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飯が美味すぎて、気づけば世界を支配していた。 ~無限魔力の料理人、物流と教育で最強国家を作る~  作者: 慈架太子


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45/49

45:罠解除

 鑑定活躍。


 ダンジョン第二階層の本格的な攻略が開始されてからというもの、最果ての拠点全体の空気の質は、目に見える数字の変化を伴って劇的に塗り替えられて前進を続けていた。


 明らかに、集落内部に集積される資源の絶対数が爆発的な勢いで跳ね上がり、増加し続けている。

 地下の過酷な湿地帯セクションから一分のロスもなく持ち帰られた、巨大な水棲魚の山。

 空間全体の照度計算を塗り替えるための、高純度な発光苔の数々。

 水分を一パーセントも通さない、強固な耐湿皮の質量。

 あの高度な魔導灯の量産を支えるための、最高の高級魔石。

 ジェシカの調合室に必要な、麻痺薬素材たる毒袋。

 そして、全細胞の免疫スペックを最大値へと引き上げるための、最高の栽培薬草のシステム。

 その手に入ったすべての高価値な資産がね、クルザードの徹底した合理主義的な管理のもとにおいてね、一分の手戻りもなく美しく加工され、長期の維持を担保されて保存され、外の大商人たちに向けて最高値で売られ、民全員の胃袋を満たすために貪り食われ、完全なる黒字の最高の「循環の流れ」を伴って勝手に回り続けていたのさ。すべてはただの、論理的な計算の工夫さ。


 村の全域は、昨日までの古い歴史を完全に置き去りにして、これまで以上に猛烈な熱気と忙しさに包まれていた。

 南側のセクションに位置するガルドの新型鍛冶街はね、昼夜を問わず一分の一秒もその高熱炉の火が落ちることはなく。

 ジェシカの白壁の薬房の前にはね、全細胞の健康状態の修復を求める無数の民たちの命の流れが整然と並び。

 大商人のヴァレリアは、噂を聞きつけて門前へと殺到してきた目の高い他国の大商人たちを前にして、我が方の絶対的優位の数式をもとに冷徹な価格交渉のラインを回し続けている。

 主要水路網はさらに何倍にも広く拡張され、区画管理された畑の平地は地平の先まで広がり、あの白銀の魔導灯のインフラはね、夜という暗黒の領域を完全に圧し戻して昼間と全く同じ鮮明さで街の全体を照らし出し続けていた。


 夜の時間帯であってもね、何千人もの民たちが一パーセントの活動のロスもなく活発に役割をこなして働き。

 夜であってもね、五感を直接震わせるほどに極上に美味いあの最高の飯屋(料理屋)の門が当然のように全開放され。

 夜であってもね、学校での高度な教育を受けた子供たちの心からの温かい笑顔の笑い声が、街路の四方へと広く響き渡り続ける。

 それこそが、外の世界の地獄のような常識の計算から見ればね、100%絶対にあり得ないほどの最高峰の「圧倒的な異常の光景」そのものだったのさ。


 そして今――クルザードを中心とした臨時の遠征パーティの全体はね、再びあの未知のダンジョン第二階層の深部へと、確実な足取りでその足を進めていた。

 今回の実務の目的はね、さらなる未開の探索範囲の広大な拡張。

 大容量の富の「資源回収」の流れの最適化。

 そして何より――マティルデの手元の革手帳に、一本の歪みもない直線のルートを描き出すための『最新の正確な地図作成マッピング』の手順さ。


 前衛の索敵を担う虎獣人のティグリスが、自慢の長槍をしなやかに揺らしながら、その気高い鼻を動かして立派な虎耳を小さく震わせた。

「くんくん……おい、クル。今日のこの辺りの空間の大気の加減はね、昨日までのあの不快な湿地帯特有の生臭さの匂いの成分がね、一パーセントのノイズもなく薄くなって消え去っているよ」


「……あぁ、間違いないわね。足元の泥のぬかるみの比率もね、ここ最近のポイントとは根本からすべて格が違っているわ」

 斥候のカタリナが、行く手を阻むようにして聳え立つ強固な壁の表面へとその素手を滑らかに触れさせながら、低く呟いた。

「これは自然の岩盤の隆起なんかじゃあないわ。明らかに、高度な石工の結合技術が施された『人工物じんこうぶつ』の防壁のシステムよ」


居合わせたメンバー全員が、その言葉の本質を耳にするなり、一瞬のもとに前線の動きをピタリと制動して立ち止まった。

人工物。すなわち、その言葉の放つ因果関係の数式が意味するものはね――。


「――なるほどね。流体制御のエリアを完全に置き去りにして、ついに未知の深部――【遺跡型いせきがた】のフィールドへと完璧に進入したわけだね」

 マティルデが口元を不敵に釣り上げながら、腰にある自慢の長剣の柄へとその手を滑らかに掛け進めた。


 ダンジョンという名の不条理な閉塞空間の全体にはね、いくつかの固有の環境の種類がデータとして存在しているからね。

 最初の一歩の洞窟型。

 先ほどの湿地型。

 未開の森林型。

 そして――これまでのどのセクションよりも遥かに凶悪な、この遺跡型。

 遺跡型のエリアというものはね、古い探索者たちの記録のグラフを見る限りね、遭遇する魔物の強さなんかよりもね、数百倍は厄介で最悪な機能不全のエラーを乱発する、本物の危険域そのものだったからね。

