間話 第三寵姫 石姫ディア
星守の民は見目麗しいものが多かった。
その中でもひときわ輝くものがいた。
そのものは、王の末の娘であった。
王家に伝わる宝石の名をつけられた娘は、成長とともにその美しさを増していった。
そしてその娘も恋をする。
娘の美しさをもって叶わぬ恋などなかった。
二人はすぐに結ばれた。
しかし娘が恋をした男は、王妃である母が密かに思いを寄せていた男だった。
叶わぬ恋に、叶えてはいけない恋に、王妃が狂うのは早かった。
王妃は実の娘を呪った。
恋い焦がれるその美しい瞳で、男を見つめることができないようにと。
娘の目が恋した男を見ることは二度と無かった。
娘が見つめた男は、その眼差しで石になってしまったのだから。
悲しかった。
恨めしかった。
心から溢れるすべての感情が痛かった。
だから心なんて、この体から取り出してしまいたかった。
深い深い世界樹の枝の影で、娘は胸を掻き毟り、自分の心を剔り出そうとした。
血が流れ、爪が剥がれ、音は粘度を増していく。
自分の腕が背中の皮を破ったとき、そこに心はないことを知った。
もう呪われた目を、開けるチカラも残っていなかった。
次に目が開いたとき、その眼差しをまっすぐ見つめる金色の瞳がそこにはあった。
金色の瞳に映る、自分の瞳を見たとき、心のありかを知った気がした。
とてもとても、悩んだお話でした。
次回は"決意"の回となります。




