女同士で話を…
「あ!!
リールさん、おかえり!って………」
ドーンザワカフェへ戻ると
ジレンくんが笑顔で駆け寄ってきた。
「お、リール!!おか………」
二人の声が、ぴたりと止まる。
「………ガイル、やっぱり降ろしてぇ!」
私は腕の中で、じたばたともがく。
「……ふん」
ガイルは口元をわずかに緩めると
離すどころか私を抱く腕へさらに力を込めた。
「ちょ…ちょっと!」
〘あらあらあらあら~♡
リールちゃんってば甘えっ子さんね♡〙
〘ガイル~リールが折れっぞ~〙
〘キィ―――――!!
バカ女!!
アタシのガイルに何してんのよ!!
さっさと降りなさいよ!!〙
ギンちゃんは私とガイルの周りを
ぷんぷん怒りながら猛スピードで
くるくる、ふわふわと飛び回る。
「~~~っ……ガイルってば!」
「……聞こえねぇ」
そう言うとガイルは
小熊みたいにぷいっと顔を背ける。
……完全に知らんぷりだ。
カラン……
静かにお店の扉が開く音がして
ミリーさんが店内から姿を見せた。
「……ガイル、お帰りなさい
リールさんも……」
静かな声。
でも、その視線だけは
私へ向けられたまま、どこか冷たかった。
「あ……ただいま」
「………ああ」
短く返事をしたガイルは、何も言わない。
ただ、私を抱く腕に
さらにぎゅっと力を込めた。
『心配するな』とでも言うように。
ミリーさんはゆっくりと私たちへ歩み寄ると
そっとガイルの肩へ手を添えた。
「……ガイル
リールさんを少し、借りてもいいかしら?
……女同士で話がしたいの」
静かに、穏やかな口調でそう告げる。
ガイルはミリーさんの手を一瞥すると
何も言わず、その手から静かに身を引いた。
「……分かった」
短くそう答えると
私をゆっくりと地面へ降ろす。
私は、ミリーさんへ向き直る。
「……じゃ、じゃあ店内で……
みんなは、外で待ってて」
そう言ってミリーさんを店内へ促し
私も後を追おうとした
その時
「……リール」
ガシッ
突然、ガイルが私の腕を掴む。
「え……?」
ぐいっと引き寄せられた次の瞬間
私は優しく抱き締められていた。
ガイルは私の肩へそっと顔を埋める。
「え……な、なに?どうしたの……?」
「………………」
何も答えない。
ただ、抱き締める腕だけは緩めようとしない。
「ね、ねぇってば……」
離れようと身をよじっても
ガイルの腕はびくともしなかった。
私は困ってミリーさんを見る。
ミリーさんは店の扉に手を掛けたまま
私たちを静かに見つめていた。
その視線は、どこまでも冷たい。
一方でガイルは………
私の肩へ顔を預けたまま
まっすぐミリーさんを見据えていた。
「……ガイル、女同士で話をするだけよ
リールさん、行きましょう」
そう言って
ミリーさんは静かに店内へ入っていく。
「ね、ガイル……離して」
私はガイルの広い背中を
ぽんぽんと軽く叩く。
「……チッ」
小さく舌打ちをすると
ガイルはようやく抱き締めていた腕を緩めた。
「もうっ……ガイルって、シスコンなの?」
ほっと息をつきながら
乱れた服を整え、私は首をかしげた。
「……あ?」
ガイルがぽかんと口を開ける。
「……は?」
「え?」
ザックさんとジレンくんも
そろって目を丸くした。
シン……
一瞬、辺りが静まり返る。
〘……リールちゃん、あなた……〙
バンさんが額へ手を当てる。
〘リール~……お前、マジかよ……〙
ボクさんが呆れたように肩を落とす。
〘バカ女は、やっぱりバカなのね……〙
ギンちゃんは深いため息をついた。
「……リール、お前……」
そう呟いた次の瞬間
ペッチン
「いったぁ!」
思わず額を押さえる。
「なんで、デコピン!?」
「はああぁぁ……」
ガイルは盛大にため息をつく。
そして……
困ったように目を細めると
クシャッと私の頭を撫でた。
「……お前は、鈍いんだったな」
「…………??」
私はきょとんと首を傾げる。
「………??
と、とにかく、行ってくるね」
そう言って、私は店の中へ入っていった。