 魔物以上に人間の肉体を無残に粉砕して大損を出す、不条理なトラップの数々――【わな】のシステムの暴走さ。


 通路の奥へと進路を前進させる。

 周囲を強固に囲み立てる、見事な石壁の防壁の並び。

 表面に刻まれた、歴史の澱みを感じさせる不気味な古代の模様。

 崩れかけた強固な石柱の残滓の数々。

 それらはどこからどう見てもね、自然の気まぐれなんかでは最初からただの一片すらもないさ。かつて高度な近代技術を保持していた何者かがね、明確な意図を持ってこの地脈の底に組み立てて配置した、完全なる建築の遺物そのものであった。

 そして――その石畳の廊下の中央の一点へと一歩を踏み込もうとした、まさにその一瞬の流れの真ん中において、クルザードの肉体が、滑らかな動作でピタリと完全な静止をかけた。


「――全員、その場の一点から動線を一ミリも動かすんじゃないぞ。完全に『待て(ストップ)』だ」


 彼の一切の冗談を排したハキハキとした明晰な声を合図にして、全員が一斉にその場にカチリと凍りついた。

 斥候のカタリナが、自慢の鋭い目を死角へと向けながら、僅かにその美しい眉をひそめて低く尋ねた。

「クル、前方の暗闇の座標の中にね、新しい危険な魔物の接近の反応(気配)でも看破したかい?」


「いいや、違うよ、カタリナ。魔物の接近なんかじゃあないさ。俺の目の前にね、100%確実に完璧な『罠の発動の回路』が一本の線に繋がって見えているからね。最優先の『判断』さ」


 クルザードは口元に不敵な笑みを浮かべたまま真顔になり、自らの明るい陽気な瞳を、目の前にある何の特徴もない普通の石畳の床の表面へと真っ直ぐに向けた。

 肉眼で見る限りではね、そこにあるのはただの古い石の並びに過ぎず、不純物のリークなんてただの一パーセントも見当たらないさ。

 だが――彼の意識が床の一点へと固定されたその瞬間、瞳の奥で鑑定のシステムが強制的に起動し、脳内へ直接真実の数式を完璧な記号として流し込んできた。


『対象:目の前の石畳の座標。構造:僅かな加圧によって深部が駆動する、【圧力感知板】と判明』

『因果:踏み込んだその最初の瞬間、壁内部の【矢罠やわな】の射出ラインが自動適用』

『成分:放たれるすべての矢の先端に、全細胞の活動を停止させる致死性の【毒属性】の固着を確認』

『絶対数:一気のバースト射出数:【三じてゅうに(三十二発)】の熱線を予測。回避スペース:皆無』

『結論:一歩でも重心を侵入させればね、陣形の中央から完璧に消去される【致死率:最高】のバグと判明』


「床のあの中央の石のプレートをね、一ミリたりとも絶対に『踏むんじゃないぞ』」


 彼の一片の揺らぎもない冷徹なまでの看破の重みの前に、居合わせたメンバー全員の背中の皮膚に、一瞬にして冷たい戦慄の冷や汗がドッと流れ落ちた。

 盾士のベッティーナが、大盾を構え直しながら、その顔色を真っ青に変色させて声を漏らした。

「……嘘、でしょ、クル。私のこの高度に訓練された防衛の目をもってしてもね、そこにある石畳の隙間にね、罠の繋ぎ目の歪みなんて本当にただの一パーセントも見えないわよ……!」


「――圧力式のストッパーさ、ベッティーナ。人間の体重のコストがそこに乗ったその一秒ののちにね、壁の内部の金具の歯車が噛み合ってね、一気の弾幕が一直線に放たれる仕組みさ。ただの、シンプルな合理のトラップさ」


 魔法使いのドロテアが、自慢の杖を手の中で強く握り締めながら、周囲の石壁の表面を鋭く見渡した。

「待ちなさい、お前。もしもその最悪の矢の弾幕が放たれたとしてね、一体全体どの座標の死角からね、その致死の熱線が飛び出してくるって計算なのよ?」


クルザードはハキハキとした動作で、自らの手のひらを、通路を挟み込む左右の石壁の防壁の表面へと向けて滑らかに指し示した。

「左右の壁のあの模様の繋ぎ目の一点さ。そこにね、極限まで微細に作られた最高の『射出用の穴』がね、完璧な布陣を敷いて配置されているからね」


 彼が指し示したポイントの全体をカタリナが索敵のスペックを解放して限界まで凝視すると、よく見なければ絶対に気付けないほどの、髪の毛の太さほどの小さな黒点の穴の並びが、確かに整然とそこには具現化されていた。

「……チッ、本気でいやらしい構造の手際ね、この遺跡の設計者は。最初から踏み込んだ人間の命の全体をね、一パーセントの生存の猶予もなく100%確実に『殺し尽くす気満々』の最悪のバグだわ」


