何か羽織ってくれば良かった……)


そう思った、その時


グッ……


ガイルの大きな手が肩を包み

そのまま自分の方へ引き寄せた。


「……………っ」


肩と肩が触れる


「……ないよりマシだろ」


ガイルは私を見ることもなく

月を見上げたまま呟いた。


「…………」


その横顔を見つめていると

ふと昔のことを思い出す。


「……ふふ」


「……あ?」


「…兄貴みたい」


ガイルの眉が、ぴくっと動いた。


「…………あ?」


「子どもの頃ね

 兄貴と二人で、迷子になったことがあったの」


「歩いて、歩いて……

 でも、なかなか帰れなくて」


私は昔を思い出しながら

ゆっくりと言葉を続ける。


「途中で、二人で座り込んだんだけど……

 その日は小雨が降っててね


 寒くて、怖くて……

 私、泣いちゃったの」


ガイルの腕の中で、少しだけ肩をすくめる。


「そしたら兄貴が、こうやって……

 肩を抱いて、温めてくれた」


「…………」


「だから……」


二つの月を見上げながら、小さく笑う。


「その時のこと、思い出しちゃった」


「……リール」


「んー?」


月を見上げながら返事をすると


「…………」


私の肩を抱く腕に、少しだけ力がこもった。


「…………」


「……ガイル?」


不思議に思って顔を向ける。


月明かりに照らされたガイルは

いつになく真剣な眼差しで私を見つめていた。


「…………」


その琥珀色の瞳から、目が離せない。


「……お前が好きだ」


「…………」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。


でも、すぐに笑みがこぼれる。


「……私も好きよ」


「…………」


「兄貴みたいに、私を守ってくれて……」


ガイルの眉が、ぴくりと動いた。


そんなことには気付かず

私は胸へそっと手を当てる。


「ガイルといると、本当に安心する

 ここが……温かくなるもの」


そう言って

私はガイルへにっこりと笑った。


「…………」


でも………

なぜかガイルは

どこか呆れたような顔で、私を見つめている。


「……そうじゃねぇ」


「……え?」


グイッ……!


肩を抱く腕に力がこもり

身体を引き寄せられた。


その瞬間………


ガイルの唇が、 私の唇に触れた。


「…………!?」


目を見開く。


驚いて、反射的に身を引こうとする


けれど、肩を抱かれたままでは

逃げることもできない。


「…………」


頭の中が、真っ白になった。


夜風の音も


木々のざわめきも


何も聞こえない。


ほんの数秒だったはずなのに

まるで、時間が止まったように感じた。


やがて……

ゆっくりと、唇が離れる。


「…………」


私は何も言えない


ただ目を見開いたまま

目の前のガイルを

見つめることしかできなかった。


ガイルはそんな私を真っ直ぐ見つめると…


「……こういう意味だ、バカ」


「…………」


それだけ言い残し

ガイルはさっさと木を降りていった。


「……………………え?」


一人、木の上に取り残され


「…………」


そっと、自分の唇へ触れる。


まだ………

ガイルの唇の感触が、残っている気がした。


「…………え?」


もう一度、同じ言葉が漏れた。


「…………えええええええええっ!?」


静かな夜の街に

私の叫び声が響き渡った――ー。

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