6 何? その、セカイノオワリみたいなノリ?
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その後、碇賀元と賽賀忍の二人は、松本の部下の零泉円子に連れられVR室へと移動した。
VR室――、正式には、半仮想現実融合型大規模分析室などといい、講堂のように少し広くなった空間には、スパコン類や、モノリスのような大きな量子コンピュータがあった。
そして、その部屋の中央の台には、零泉円子が頭半分を覆うVRギアと、加えて某ボーカロイドのように肘から手首まで伸びたウェラブルデバイスを身に着けて立っていた。
これらによって、脳と身体とコンピュータ網を接続する形で、情報分析を行うわけである。
よくSFなどでイメージするような、空中でキーボードをカタカタするような“アレ”であり、あらゆる大量の情報に超高速でアクセスし、まるで書斎の本に触れるかのような感覚で分析、解析することを可能にする。
まあ、書斎の本に触れて探すという動作が、結局そんなに早くないんじゃないのか――? というツッコミは置いておき。
そんな、近未来的に、“まあ何かやってます感”を出しているような分析室にて、
「とりま、終わたっす、ガーさん」
と、零泉円子が、碇賀元に報告しながら、冷えたペットボトルのコーラを飲む。
碇賀と賽賀ともに、その苗字に『賀』が入っているので、『ガーさん』で、二人まとめてになるのだろう。
「うーい、あんがと」
碇賀が礼を言いつつ、
「しっかし、何か、ラノベかアニメに出てきそうな格好だよな? ちょっと、エロ可愛い的なヤツ?」
「ちょっ、ガーさん……!」
と、少し顔を赤らめる零泉の横、賽賀に向かって、
「てか? アンタ、これ着てみたらと、どうよ? セクシーな、アラサーのコスプレイヤーみたいな感じで」
「は? いやよ。てか? セクハラよ、元」
「すまん、ねい。セクハラの、お詫び――」
「何? その、セカイノオワリみたいなノリ? どっかから取ってきたネタ?」
と、つっこまれる。
それはさておき、本題に入る。
分析によると、被害者たちには、いくつかの共通する点があった。
まずは、先ほどのガイシャたちと同じく、迷惑系の動画を投稿していた者たちが 何人かいた。
およそ、三つ、四つほどのグループの者たちが、犠牲になっていたのが分かる。
ただ、そこから不可解な点が出てくる。
今回の、“混沌事件”というか、目ん玉をくり抜かれた事件が起き始めた初期のころこそ、そのような悪どい動画投稿者のみが犠牲になっていたのだが、途中から、それらをSNSで発信し、拡散していた者たち――、いわゆる、ある程度の拡散力を持つSNSインフルエンサーのようなことをしている者までが、事件の犠牲者となることが増えて行ってるのが見て取れた。
「迷惑系の、動画ねぇ」
賽賀が、言い、
「ああ、ん……? こいつら、見たことあるかもしれんねい」
と、碇賀も、ガイシャの何人かにピンと来た。
「一時期、問題となった私人逮捕だったりの、炎上系だったり迷惑系の動画を投稿していたみたいね」
また、賽賀が言い、
「ええ……。それも、かなり冤罪が疑わしいものだったり、先の美人局をやってたようなガイシャたちのように……、ターゲットを探し、意図的に嵌めて、動画を撮ってたみたいっすね」
と、零泉が言った。
「意図的に、ねぇ……」
「まあ、胸糞悪いねい。まあ、示談金目的で痴漢冤罪を起こす連中もいるんだから、これだけネットで注目を集めることが金になるような世の中じゃ、“そんなこと”する連中が出てくるのも、自然っちゃ自然だろうけどねい」
賽賀と、碇賀がそう交わす。
また続けて、
「ただ……、その、動画投稿者たちだけが、一連の、“混沌事件”っちゅうんですか――? その、被害者になっているのなら、まだ話は分かるんっすけど……、少し気になるのは、その動画をSNSで拡散させた、何でしたっけ? SNSインフルエンサーみたいな人たちも、被害者になっているんですよね」
と、零泉が言った。
「何だ? その、タバコ休憩中に読める程度の記事をSNSで発信している数百万フォロワーの、何か元ジャ〇ーズアイドルとハーフが融合したようなハンドルネームの、燃える系の投稿をしているようなアレかね?」
「ああ、ピンと来たわ」
「泉、ピ〇子ね」
「ごめん、オヤジギャグ、面白くない」
と、碇賀のオヤジギャグと賽賀のツッコミに、タイミングを狂わされつつ、
「ま、まあ……、そんな感じといえば、そんな感じです。まあ、その、タバコ休憩の人の二番煎じ的というか、副業でSNSをやってた人たちも含みますが……」
と、零泉が言ってまとめた。