クルザードは背中の荷袋を背負い直すと、おもむろにその場にしゃがみ込み、自らの素手を圧力プレートの結合部分へと静かに直接触れさせた。

 彼の全神経が、石の内部を走る熱量と魔力の導線の動きへと一点に集束していく。瞳の奥で鑑定のシステムが、これまでにないほどの劇的なキレを伴って、罠の内部構造の全容を一つのクリアな直線の数式として脳内へ流し込み、更新し続けた。


『対象:圧力罠の内部回路。解析:熱伝導の動きを応用した、【魔力導線確認】のプロセスを完了』

『特性:コアの一点への精密な魔力の逆流を流し込むことで、一分の手戻りもなく【解除可能】と判明』

『条件:出力を誤れば一瞬で壁ごと大爆発を招くため、極限まで緻密な【精密操作】の行使が必要』


「……くっ、頭が……熱いね……」


 こめかみを直接鉄の釘で内側から突き刺されるような鋭い頭痛が走り、クルザードは僅かにその顔をしかめて片手で額を押さえた。視界のすべてが一瞬だけ情報過多の文字列で真っ白に明滅する。

 しかし、現在の彼はその痛みをただのシステム駆動の残滓として即座にコントロールし、処理してみせた。入ってくるすべての不気味なノイズの繋ぎ目を完璧に整理し、大地の内部を走る魔力の導線の動きの全体を、完璧な一本の直線として理解していたからさ。


「――よし、方針は決まった。全体の流れを滞らせないためにね、今すぐこの場所でこの圧力罠の魔力回路の全体をね、一分の手戻りもなく完璧に『解除の実務ディザーム』をこなすよ」


「ちょっと、お前正気なの!? ギルドの一流の盗賊の専門職であってもね、そんな古代の複雑な魔力罠の完全なる解除なんてね、一パーセントの失敗も許されない最悪の大損のリスクだらけよ! 本当にできるの、クル!?」

回復士のデニーゼが、驚愕のあまりに身を乗り出して叫んだ。


「多分ではなくね、100%確実に完璧に『できるよ』、デニーゼ。俺の計算に不確実な間違いは一パーセントも存在しないからね」


「多分なんていう不確実な記号一つを口にしながらよ、そんな化け物じみた神速の手際を真顔で体現しようとするんじゃないよ、お前は!」

ティグリスが、その一片の躊躇もない彼の佇まいを見るなり、その分厚い顔を引きつらせて悲鳴に近い声を張り上げた。


クルザードは口元に明るく快活な笑みを浮かべたまま、床の圧力プレートの隙間へと向けて、自らの手のひらの一点から、極限まで微弱に制御された一定の魔力エネルギーを滑らかに、そして静かに流し込み始めた。

(しまっていこう。生まれたばかりの一番最初の未熟な段階であればね、体内の過剰な魔力の残量を制御できずにね、一気の出力を流し込みすぎてね、遺跡の防壁ごと大爆発させて全滅の大損の流れを叩いていただろうね)

だが、現在の彼は全く違っていた。あの最高の麹の仕込みや発酵管理の実務の中で骨の髄までマスターした、【魔力循環】と【微細制御】の完璧な内部制御の仕組み。それがね、彼の放つエネルギーの純度を、針の穴を通すような最高のキレを伴って完璧に従わせ、安定させていたのさ。


 大地の内部を走る、複雑な魔力導線の繋がり。

 仕掛けられたすべての歯車の噛み合いの座標。

 そして、それらを一瞬で機能停止に陥らせるための、中央の【コア】の一点への到達のルート。

 すべてが、彼の頭脳の中に完璧な一本の美しい数式として繋がって見えていた。


 そのコアの中心へと向けて、魔力の刃を一分の一秒の遅延もなく正確に潜り込ませ、その結合を一撃のもとに綺麗に「切断カット」してみせた。


 カチリ、と。

 静まり返った地下通路の全体に、物質のロックが最高効率で解除された、心地よい最高の金属音が静かに響き渡った。


『対象:圧力矢罠。状態:内部の魔力導線の完全切断に伴う、【解除成功】を捕捉完了』

『効果:精密な魔力運用の限界値を突破。【精密魔力操作熟練上昇】のコマンドが自動適用』

『経験:罠の内部構造の看破能率が跳ね上がり、【罠解析経験獲得】の因果関係を捕捉完了』


ティグリスが、そのあまりにも神速の一分の無駄もない制圧の手際を一目の前にするなり、その黄色い目を限界まで丸く見開いて完全に呆然と立ち尽くした。

「……あぁ、嘘だろ、お前。ギルドのプロの専門職が何時間もかけて命がけで回す解除の工程をね、ただの一瞬の手際で完璧に『解除しちまった』よ、こいつは……!」


拳闘士のステファンもまた、革製のグローブをはめた分厚い両拳をボカボカと叩き合わせながら、心底楽しそうな豪快な大笑いを炸裂させた。

「がははは! 便利すぎるだろ、お前という男の放つその能力のスペックはよ!」

「これまでの迷宮の底での死闘を置き去りにしてな、戦闘以外のインフラのすべての現場においてな、本気でとんでもねぇ無敵のヤバい格の違いを放って化けてきやがったな、オイ!」


