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飯が美味すぎて、気づけば世界を支配していた。 ~無限魔力の料理人、物流と教育で最強国家を作る~  作者: 慈架太子


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75/104

75:農地拡張

 余剰食料。


 春。


 クルザード都市西部。


 地平線の先まで畑が続いていた。


 麦。


 豆。


 芋。


 野菜。


 果樹。


 水路が走り。


 風車が回り。


 巨大な農地が朝日に輝いている。


 数年前。


 ここは森だった。


 魔物が出る。


 湿地が広がる。


 人が住まない土地。


 でも。


 今は違う。


 農民達が笑っている。


「今年も豊作だ!」


「まだ植えられるぞ!」


「水足りてる!」


 クルザードは高台から農地を見下ろしていた。


 隣。


 ジェシカが収穫表を確認する。


「……増え過ぎね」


「食料備蓄、もう周辺国家超えてるわよ」


 実際。


 異常だった。


 理由。


 全部噛み合っている。


 水路。


 肥料。


 物流。


 保存。


 治安。


 全部。


 だから。


 収穫量が跳ね上がる。


 クルザードは静かに言った。


「まだ足りない」


 ジェシカが呆れる。


「どこまで増やす気?」


「人口はまだ増える」


 即答だった。


 その通り。


 人口流入。


 止まらない。


 毎日。


 馬車が来る。


 移民。


 農民。


 職人。


 獣人。


 エルフ。


 全部増える。


 理由は単純。


『飢えない』


 そこ。


 それが強い。


 この世界。


 普通。


 飢える。


 冬。


 旱魃。


 病気。


 輸送事故。


 盗賊。


 全部で崩れる。


 でも。


 クルザード都市は違う。


 食料が余る。


 つまり。


 安心。


 だから。


 人が集まる。


 朝。


 開拓区。


 大量の土ゴーレムが森を伐採していた。


 木が倒れる。


 岩が砕かれる。


 整地。


 異常速度。


 ティグリスが汗を拭きながら笑う。


「前は十年仕事だったんだけどなこれ」


 今は数日。


 理由。


 魔法。


 さらに。


 物流ゴーレム。


 輸送が速い。


 つまり。


 農地拡張速度がおかしい。


 さらに。


 クルザードの鑑定。


 土壌。


 水分。


 栄養。


 全部見える。


 最適化。


 結果。


 無駄がない。


 カタリナが地図を広げる。


「西側さらに二百区画いけます」


「地下水脈あります」


 クルザードは即決した。


「掘る」


 それだけ。


 迷わない。


 理由。


 食料が国家だから。


 昼。


 農業学校。


 大量の子供達が並んでいた。


 人間。


 獣人。


 エルフ。


 全部混ざっている。


 授業。


 内容。


 農業。


 しかも。


 本格的。


「連作障害を避けろ」


「豆を混ぜろ」


「水を流し過ぎるな」


 教師達が教える。


 さらに。


 魔法も使う。


 水操作。


 土改良。


 全部農業用。


 そこが違う。


 戦闘だけじゃない。


 生活。


 生産。


 そこへ。


 年老いた農民が涙ぐんでいた。


「……初めてだ」


「子供に農業教えられるなんて」


 昔。


 生きるだけで精一杯だった。


 文字もない。


 知識もない。


 だから。


 毎年同じ失敗をする。


 でも。


 今は違う。


 教育がある。


 つまり。


 積み重なる。


 そこが強い。


 夕方。


 巨大倉庫。


 穀物袋が山積みだった。


 小麦。


 豆。


 乾燥野菜。


 燻製肉。


 干物。


 味噌。


 保存食。


 全部大量。


 ヴァレリアが帳簿を抱えながら固まっていた。


「……余剰が国家予算超えてる」


 つまり。


 食料が金になる。


 しかも。


 この都市。


 保存技術がある。


 酢。


 燻製。


 干物。


 魔導冷蔵庫。


 だから。


 腐らない。


 そこが強い。


 さらに。


 輸送網。


 つまり。


 遠距離販売可能。


 結果。


 市場支配。


 夜。


 食堂街。


 農民達が鍋を囲んでいた。


 味噌鍋。


 焼きたてパン。


 肉。


 酒。


 全員食っている。


 笑っている。


「今年も余るぞ!」


「冬怖くねぇ!」


「子供腹いっぱい食ってる!」


 そこ。


 そこが強い。


 腹いっぱい。


 それだけで人は壊れない。


 犯罪減る。


 争い減る。


 病気減る。


 全部繋がる。


 デニーゼが静かに言った。


「栄養状態が違う」


「子供達、身体大きくなってる」


 その通り。


 この都市。


 育つ。


 だから。


 未来が強い。


 さらに。


 妊婦死亡率。


 乳児死亡率。


 全部下がっていた。


 理由。


 飯。


 清潔。


 医療。


 全部ある。


 深夜。


 クルザードは巨大農地を歩いていた。


 風。


 麦の音。


 静か。


 遠くで水車が回る。


 ティグリスが隣に来る。


「……平和だな」


「ああ」


「戦争より強い」


 クルザードは畑を見る。


「飢えない国は崩れにくい」


 それが現実。


 どれだけ強い軍でも。


 飯が無ければ終わる。


 つまり。


 農地が国家。


 そして。


 クルザード都市は。


 そこを理解していた。


 翌朝。


 さらに移民が来る。


 農民。


 家族。


 孤児。


 全部増える。


 理由。


『ここなら生きられる』


 その噂。


 完全に広がっていた。


 さらに。


 周辺国家では。


 逆に問題が起き始める。


 人が流れる。


 農民が消える。


 税収が減る。


 畑が荒れる。


 つまり。


 国力低下。


 そして。


 クルザード都市だけが。


 さらに豊かになる。


 ガルドが酒を飲みながら笑った。


「笑えるな」


「飯が強過ぎる」


 クルザードは静かに頷く。


「食料は武器だ」


 それ。


 誰より理解していた。


 剣より。


 魔法より。


 人を動かす。


 だから。


 この都市は止まらない。


 農地は広がり続ける。


 水路も。


 倉庫も。


 村も。


 全部増える。


 その日。


 クルザード都市は。


『工業国家』からさらに進み。


『食料国家』として周辺世界を呑み込み始めていた。








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