表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/39

4 某帆船のチョコレートに似た名前の車

 それはさておき、本題に入る。

 碇賀が、

「――で? ガイシャたちは、私人逮捕とか、やってたヤツらみたいな連中なんだな? あまり、知名度はなさそうだが」

 と、資料を見つつ、群麻と無二屋の二人に聞く。

「みたい、ですね」

 群麻が、そのとおりだと相槌する。

 また続けて、碇賀が、

「それで、何やら、ガイシャの女を囮として、売春を持ちかけた男をターゲットにして、動画とかも撮りつつ、強請ってたて話だがな」

 と、資料を眺め、確認する。

 同時に、彼らメンバーの一人が撮っていた、“売春を行っている者を成敗する”的な動画を再生させながら。

 その横から、

「――で、それが原因で、こいつらが何者かに殺された可能性がある――、ってわけね」

 と、賽賀が言った。

 まあ、それが直接の原因かは分からないが、ガイシャたちのグループは、碇賀が確認したような、“美人局”と、動画撮影という近代的な手法を組み合わせることで、あくどい小遣い稼ぎを行っていたようである。

 その中には金目的でなく、単純に、面白半分で行ったとしか思えないものもある。

「何か、犯罪グループと、シノギがかち合ったの、か――」

 碇賀が言い、

「あるいは、本職の怒りに触れるようなことでも、やってしまったんですかね……」

 と、群麻が、その続きを言った。

 シノギだの、本職だの、アウトローな匂いのする言葉が出てきつつ――

 まあ、そこまでは、部分的には分かる。

 先ほど刑事たちとも話していたとおり、対立していた犯罪グループどうしの報復というもの、あり得ると言えばあり得るし……、はたまた、どんくさい間抜けな犯罪グループが、やってはいけない相手にやってはいけないことを――、例えば、某帆船のチョコレートに似た名前の車を盗難したところ、その持ち主がアウトローの大物だった――、のようなことをしてしまい、粛清されてしまった。

 そういう、ちょっとした作り話みたいなことも、少ない確率ながら、あるといえばあるのかもしれない。


 しかし、

「――ただ、そうすると……」

 と、賽賀がそう前置きして、沈黙を破りつつ、

「今回のガイシャたちだけなら、話は分かるだけどさ、過去の、これまでのガイシャたちは、どうなの――? って話になるわね」

 と、疑問をあげた。

「そう……、そこ、なんですよね」

 群麻が、そのとおりだと相槌する。

 というのは、これも先ほど現場で話していたとおり、同様の事件はここ最近続いており、その被害者は2、30人ほどにのぼる。

 その、今までの被害者たちの資料を見つつ、

「中には、今回の被害者たちのような、犯罪だったりアウトローなどと、つながりありそうな者もいるが……、それ以外は、おおむね一般ピープルの範囲内の人間ばかりなんだよな……」

 と、碇賀が言った。

 その資料を見るに、被害者は学生だったり、会社員だったり……、あるいは、フリーで何かをしている人間だったり。


 また、その横から、

「ふぇー……、動画配信者だったり、Ⅴチューバーだったり……、あるいは、SNSライター、インフルエンサーっぽい人も、いますねぇ」

 と、無二屋も、資料を見ながら言い、

「まあ、ちょっと変わった職業といえば、変わった職業なんですけど……、こういう仕事も、認知されて久しいですからね。一般人といえば、一般人よりになりますよ、ね?」

 と、群麻が、皆に確認するように言った。

「……」

 碇賀は無言で、何か考えるように、チラリ……と見ていたが。

 その碇賀が、

「はぁ~……」

 と、煙草を吸いたい様子で、眠たそうに溜め息しつつ、口をひらく。

「そうだな……、このガイシャたちが皆、そのような犯罪グループや本職と関係あるのか――」

「……」

「……」

 と、群麻と無二屋が耳を傾ける中、一呼吸おきつつ、

「――あるいは、ただの、猟奇殺人なのか?」

「……」

 と、賽賀も、流し目で見ながら、

「……まあ、もう一度、今までのガイシャのプロフィールなり、共通点なりを――、調べたほうが、いいかもな」

 と、煙草の煙を吐き終えるように、碇賀が言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