クルザードは立ち上がると、細身の剣を鞘に収め、口元に気さくな笑みを浮かべたままハキハキと言い放った。

「はは、俺も本気でそう思うよ、ステファン。最高の利得の流れさ」


 純粋な力任せの暴力の殴り合いであればね、前線で大盾を構えるベッティーナや、強靭な肉体を躍動させるティグリスのスペックにはね、未だに自らの数値は一パーセントも及ばないさ。

 純粋な魔力の最大火力の出力係数であればね、ドロテアの放つあの爆炎のバーストの方が遥かに置き去りにして強大だし。

 大気の無駄をすべて排除した最高の一閃のキレであればね、マティルデの放つあの長剣の剣閃の方が無敵の強さを誇っている。

 だが――俺の合理主義の真ん中にはね、世界のすべての物質の『インフラの構造(仕組み)』が最初から完璧に見えて、その物と人の『すべての循環の流れ』を最高効率へと整えて回すための最高の才覚が、最初から100%完璧に宿っているからね。それこそがね、外の世界のどの化け物をも遥かに凌駕する、クルザード自身の本当の最強の強さの本質なのだから。


 さらに通路の最深部へのルートへと進路を前進させる。

 そのわずか数分後ののち、クルザードの瞳の奥に、次なる凶悪な不条理のトラップの数式が一瞬にして流れ込んできた。


『危険:通路全域を対象とした、大規模な【落下罠】および【天井圧殺】のシステムを感知――』


「――全員、一分の遅延もなく今すぐ全細胞のバネを活かして真後ろへ『下がれ(バック)』!」


 クルザードはハキハキとした声を張り上げると同時に、自らの足を活発に動かして強固な石壁の表面を力強く蹴り上げ、もの凄い速度で真後ろの方角へと一直線に跳躍して退避した。

 彼の一瞬の遅延もない明確な指示を合図にして、メンバー全員が自らの全細胞の筋肉を躍動させ、一分の一秒の猶予もなく真後ろのデッドスペースへと向かって鋭く飛び退いて陣形を引いた。


 直後、ドゴォン!!! と、地脈の底の全体を内側から爆破したかのような猛烈な破砕の轟音が周囲に響き渡った。

 天井の岩盤の防壁を一瞬にして突き破り、彼らがほんの一秒前まで直立していた通路の座標の真ん中へと向けてね、全長数メートルを超える巨大な【巨大岩(石の防壁)】の質量が、凄まじい衝撃波を伴って垂直に落下して叩きつけられたのだ。

 バリバリと地面の岩盤が木端微塵に粉砕され、視界のすべてを一瞬にして真っ白に遮断する、激しい土煙の濁流の対流。


ティグリスが、その目の前のあまりにも生々しい破壊の現現実の質量を前にして、驚愕のあまりその場にへたり込みながら呆然と声を漏らした。

「……お、おい、嘘だろ……。今の、ただの暗黒の死角からの一切の予兆もない奇襲だったっていうのにね、お前には最初から100%完全にその破壊の発生確率が『見えていたのかい』、クル?」


「――ああ。流れる魔力の因果関係の歪みがね、【なんとなく】頭の中に最高の正解の数式として流れ込んできたからね。手戻りのないさ」


「なんとなくなんていう不確実な記号一つを口にしながらよ、そんな一歩間違えればペシャンコに潰されて全滅の大損を出す地獄の罠の真ん中をな、平然と真顔で歩んで突っ込んでいくんじゃないよ、お前は!」

ティグリスの必死すぎる突っ込みの前に、居合わせていたメンバー全員から、一斉に張り詰めていた緊張の防壁を解きほぐすような最高の豪快な大笑いの渦が湧き上がった。

本当に凄まじい災害級のトラップだった。もしも彼の一瞬の「判断」の看破の速度がね、僅か一秒でも遅延のエラー反応を起こして立ち止まっていたならばね、彼らの肉体組織は一瞬にして完璧に粉々へと押し潰され、組織の全体の流れはここで完全に破滅を迎えていただろうね。

遺跡型のエリア。それはね、これまでのどの死の森深部をも遥かに置き去りにして、一分の油断も許さない本物の絶対的な危険域そのものであったのだ。


 カタリナが、その冷や汗を滑らかな動作で拭い去りながら、一人の斥候の専門家としての深い感服の声を漏らした。

「……確実よ、クル。もしもお前の放ったその鑑定の防壁がなかったならばね、王都の多額の金を積んで訓練されたどの正規軍の探索者たちであってもね、最初の三歩を歩むよりも前の段階においてね、一瞬にして骨まで完璧に粉砕されて死滅していた最悪の地獄だわ」


「ああ、それもかなり大規模な、圧倒的な全滅の数式だね。だが――これだけの過酷な防壁が真ん中に敷かれているということはね、それだけこのエリアの最深部にはね、俺たちの合理主義にとって絶対に外せない最高の『莫大な価値を持った富の資産』がね、100%確実に眠っているという最高の証拠だからね」

