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楽になりたかっただけなのに、熊みたいな男に拾われました!~物と話せる不思議な店で人生やり直します~  作者: かゆると


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キザ?ボクさん登場

「ねぇ、ガイル……?」


私は窓の外を見つめたまま

小さく問いかける。


「……どちら様?」


ガイルは深いため息をつき、眉間を押さえる。


そして目元をつまみながら

心底面倒くさそうに答えた。


「……ボクだ」


「……ボク?」


その瞬間だった。


店の前に立つ大きな木が

ふわりと淡い緑色の光に包まれる。


さらさらと葉が揺れ

窓から柔らかな光が差し込んできた。


光は少しずつ形を変え

やがて一人の男の姿になる。


腰まで届く、風に揺れる緑色の長い髪


緑の生地に枝葉の模様が描かれた浴衣


耳には金色の耳飾り


胸元には

それとお揃いの金色の首飾りが揺れていた。


(……あれ?)


私は思わず、その首飾りを見つめる。


(どこかで……

 見たことがあるような……)


人の姿になったかと思うと………


ボクさんは風のような速さで

ガイルの隣へ飛んでいき小突き始めた


ゴツン


ゴツン


〘ガイル、てめぇ~~!

 なんでオレの話を出さねぇんだよぉ~!〙


ゴツン


〘オレのこと忘れてんじゃねぇだろうなぁ~!?〙


「…………」


ガイルは無表情のまま、小突かれるがままだ。


止める気もなければ、言い返す気もない。


まるで


〘また始まった〙


と言わんばかりだった。


「……あの~」


恐る恐る声を掛ける。


すると


…ピタッ


ボクさんの動きが止まる。


次の瞬間……


スッ


私の目の前へ移動すると、優雅に片膝をついた。


「え?」


そっと私の手を取り


…チュッ


甲へ軽く口づけを落とす。


〘リール……〙


甘く微笑みながら、私を見上げる。


〘やっと……会えたな〙


〘……相変わらず、可愛いな♡〙


「え!? えっ!? あ、あのっ!!」


突然のことに頭が真っ白になる。


「ボク……てめぇ……離れろ」


ガイルが低く唸り

勢いよく椅子を倒して立ち上がった

その瞬間………


〘……アタシのリールちゃんにぃ~~~~……〙


…ゾクリ


背筋が震えた。


まるで地の底から響いてくるような

低く、怒りに満ちた声。


恐る恐る振り返ると……


「バ、バンさん……」


そこには、怒りで髪を逆立てた

バンさんが立っていた。


金色の瞳は細く吊り上がり

今にも飛びかかりそうな勢いだ。


「…………」


その時、私はふと胸元へ視線を落とした。


(……あれ?

 あのネックレス……)


思わず目を見開く。


(お揃い……?)


ボクさんの首飾りと

バンさんの首飾り


細かな装飾まで、まったく同じだった。


「……え?」


私が戸惑っていると


〘バン……お前……〙


ボクさんがニヤリと笑う。


次の瞬間


スッ…


バンさんの背後へ回り込むと

後ろからふわりと抱きしめた。


〘相変わらず綺麗だなぁ~♡〙


耳元で甘く囁く。


〘好きだぜ、ハニー♡〙


「…………」


一瞬の静寂。


そして………


〘………このエロ旦那ァァァ!!〙


バンさんが勢いよく手を振り上げる。


しかし…


ひらりとボクさんは軽やかに身をかわすと

その手をスッと掴んだ。


「えっ……」


私は思わず息をのむ。


ボクさんは悪戯っぽく笑うと

その手の甲へ軽く口づけを落とした。


〘そんな綺麗な手で殴るなんてもったいねぇ

 

 その手はよぉ……

 オレを優しく撫でるためにあるんだからなぁ♡〙

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