↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
03 【混沌事件調査】  作者: 非常口どん八
第一章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/39

5 別件の、ベッケンバウアー



          (3)




 場面は変わって、特別調査課にて。

 碇賀元と賽賀忍の二人は、現場の調査から戻ってきて、


「――というわけで、僕ちゃん、来ますた」


 などと、碇賀元はふざけながら、“ある調査室”へと入っていくと、

「ああ”? 何が、来ますた――、だよ? 舐めてんのか? 人が、イライラしてるって時に、」

 と、すぐに、露骨に苛立つ女の声が返ってきた。

 アラフォービューティの室長こと、松本清水子だった。

 “松本室長”と、昭和の文豪、“松本清張”の語呂が似ているせいか、ややグレーがかったミドルヘアに、厚い黒ぶちメガネが特徴的だった。

 ちなみに、この室長の松本清水子だが、碇賀元たちの所属する調査室とは別であるものの、つき合い自体は長くて、ゆえに、このような間柄だった。

 なお、その松本清水子の後ろでは、

「……」

「……」

 と、まだ二〇代のふたりの部下が――、ラノベ主人公によくいそうな髪型をした青年、黒桐廉太郎と、おかっぱがかったワイルドヘアを31アイスのようにカラーリングした零泉円子のふたりが、キレ気味の松本に対し、怯えたようすで戦慄していたが……

 ふたりに気づいて、

「あん? 何してんだ、君ら?」

 と、碇賀元が聞いた。

「あっ、碇賀さん、」

 黒桐廉太郎が気づき、

「あ? ガーさん、こ、こんちわっす、」

 と、続けて、零泉円子が反応した。


 挨拶はそこそこに、本題に入る。

 碇賀元と賽賀忍は、松本清水子たちに、今回の件のことを話した。

「――それで? この件の、ガイシャたちを、ウチらにも調べてほしいって、わけ?」

 と、松本清水子が、単刀直入的に聞いた。

「そ、そっ、そゆこと」

 碇賀元が、半ばフザケたノリで答え、

「何が、そ、そ、そゆこと――だっての、うぜぇ、」

 と、松本清水子が苛立った。

 なお、このキレ気味と、口の悪さだが、これは、松本清水子のデフォである。

「てか? 何で? ウチらが、アンタたちの案件の手伝いをしないといけないわけ? こっちは、この件について、関係ないんだけど」

「まあ、別件の、ベッケンバウアーって感じで、すこしだけ手伝ってよ? 松もっちゃん」

「ああ”? 面白くねぇよ。しかも、全然、別件でもねぇし」

 松本清水子が、碇賀元のオヤジギャグにつっこんだ。

 そうしながらも、

「ったく……、まあ、いま、すこし手が空いてるから……、円子でも、貸したげる」

 と、ツンとデレの境界の如く、そのまま断ってくると思いきや、松本清水子は手伝ってやると言ってくれた。

 なお、貸しだすと言った零泉円子であるが、特別調査課の、VR調査室のオペレーターとしても活躍できる能力を持っている人材だった。

 ちなみに、VR調査室とは、“近未来的な電脳空間を用いた部屋的なもの”である。

 松本清水子は、零泉円子のほうを向いて、

「――って、わけだからさ? ちょっち、手伝ったってよ、円子」

「う、うっす、」

 と、零泉円子は頼まれ、返事した。

「おう、そしたら、借りるねい。そのまま、返し忘れっかもしれんけど」

「返却期限までに返せってんだよ。図書館の本かよ」

 と、松本清水子が、碇賀元につっこむも、

「いや……、円子なら、いっか」

「え、ええッ……!?」

 と、まさかの言葉に、零泉円子がマスオさんばりに驚いて見せた。


 そのようにして、とりあえずは、零泉円子が、碇賀元と賽賀忍のふたりに協力する形となったものの、

「つったって……、わざわざ、VR室使って調べてもさ? 何か、統計的な傾向が、分かるくらいかもしれないだけかもしれないけど……、いいの?」

 と、松本清水子が聞いた。

 まあ、人工知能の応用が広まって久しく、人類をシンギュラリティに導くだろうとの予測があるのものの、「“あんなもの”、あくまで“機械学習”に過ぎない」と評する意見も少なくない。

 貴重な半導体、コンピュータを大量に使っておいて、“ちょっと考えりゃ分かるじゃないか程度”の分析を出してきたり……、また、そもそも、「わざわざそんなところに人工知能使う必要あるのか?」と問い詰めたくなるような、ポンコツな使いかたをされることも少なくない。

 なので、このSFじみたVR分析というものも、そこまでアテにしないほうがいい、といった意図だろう。

「まあ、それでも、いいさ。そっから、何か、考えれたら考えれたらで」

「はぁ、」

 のん気なそうな碇賀元に、松本清水子は気の抜けた相づちをしながら、

「ああ? そう言えば、さ?」

「う、ん?」

「手伝ってほしいなら、さ? “あいつら”に、頼めばいいじゃない? どうせ、暇してるだろうし」

 と、松本清水子は、思い出したように提案してきた。

「“あいつら”……? ああ? 松もっちゃんの、旦那さんたちか」

「元(もと)だっての、殺すぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。