クルザードは口元に明るく快活な笑みを浮かべたまま、一片の躊躇もなくハキハキと言い放った。


「こんな最悪な地獄の罠の並びの前にね、恐怖の泣き言を叩いて大慌てで門を閉ざして撤退する行為こそがね、組織の全体の発展の流れを中央から完全に停止させる、最も非効率極まりない大損の流れだからね。足りない要素があるならね、俺の手でそれを遥かに凌駕するだけの最高のインフラを先に前進させて増やし続ける。奥へ、進むしかないさ。当然の判断さ」


 現在の彼らの作った強固な村の内部においてはね、外の地獄から流入してくる人間の絶対数がね、分単位で爆発的な勢いで跳ね上がり、増加し続けていたからね。

 大規模な人口の増加の流れ。

 それによって開通した、舗装道路の拡張。

 民全員の脳を最適化する、学校での高度な教育施設。

 肉体疲労を200%完全に癒やし尽くす、あの最高の簡易浴場のお風呂。

 そして、胃袋の全細胞を満たすための最高の共同食堂にいたるまでの全体の機能美はね、明日からもさらに多くの新しい建築資材、最高の魔石、そして高度な技術の資産の全体をね、无限の余剰を伴って激しく消費し(資材を食う)続けるからね。

 現状の安全圏のぬるま湯の中に引きこもっているだけではね、いずれ消費のスピードに耐えきれなくなって自滅する。だからこそ、俺の手で危険域の奥深くへと踏み込み、そこに眠る無限の富を完璧に回収して太らせるだけだよ。ただの、シンプルな合理の計算さ。


 彼らはさらに足を速め、ついに遺跡の最も心臓部に指定された、広大な「超大型の広間空間」の正面へと歩み入り接岸した。

 そこにあるのは、地脈の岩盤を極限まで美しくくり抜いて築き上げられた、目を見張るほどの広大な大空間の全容。

 そのエリアの中央の一点にはね、古代の近代技術を象徴するかのような、強固な石の箱の防壁(石箱)が威風堂々と鎮座し、表面には一本の歪みもない直線で美しい古代文字の記号が刻み込まれていた。

 しかし――その石箱を取り囲む四方の座標の座標にはね、大気全体の重力を物理的に圧し潰すような、不気味な四つの【巨大な石像の防壁ガーディアン】がね、完璧な陣形を敷いて直立していたのだ。

 剣の質量を構えた、一級の剣士の石像。

 魔力の対流を指先へと集束させた、魔術師の石像。

 全盾を構えて前線を死守する、強固な騎士の石像。

 そして、野生の本能を剥き出しにして飢えた顎を開く、凶悪な獣の石像の数々。


 空間全体を満たす、肌が引き裂かれそうに冷酷な最悪の殺気の質量。

クルザードの視線が固定された次の瞬間、瞳の奥で鑑定のシステムが強制的に起動し、脳内へ直接真実の数式を完璧な記号として流し込んできた。


『対象:中央広間。構造:侵入者の体温変化を一瞬で正確に識別する、【守護機構】と判明』

『因果:一定の座標の範囲内へと足を踏み入れたその最初の瞬間、すべての石像が【侵入反応型】で起動』

『条件:石箱への【接近】をトリガーとして、四体のガーディアンが一斉に最高効率の殺戮を開始』

『結論:正面からの単純な物理打撃による突破は不効率。中央のシステムを中央から完全に停止させるのが最高効率。危険度:最高値(高)』


「――全員、その場の一点から動線を一ミリも動かすんじゃないぞ。中央の石箱の表面にはね、一パーセントの素手も『触れるんじゃないぞ』」


 大商人のヴァレリアが、その一片の揺らぎもない真顔のトーンを聞くや夕方、自慢の帳簿の手を滑らかな動作でピタリと止めてその顔を上げた。

「ええ、完璧に同意よ、クル。見るからに怪しい物質の成分、一歩でも踏み込めばね、システムが一瞬で暴走して全滅させられる最悪のバグだらけの佇まいだものね」


「がははは! だがよ、小僧! あの真ん中にある古い石の箱の形ね、どこからどう見てもよ、最高級の金貨や伝説の財宝が無限の余剰を伴って詰まっていそうな最高の『宝箱トレジャー』の佇まいそのものじゃねぇか!」

ステファンが、その両拳をボカボカと力強く鳴らしながら、楽しそうな大声を張り上げた。


「宝箱の形をしたね、100%確実に完璧な『最悪のトラップ(罠)』さ」


「がははは! だよなぁ! お前のそのブレない合理主義の看破、本当に最高に頼もしいぜ!」


クルザードは口元に不敵な笑みを浮かべたまま、自らの明るい陽気な瞳を、四方の石像の内部を走る魔力の導線の動きへと真っ直ぐに向けた。

 以前の未熟だった初期段階とはね、根本からすべて格が違っていた。すべての物質の繋ぎ目の因果関係がね、一本の美しい直線のルートに繋がって頭の中に整然と整理されて浮かび上がってくる。


