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ラット及びウェアラットと再会

ネズミたちはどこにでも現れるモンスター。

魔物調査員の第一人者スコラ先生に誘われ、治癒師のスーズは、古い洋館に来ていた。

「わぁ、埃だらけです。」

「しばらく誰も入っていないはずだからな。」

私スーズは、スコラ先生と探し物に来ていた。そばを小さなネズミが通過する。

「ネズミです。」

「うむ、ネズミだな。ネズミも立派なモンスターの一種だ。」

「そうですね。」

「ネズミ。動物学的に言うところのげっ歯類。一生伸び続ける歯に丸い耳、長い尻尾が特徴。小ぶりなものからデカくなると一メートル以上になるものまである。どこにでも生息しており、暗い場所をよく好む。群れで動くものもあるが、単独のものも多い。疫病を持っているものも多く、注意が必要だ。単純な毒だけなら教会に行って治してもらえればいいが、疫病をもらう場合があるため注意されたし。特に比較的近年起こった結核騒ぎが有名だろう。空気感染するのも相まって、騒ぎとなったものだ。教会が長期の治療に当たったことで治まった。見た目には可愛らしいが、意外にも凶悪だ。初心者の最初の関門でもあるな。攻撃力は高い方で低体力耐久。素早さが早め、知力もそこそこ。しかし魔法は使えない。最大の特徴は大半の個体が持っているデバフ。攻撃、防御のステータスダウン、毒がある。ヒーラーに毒を治す魔法は必須だ。まれに治療不可の疾病を付けてくる場合もある。教会に行くといい。ドロップ品は小さな木の実。そのまま食べることはお勧めしない。少なくとも火は通すべきだ。そんなところか。」

「さすがの知識ですね。確かに解毒魔法を覚えていないころは苦労させられました。」

「スリップダメージがあるからな。低体力の初心者にはきついだろう。さて、洋館の中だが書斎に目的のものはあるらしい。」

我々は大事なものを洋館に取りに来ていたのであった。ぎしぎしときしむ床を踏み進めながら書斎を探す。

「ここは風呂場だな。」

「こちらはリビングのようです。」

奥へと進む。長い廊下の先に何かいた。

「ん?」

「ウェアラットだと?こんなところに住み着いていたとはな。」

人型のネズミが二人そこにはいた。

「会話を試みよう。もし、そこの二人?」

ウェアラットが威嚇する。こちらに爪を向けてきた。

「交渉は不可。戦闘に入るぞ!」

「はい!」

スコラが先手必勝の魔法を唱える。

「フレイム!」

範囲フレイム。炎の呪文。ネズミが燃える。スーズが魔法を唱える。

「ポイズンバリアー。」

スコラに毒耐性がつく。ウェアラットの攻撃。爪でひっかく。もう一匹の分も飛んでくる。スコラが受ける。

「うむ、いいぞ!なかなかの痛みだ。」

フレイムを再び唱える。スーズはヒールを唱えた。ウェアラットたちはたまりかねたのか、窓から逃げていく。

「やりましたね。」

「逃げていったな、もったいない。ドロップ品が欲しかったのだが。」

「何かに使うんですか?」

「後学のためだ。まさかウェアラットがいるとはな。ウェアラット。ウェアウルフなどにもみられる、人とネズミを組み合わせたような見た目が特徴だ。人語や魔法を使う例も少数だが確認されている。ネズミと同じく疫病を持っている。ネズミと特徴は一致している。デバフの種類に攻撃方法からステータスまで。ウェアラットの方が手ごわいとされる。とはいえ似たり寄ったりだ。使うとされる魔法はデバフ系。ステータスダウンが主だ。ドロップ品は、銅貨、ネズミの爪。ネズミの爪は魔女などが薬を作るのに使うな。ネズミの爪を使ったポーションの代表と言ったら、毒のポーションだろうか。文字通り投げた相手を毒状態にするポーション。」

「よくお世話になっていました。」

「初心者にとっては大事なダメージソースだからな。攻撃によってできる傷は切り傷か。書いておこう。さて、この先に書斎があるだろう。」

通路を抜け、扉を開く。書斎だった。本が所狭しと置かれている。

「これだ!」

スコラ先生が一冊の本を手に取る。

大魔法のための基礎。

「それが冒険者ギルドに言われた本ですか?」

「帰ってきているパーティーの何人かが必要としているらしい。図書館にあるものがなかなか返却されないらしくてな。」

「大魔法、すごそうですね。」

「大魔法と言っても、究極魔法の基礎みたいなもんだ。僕も少しかじっているよ。さっき使ったフレイムがそうだな。」

「へー。魔法はヒーラー用の魔法しかわかりません。」

「ポイズンヒールなんてコアな魔法覚えているものな。」

「ポイズンヒールが使えなかったんです・・・。今は覚えていますけど。」

「なるほどな。それで補っていたと。」

「ギルドに戻りましょう。」

「そうだな。」

古い洋館を離れ、街へと戻る。

「これを渡したら臨時収入だ。一緒に食事でもどうかね?」

「お供させていただきます。」

冒険者ギルドの受付に本を渡す。

「クエストクリアでございます。こちら報酬です。」

スコラが袋の中身を確認する。

「いいだろう。そういえば、洋館にウェアラッドが湧いていたよ。」

「そうでしたか。長いことあそこも使われていませんからね。注意喚起をしておきますね。」

「ああ、そうするといいだろう。さて、酒場に行こう!」

酒場。金の稲穂亭。

今日も酒場は人でいっぱいだ。

「酒は飲むかね?」

「遠慮しておきます。」

「エールを一杯。それから・・・。」

スコラ先生が次々に料理を注文していく。愛想のいいウエイトレスから料理が机に次々と運ばれてくる。スコラ先生が調査書を片手に食べ始める。スーズも料理に手を付ける。ポリッジを食べる。

「うーん。ここのポリッジはいつ食べても最高です。」

「僕はトマトパスタがお気に入りだよ。」

「おいしいですよね。」

夢中になって食べる。

「ごちそうさまでした。」

「奢ったかいがあったよ。」

「誘ってくれてありがとうございました。」

「また、何かあれば誘おう。君と僕の仲だからね。」

君と僕の仲?それには疑問を感じたが、あえて突っ込まなかった。スコラ先生と別れた。

「お、スーズじゃん。」

酒場から出る途中声をかけられる。

「あれ、リーガー?」

「久しぶりだな。今何してんだ?」

「教会で働いてるよ。リーガーこそ何してんの?」

「荷物の配達。配達員やってんだ。隣街からこの街への専門のな。」

「戦士やめちゃったの?」

「今もやってはいるよ。ただ、いいパーティーも組めないし、暇になるくらいならって、パーティー組んでない間だけこうしてやってる。今日も金の稲穂亭に、ポリッジの材料を届けに来たんだ。」

「そうだったんだね。」

リーガー。私が冒険者をやっていたころの元パーティー。そこそこの腕のパラディン、初心者魔術師、初心者戦士リーガー、初心者ヒーラーの私で冒険してた。リーガーとは最後に分かれて以来だ。

「懐かしいなー。」

「そうだな。教会はどうだ?やっぱ優しいのか?」

「結構厳しいよ。上司の人に怒られてばっかり。この間も回復のポーションと間違えて、混乱のポーション持ってちゃった。」

「相変わらずうっかりさんだなスーズは。」

「えへへ。」

「んじゃあ、配達の仕事まだあるから。」

「何かあったら教会によってね。」

「おう、ばいばい。」

「ばいばい。」

久しぶりの出会いに、ちょっぴりの嬉しさを抱えながら、スーズは教会へと戻っていくのだった。





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