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楽になりたかっただけなのに、熊みたいな男に拾われました!~物と話せる不思議な店で人生やり直します~  作者: かゆると


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怒ってる理由

『あ!ガイルてめぇ!!

 やっと出てきやがったな!!』

 

「……なんだ」

 

ガイルは欠伸でもしそうな顔で答えた。

 

「こんな朝っぱらから

 迷惑って言葉、お前知らねーのか」

 

『んだと!この野郎!!』

 

「あー……」

 

ガイルは頭を掻いた。

 

「まあいい、まあいい」

 

そして面倒臭そうに手を振る。

 

「とっとと用件話して

 さっさと消えろ」


『用件はてめぇが一番分かってんだろ!!』

 

男は腰の剣を引き抜いた。

 

『この剣のことだよ!!』

 

バンッ!!!

 

カウンターへ剣を叩きつける。

 

『呪われてんじゃねーか!!』

 

男は更に怒鳴った。

 

『おかげでこのザマだ!!

 どうしてくれんだ!!ああ!?』

 

自分を見ろと言わんばかりに両手を広げる。

 

軍服みたいな緑の服は

あちこち切り裂かれ血が滲んでいた。

 

よく見ると顔にも傷がある。

 

ただ、出血は浅そうだ。


「ハッ…なんだと思えば

 そんな事か」


そう言いながらガイルは

カウンターの剣を軽く撫でる


その手はどこか…優しい


「俺は売るとき言ったはずだぜ?

 コイツぁ、呪われてるが

 うまく扱えば最高の相棒に

 なってくれるってな」


ガイルは男へ手を差し出した。

 

「おい、鞘」

 

短くそう言う。

 

『……』

 

男は一瞬何か言い返そうとした。

 

だが、ガイルの目を見た途端

口を閉ざす。

 

舌打ち混じりに鞘を差し出した。

 

男から受け取った鞘を

手に取りながらガイルは続けた。


「ま、そのザマを見ると

 お前の力量不足だな

 くだらねぇ…さっささと帰れ」


『な、な、なんだとぉ!!』


更に激昂した男は

ガイルへ殴りかかった。

 

(あ……ダメ!!)

 

気付けば身体が動いていた。

 

私は二人の間へ飛び出す。

 

その瞬間……

 

ドガッ!!

 

鈍い音が響いた。

 

(っ……!)

 

思わず目を閉じる。

 

……でも

 

殴られると思った痛みが来ない。

 

恐る恐る目を開けると

ガイルが男の拳を片手で受け止めていた。

 

「……気に入らねぇな」

 

低い声が静かに響く。

 

ガイルは私を見ながらそう呟いた。

 

更に拳を握る手へ力を込める。

 

『いっ……!!』

 

男の顔が歪んだ。

 

『いたたたたっ!!チクショウ!!』

 

止められた腕を

もう片方の手で必死に押さえている。

 

「気に入らねぇって……

 私のこと言ってんの!?


 それ、今言う話じゃないでしょー!!」

 

思わず叫ぶ。

 

するとガイルは

呆れたようにため息を吐いた。

 

「あー……はいはい」

 

そして面倒臭そうに

私の頭を指でコツンと小突く

 

「お前は鈍いんだったな」


(……鈍い……?)

 

二度目の「鈍い」に、私は首を傾げた。

 

何のことだろう

 

そう考え込んでいると

 

『チクショウ!! チクショウ!!』

 

男は握られていた拳を引き抜き

悔しそうに叫んだ。

 

その様子を見ていて

ふと違和感を覚える。

 

接客を長年やってきた。

 

勘が働いた…と言えばいいのだろうか。

 

確かに男は怒っている。

 

でも

 

商品が呪われていたことに

怒っているようには見えなかった。

 

どちらかと言えば……

 

もっと別の何かに

腹を立てているような。

 

「あの……」

 

気付けば口を開いていた。

 

「私で良ければ

 お話、聞きます」

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