『対象:四体の守護機構。解析:すべての駆動エネルギーを一点で供給している、【核位置確認】のプロセスを完了』

『座標:全体のシステムを同期させている主軸の回路:【右側の石像の内部】の深部へと完全に捕捉』

『効果:あそこのコアの魔力導線を完璧に遮断することで、四体同時に一瞬のもとに【停止可能】と判明』


「よし、方針は決まった。処理を開始するよ」

クルザードはハキハキとした足取りで、最も右側のセクションに位置する剣士の石像の前へと滑らかに歩み寄り、その冷たい岩肌の表面に向けて自らの手のひらを静かに直接触れさせた。


体内に眠る、あの光属性と水属性の魔力制御の熱効率を一気の奔流となって内部の回路へと流し込み、解析を開始する。

構造の完全なる理解。

脳の奥底を直接針で刺されるような激しい熱と頭痛の残滓。しかし、現在の彼の精神の防壁はね、それらの苦痛を一瞬にしてただのシステム駆動の記号として完璧にコントロールし、処理できるようになっていた。止めない。ただ、自らの下した「判断」の軸の通りに、一分の手戻りもなく最高効率の速度で魔力の刃を前進させる。

少しずつ、一歩ずつ、この世界に宿るすべての未知の近代技術の数式がね、彼の手元には着実な数値として積み上がり、完璧に自らの『力』の資産へと変わっていく感覚があった。


 パキリ、と。

 石像の内部の最も深い座標の真ん中において、物質のロックが最高効率で粉砕された心地よい音が静かに響き渡った。

 ひび割れた岩肌の隙間から姿を現したのは、空間全体の重力を微微に操作するほどの濃厚なエネルギーを蓄えた、最高級の「青い魔石コア」の全容。

 クルザードはその結晶をその素手で滑らかな手際でガチリと掴み取ると、内部へ流れていたすべての魔力の導線を一撃のもとに完璧に遮断して完全回収を完了させた。


 直後、広間の全体を満たしていた、あの肌が引き裂かれそうに冷酷だった最悪の殺気の圧力(圧)はね、一パーセントの残滓を残すこともなく一瞬のもとに完全に綺麗に霧散して消え去った。


『対象:遺跡の守護機構。状態:中央コアの完全な魔力遮断に伴う、【守護停止】を捕捉完了』


マティルデが、その四体の石像が一パーセントの流血の手間もかけずに完全に機能停止に陥って泥の人形へと化けたその見事な手際を一目の前にするなり、自慢の長剣の刃先を滑らかな動作で静かに鞘へと収めた。

「……信じられないわね、本当にお前という男は。戦う手順を最初の一歩の段階で完全に置き去りにしてね、すべてのシステムを内側から完璧に『止めてしまった』わよ……」

「一パーセントの非の打ち所もないほどの、本物の化け物ね、お前は」


「――いいや、違うよ、マティルデ。俺の能力の出力制御はね、世界の基準から見ればね、未だに細かい調整に僅かな手戻りが残る、最高に『弱い(未熟)』な段階だからね」

クルザードは当然の事実を告げるように、真顔になってハキハキと言い放った。

できることはね、確かに麹の仕込みの手際を含めて分単位で爆発的な勢いで増え続けているさ。だが――資源の管理者としての俺の理想の最高効率の計算から見ればね、体内の魔力循環の精度もね、戦闘駆動の能率の数値もね、まだまだ決定的に不足して不完全極まりないからね。もっともっと多くの新しい仲間たちを呑み込んでね、世界中で一番強固な最強の存在へと、俺自身の手の動きをさらに最強に強く『進化レベルアップさせる必要がある』のさ。ただのFacts(事実)さ。


 彼は口元に明るく快活な笑みを浮かべ直すと、中央の石の箱の防壁の前へと歩み寄り、その重い蓋を滑らかな所作で静かに全開放して中身の全体を引き出した。

 木箱の内部に整然と格納されていた最高の富の結晶。

 それはね、古い世界の不当な法律の並びからは考えられないほどの、最高級の【特製の金属板の束】。

 表面に一本の歪みもない直線で描かれた、古代の近代技術の数式たる【古代設計図】の数々。

 そして――照射空間の全体を一瞬で白銀の色に染め上げるほどの濃厚な魔力エネルギーを固着させた、最高の【青白い鉱石(魔導鉱石)】の山。

 もしもこの場に、あの灰色の立派な髭を揺らしたガルドの一族が居合わせたならばね、一瞬にして全細胞の目の色をひっくり返して狂喜乱舞の大騒ぎを炸裂させること間違いなしの、最高級の「産業の資産」そのものであった。


大商人のヴァレリアが、その金属板の表面に刻まれた古代の数式の価値を一目の前にするなり、その美しい目を驚愕に限界まで丸く見開いて声を張り上げた。

「……っ、ちょっと、お前! 一人の大商人の冷徹な商業の計算として教えてあげるわ! この手に入った古代の設計図の全体をね、市場へ一気のサプライラインで流して『売れば』ね、これまでにないほどの莫大な数万金貨の利益を最大値で叩き出して……」


