表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

苦手なことでも友達がいれば天国だ

 ミツキちゃんと分かれて、クラスに入る。すると入り口のすぐ近くに赤座くんがいて、男子と話していた。私に気がつくと、さらっと微笑んだ。


「四ツ森さん。おはよう」


「……えと、おはよう!」


 赤座くんは、「あ」から始まるから出席番号順だと、席は自然に入り口から近いこの席になる。だから、教室に入るとまず目に入るのが赤座くんの姿なのだ。


 赤座くんはよく挨拶してくれるのだが、今日はあまり挙動不審にならずに返せた。でもそれは、頭の大半を今朝の衝撃的な事実が埋めていたからだった。


 まさか、蒼真くんが……。いまだに信じられない。あんなに生意気で、私にパレット掃除までさせて……、水で洗った感覚も全部本物だったのに。


 でもたった一週間前の記憶だというのに、彼の顔立ちひとつ引っ張り出そうとしても、どこかボンヤリとしていて、その輪郭をつかむことができない。蒼真くんの顔を思い出そうとして……きれいな顔だったと、おぼろげにしか思い出せないのがもどかしい。


 ……私、霊感とかないはずなのに……。信じられない。……信じたくない。


「── お人好しだね」


 彼の声を思い出す。ため息まじりの綺麗な声。これは、ちゃんと覚えている。


 ……よし、放課後また美術準備室に行ってみよう。私の掃除したパレットや筆洗がキレイだったら、少なくとも1時間近くかけて掃除したことは白昼夢では無いはずだ。


 やっぱり、自分の目で見てみないと……信じられない。怖くないわけじゃないけど⋯⋯確認したい。そう決意しつつ、1限目の数学を机に出した。


✳✳


 ──3限目。急に降り出した雨により、体育館で男子と合同で授業することになった。授業はどちらもバスケなのだが、男子は体育館の入り口側で、女子は舞台側で行う。体育はあまり得意ではないけど、この授業は少しだけ楽しみだった。


 なんたって……!


「優陽〜、今日も一緒にペア練しよ!」


「ミツキちゃんっ!!」


 ミツキちゃんと一緒に授業を受けられるから!


 そう、体育の女子の授業は3組と合同で、ミツキちゃんと一緒なのだ。いまだクラスに馴染めていない私にとって、体育の授業は救いだった。


 我ながら情けない限りだけど、ミツキちゃんがいてくれてホントよかったっ!! ミツキちゃんさまさまである。可愛くて、人気者で、ぼっちの私にも優しくしてくれるって、彼女は女神か天使じゃないだろうか。


 ポニテ姿も最高に可愛い……っ!! ふわふわとカールした髪を後ろでポニーテールにした彼女は、私と同じジャージを着ているはずなのに輝いて見えた。どんな角度で見てもバッチリ決まっている。可愛い!! 


 もはや拝みたい、なんて胸の前で指を組むと、ミツキちゃんは首を傾げる。


「優陽? どしたの? 手なんか組んで」


 あ、ん〜と、拝んでるって言っていいのかな……? そんな会話をしていると、舞台の方から女子の体育の先生の声が聞こえてきた。


「点呼始めるぞ〜」


 時計を見るともう9時。授業開始の時刻だ。


「……あ、やば、 点呼! 優陽、 遅れるよ!」


「あ、うん! 行きます!」


 ミツキちゃんを追いかけて、体育の先生の前にできた女子の列に加わった。そうして体育の授業が始まった。今日の内容は、実技テストの項目の一つであるドリブルの練習だ。


 私は約束通り、ミツキちゃんと二人ペアでドリブル練習をしていた。しかし私はどんくさくて、ドリブルもまともにできなかった。


 止まって床にボールをつくことすら難しいのに、それに加えて動くとなると、手からすっぽ抜けるわ、あらぬ方向へ飛んでいくわで全くできない。


「ダイジョブ、ダイジョブ! もっかいやってみよ〜!!」


 ミツキちゃんはそう笑ってくれるけど、情けない限りです……。そうして私達がゆるゆると練習していると、男子コートから歓声が聞こえてきた。


 男子は、同じバスケの授業といっても流れが違うらしく、向こうはまず練習試合をしているようだった。


 私だったら絶対無理だなぁ……。試合に参加以前にドリブルすらできないし……。それにしても、すごい盛り上がってる……。何かあったのかな?


 随分な盛り上がりに、思わず目をそちらへ向ければ──。


「……よっと」


 そこには自チームのゴール近く、相手チームからボールを奪ったらしい赤座くんの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