間話 第五寵姫 幽姫アガーテ
私はただの町娘だった。
どこにでも転がっている恋をした。
愛した男は猟師だった。
振り向いてはくれなかったけど。
でもそれでも良かったの。
でも本当は振り向いて欲しかったけど。
だから自分の命を差し出すことなんて、安いものだった。
だから彼のために、自らの命を弾丸へと変えたの。
彼が撃った弾は七発。
ひとつは獲物に。
ひとつは的に。
ひとつは他の男に奪われた彼の昔の恋人に。
ひとつは恋人を奪った彼のかつての友に。
ひとつは私の胸に。
ひとつは彼が自分の頭へ向けて。
最後のひとつが撃ち抜いたものを、私は知らない。
私が作った弾丸は、彼が狙ったところへ命中してくれた。
それでも彼が、私に振り向いてくれることはなかったけど。
額から血を流す彼を見つめていると、胸に空いた穴が、身体を冷たくしていくのを感じる。
彼が開けた胸の穴が冷たくなっていくのを。
長い時間が経った。
肉体が朽ち果てて、魂だけの存在となっても、胸にあいた穴の冷たさは消えなかったの。
そんな私を、抱きしめるように見つめる金色の瞳を、ただじっと見つめ返しすことしかできなかった。
今回も少ない内容での更新となり、申し訳ございません。
明日の更新では、また少し物語が進みます。