「――外の市場へ流して売るなんて不効率な真似はね、一パーセントもしないさ、ヴァレリア。俺の判断に間違いはないよ」


「はは、でしょうね! お前がそう言って真顔で即答する未来の数式ね、最初から完璧に100%大正解の予測の範囲内だったわよ!」

ヴァレリアは口元を不敵にニヤリと釣り上げて、心底楽しそうな商人の笑顔を浮かべて大声を上げて笑い転げた。


クルザードはその古代設計図の文字列へと自らの穏やかな瞳を向け、頭の中に宿る【発酵食品解析】の応用で、その細部を冷徹に読み解いていった。

脳内へ直接流れ込んでくる、眩いばかりの青白い文字の更新情報の全体。


『対象:古代金属板。解析:空間全体の熱量を極限まで最低値に維持し続ける、【冷却循環装置】の数式を捕捉』

『インフラ:高度な光の魔導灯の寿命を無限の長さにまで劇的に引き伸ばす、【長時間魔力安定化】の回路を確認』

『結論:すべての近代インフラの出力を数百倍へと跳ね上げる、【魔導設備基礎】の完全なるシステム化を完了』


クルザードの明るい陽気な瞳の奥底に、これまでにないほどの強固な最高の変革の火が灯った。

これさ。これだけの最高の当たりが弾き出せたんだ。一パーセントの外貨に換えて使い捨てる時間があるならね、今すぐこの手に入った古代新技術のすべてをね、俺たちの作ったこの最高の『村の内部のインフラの全体』に向けて、100%完全に全集中して投資する方がね、数百倍は未来への投資として効率が良いからね。


 俺たちの新新設した、あの世界初の低温維持を可能にした【冷却庫】の循環能率の劇的な引き上げ。

 街の全体を二十四時間昼間と同じ明るさに照らし続ける、あの最高の【魔導灯】の長寿命化の確立。

 そして――一パーセントの遅延もなく富の流れを他国へ流し出すための、すべての【物流】のインフラの完全なる魔導化。

 すべての物事の繋ぎ目はね、最初から一本の美しい数式として完全に繋がって、手戻りなく最高効率の速度で回り始めるのさ。


最前線に立つティグリスが、その一分のブレもない彼の横顔を見るなり、分厚い肩を激しく愉快そうに揺らして崖の上全体に響き渡るような最高の豪快な大笑いを炸裂させた。

「がははは! 本気で手に入った伝説の設計図を一目の前にしたその最初の一瞬の猶予の中でね、やっぱり頭の中のすべてを『村のインフラの拡張の計算』だけに全集中して手を動かしているんだね、お前は!」


「当然さ、ティグリス。俺たちの作った最高の居場所へね、明日からもさらに多くの新しい移民の命の流れが無限に増え続けているからね。彼らの生活の『生きやすさと快適さ』の数値を最大値に維持するためにもね、この高度な技術の応用こそがね、最も確実に最強の防壁になるからね」


「がははは! 普通の未熟な人間ならね、これだけの財宝を前にして『手に入る金貨の絶対数』のことしか最初から一パーセントも考えないっていうのによ!」


「他国の大商会のイカサマの金貨を積んで大損を出すよりもね、組織の全体の生産効率を最大値に引き上げるための『高度な技術独占のシステム』を真ん中に掌握しておく方がね、俺の合理主義にとってはね、数百倍は遥かに強固で最強に強いからね。ただのFacts(事実)さ」


ヴァレリアが、その非の打ち所がない完璧な実利主義の至言を真横で耳にするなり、口元を大きく釣り上げて、心底楽しそうな商人の笑顔を浮かべた。

「ええ、完璧によ、お前! ほんと、目の高い大商人たちをね、最初の一歩の段階で完全に降伏させて涙を流させる、最高にタチの悪い『商人泣かせの最高の男』そのものよ、お前は!」


 夜。

 彼らは最高の収穫の全体をアイテムボックスへと収納すると、軽やかな足取りで最高の約束の拠点への帰還の路へと接岸していった。

 村の南側のセクションに新設されたばかりの、あのガルドの一族の新型鍛冶街の共同工房の内部。


「おいおいおいおい!!! ちょっと、待てよ、小僧!!! 一流のドワーフの職人の冷徹な計算として言わせてもらうがな、お前の持ち帰ってきたこの古代の設計図の束ね、世界中のどの大都市の歴史をも根底から完全に木端微塵に叩き潰すほどの、伝説の【遺跡級の最高傑作】じゃねぇか!!!」

最高腕のガルドが、その金属板の表面に刻まれた精密な古代の数式を一目の前にしたその最初の瞬間、自慢の鉄槌を床に放り投げながら、その黄色い目を限界まで丸く見開いて、天を衝くほどの凄まじい大声を張り上げて叫んだ。その瞳の奥にはね、これまでにないほどの本物の職人としての本気の火が、ギラギラと鋭く輝き狂っていた。


エルフの薬師ジェシカもまた、その長命種としての百五十年の歴史の記憶の手帳を一瞬で全開放しながら、驚愕のあまりに美しい銀髪を激しく揺らして絶叫の歓喜の声を張り上げた。

