一緒に、この店を
「はーい、二人とも、お疲れ様!」
私はパンッと手を叩いた。
「二人とも、すごく良かったわよ!
今日いきなり店員さんをやったなんて
思えないくらい、本当に素敵だったわ」
その言葉に、二人は照れくさそうに笑う。
「えへへ……」
「だろー!?」
ザックさんは胸を張って、ニカッと笑った。
「俺、明日からでも店員さんになれっかもなー!」
その得意げな姿に、思わず笑みがこぼれる。
「ふふっ」
私はガイルへ視線を向けた。
「ね、ガイルはどう思った?」
「…………」
ガイルは何も言わず
ジレンくんの前へ歩いていく。
そして
ポンッと、優しく頭を叩いた。
「……良かったぞ」
「えへへ」
ジレンくんは嬉しそうに笑う。
そのままガイルは
ゆっくりザックさんへ視線を移した。
「……兄貴はダメだな」
「んなっ!? なんでだよ!!」
ザックが悔しそうに声を上げる。
「あはは……まあまあ」
笑いながら二人をなだめる。
(でも、本当に二人とも素敵だった)
ザックの元気は、お客様まで笑顔にしてくれる。
きっと、お店の雰囲気まで
明るくしてくれるだろう。
そしてジレンくん。
あの丁寧さと優しい笑顔なら
きっと誰もが……
『また会いたい』
そう思う店員さんになってくれる。
(……二人がいてくれたら)
私は店内を見渡した。
ボクさんの木陰の席。
食器さん達が並ぶ棚。
このお店は、もっと素敵になる。
そんな気がした。
だけど………
(このお店の店主は、私じゃない)
勝手に決めていいことじゃない。
私はそっとガイルを見た。
すると、目が合う。
「……なんだ」
ガイルが静かに歩み寄ってきた。
「あ、あのね」
私は少しだけ言いづらそうに笑う。
「さっきも話したけど……
私一人で店員をやるのは、やっぱり難しいの」
「だから……」
言いかけた、その時だった。
ポンッ…
ガイルが私の肩を軽く叩く。
「……お前が決めろ」
「……え?」
思わず聞き返す。
「いいの……?」
ガイルはザックへ目を向け
小さく息を吐いた。
「……俺には真似できねぇしな」
(あ……)
私は少し前の出来事を思い出す。
接客が分からないと
悔しそうに話していたガイル。
自分に出来ないことを認めて
出来る人へ任せようとしている。
「…ありがとう」
私はガイルの背中をぽんぽんと叩いた。
ガイルは不思議そうに振り返る。
「……なんだ」
私は小さく笑うだけだった。
そして、二人へ向き直る。
「二人とも
もし良かったら……」
「このお店を、一緒に手伝ってくれない?」
二人は一瞬顔を見合わせる。
次の瞬間
「おうよ! 任せろ!!」
ザックが勢いよく拳を突き上げた。
「僕も手伝う!」
ジレンくんも負けじと元気よく頷く。
「……給料は出す」
ガイルがぶっきらぼうに口を開いた。
「ただし」
二人を見る。
「ちゃんと夜は帰れ」
「おう!」
「うん!」
元気な返事が返ってくる。
私は自然と笑みを浮かべた。
「じゃあ……改めて」
私は二人の前へ立つ。
「これから
一緒に、頑張っていきましょう」
そう言って、ぺこりと頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ!」
「よろしくお願いします!」
店の中に、明るい笑い声が響いた。




