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この月が綺麗だって君に伝えたかったんだ  作者: 蛙酒夏海
第一章 夜の国編

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間話 第五寵姫 幽姫アガーテ

 私はただの町娘だった。

 どこにでも転がっている恋をした。

 愛した男は猟師だった。

 振り向いてはくれなかったけど。

 でもそれでも良かったの。

 でも本当は振り向いて欲しかったけど。

 だから自分の命を差し出すことなんて、安いものだった。

 だから彼のために、自らの命を弾丸へと変えたの。


 彼が撃った弾は七発。

 ひとつは獲物に。

 ひとつは的に。

 ひとつは他の男に奪われた彼の昔の恋人に。

 ひとつは恋人を奪った彼のかつての友に。

 ひとつは私の胸に。

 ひとつは彼が自分の頭へ向けて。

 最後のひとつが撃ち抜いたものを、私は知らない。


 私が作った弾丸は、彼が狙ったところへ命中してくれた。

 それでも彼が、私に振り向いてくれることはなかったけど。


 額から血を流す彼を見つめていると、胸に空いた穴が、身体を冷たくしていくのを感じる。

 彼が開けた胸の穴が冷たくなっていくのを。


 長い時間が経った。

 肉体が朽ち果てて、魂だけの存在となっても、胸にあいた穴の冷たさは消えなかったの。


 そんな私を、抱きしめるように見つめる金色の瞳を、ただじっと見つめ返しすことしかできなかった。


今回も少ない内容での更新となり、申し訳ございません。

明日の更新では、また少し物語が進みます。

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