「……あぁ、間違いないわ! 失われた古代の近代魔術の結晶、あの伝説の【古代魔導式こだいまどうしき】の全容がね、一分の手戻りもなく完璧な姿のままここに残されていたのね……!」


クルザードは厨房の真ん中に立ち、大きな木べらを手に持ち直しながら、口元に明るく快活な笑みを浮かべ、気さくなトーンのまま、ハキハキと言い放った。

「君たちのその最高峰の職人の才能を全集中させてね、明日からの俺たちの拠点全体のインフラ拡張に向けてね、100%完全に『実地の実務の中で使える』かい、ガルド」


「がははは! 使えるかどうかなんて不確実な質問の言葉を叩いている時間はね、一秒もねぇんだよ、小僧! これほどの最高の素材を前にしてな、大喜びで全細胞の筋肉を躍動させて『今すぐ最高効率の速度で使い尽くす(使う)』に決まっているだろ、オイ!」

ガルドが、灰色の立派な髭を激しく逆立てながら叫んだ。

「お前の放つその判断の軸はな、いつだって俺たち職人のプライドの最大値をこれでもかってくらいに刺激して連動させてくれるからな、本気で最高に面白ぇんだよ!」


 その日の夜の帳が深く下りた時間軸の真ん中においてね、彼らの新鍛冶街の共同工房の内部からはね、夜が明けるその最初の瞬間までね、ただの一分の一秒もその作業駆動の能率を止めることなく、猛烈な熱気と金属音が鳴り響き続けていた。

 白銀の魔導灯の長寿命化の回路の精製。

 冷却庫の内部の低温を一定に維持するための、冷却循環装置の金属加工。

 そして、魔力導線の熱効率を一パーセントのリークもなく完璧に補修するための、最高の金具の歯車の量産体制の構築。

 最先端の新技術の数々がね、一分の手戻りもなく最高速度のラインを流れて、この最果ての地の真ん中へと分単位で怒涛の勢いで蓄積され、具現化され続けていたのだ。


 衣服を包み込む空間の全体が、どこまでも暖かく、最高の活気に満ちあふれていた。

 窓の外、見渡す限りの広大な雪景色の中に向けてね、集落の無数の家々からはね、橙色の最高の灯りの全体がきらきらと美しく輝き続け、ただの一秒の活動のロスすらも発生してはいなかった。

 五感を直接震わせるほどに極上に美味い、あの大鍋の味噌と魚節の香ばしい飯の煙の行方。

 学校での夜間授業を終えたばかりの子供たちの、心からの温かい笑顔。

 富の流れの本質を嗅ぎつけた、一流の商人たちの賑やかな大歓声。

 そして、自らの意思でこの場所に強固に定住し、残る選択を選んだ無数の前線戦士たちの活気ある声のすべて。


 新しくこの村の門の正面へと辿り着いたばかりの他国の旅人の一人。彼はね、その一分の無駄もない最高の近代インフラの機能美の全容をその肉眼で100%完全に目撃したただそれだけの瞬間にね、激しい感動の涙を流しながら、深く深く感服して低く呟いた。

「……あぁ、本当に何て言うか、この最果ての海岸線の村の防壁はね……世界中のどの巨大な帝国の軍隊よりもな、最初から根本からすべて格が違うほどに、最強に強固に回って強いよな……」


 それはね、他者の命を暴力で脅迫するような、そんな前時代的な弱い兵士の武力の強さなんかでは最初からただの一片すらもないのさ。

 ここに集まったすべての人間の肉体と精神の全体をね、一分の手戻りもなく完璧に生かし、育てるための『本物の生きるためのインフラ』そのものなのだから。


 胃袋の全細胞を満たす、最高の食。

 ガルドの一族の保持する、最高峰の技術。

 全細胞の病気を防ぐための、最高の衛生。

 民の脳を最適化する、高度な教育。

 そして――今日完全に二階層の底から回収を完了させた、あの世界の構造を一本の直線に繋ぎ止めるための最高の物流のサプライラインの開通。

 すべての最先端の歯車が一分の澱みもなく一本の流れで完璧に複合的に噛み合って回り続けることで、クルザードの合理主義的な頭脳はね、これまでの変革の歴史を通じて、鑑定という名の能力の持つ「真の機能美の本質」をね、完全に、そして深く理解し始めていた。


 鑑定とはね、ただ物質の表面の文字列を雑に読み取って一パーセントの満足をして終わるだけの、そんな浅い小手先の味付けの手順なんかでは最初からただの一片すらもないのさ。

 それはね、この世界のすべての物質の内部に宿る『構造全体の繋ぎ目の因果関係を完全に看破し、最も無駄のない最高効率のルートを自らの頭脳で読解して回すための最強の力』。ただそれだけの絶対的な合理の軸を中心に据えることで――

 古い世界の不条理な構造を完全に中央から呑み込み、明日への確実な生存の予測と共に、新時代の偉大なる最強の“国家の形”を、今、完璧な速度で力強く、自由な活気の奔流を伴って美しく駆動させ、また一歩、確実に“国家”の本質の地平へと向けて近づいていくのであった。






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