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役立たず鑑定士を追放した配信サークル、崩壊する 〜レアドロップ逆転の俺と黒髪の最強少女〜  作者: モコナッツ


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18/22

救援

静まり返った坑道に、クレイゴーレムの崩れた土と泥の中から小さな光が転がり出た。カラン、と乾いた音が響く。


「ドロップだ」


 しゃがみ込み、鑑定を発動する。


【土精の指輪】

 防御力+3


 汚泥を拭き取ると、シンプルだがよく磨き込まれた、大理石調の指輪が顔を出した。


「装備品ですね」


「雑魚からも装備品が出るのか?」


 凛はIDカードをスマホにかざすと、慣れた手つきでシャシャッと画面を動かした。


「みたいです」


 画面には、クレイゴーレム――土精の指輪、ドロップ率1.8%と表示されていた。


 低い。ありがたいな。


 俺は指輪を右手で拾い、自分の左手の人差し指に嵌めた。指にはめた瞬間、皮膚の内側に薄い膜が張ったような感覚が走る。


「これ良いな。初討伐の記念だ、宝物にするよ」


 俺が言うと、凛が少しだけ笑った。


「それなら、私も欲しいです」


 どういう意味か一瞬聞きたくなったがやめておいた。世の中、聞かない方がいい事もある。


 ……だが悪い気はしない。

 いや、正直。俄然やる気が出た。


「じゃあもう十匹くらい倒すか」


「そんなに要らないです」


 顔を見合わせて俺たちは笑った。


 ————————————


 結果、第二層に着く小一時間の間にクレイゴーレムを五体倒した。


 ドロップ品は土精の指輪が五つ。さらにスキルの種が四つ。一つは俺が食べて今は三つ。


【スキルの種】

 防御力上昇:小


 文句無しの立ち上がり。さっき一文無しになったばかりなのに、分からんもんだ。戦闘も安定していた。二人とも息切れ一つない。


「思ったより順調だな」


 凛の左手の人差し指に嵌った指輪をチラリと見た。少しハイになってるのが自分で分かった。我ながら単純だ。


 こんなに良い気分は久しぶりだった。指輪とスキルの効果も効いて、戦うごとに強くなっている実感がある。

 少なくともこの辺りの敵なら、もう負けないだろう。


「この調子なら依頼も問題なさそうだ」


 そう言った瞬間、凛が足を止めた。

 少しだけ真顔になる。


「知ってますか? 慣れてきた時が一番死ぬらしいですよ」


「……悪かったよ」


 一応、探索者歴はこれでも三年目なんだが。だが、これを言うときっと面倒になるので、それ以上何も言わなかった。


 ————————————


 坑道をさらに進むと、採掘跡が広がる空間に出た。


「凛、凄い眺めだな」


 俺はランプを持つ手を伸ばして、辺りを見回した。


 ダンジョン化の影響なのか、元からこうだったのかは分からない。先程まで無造作に掘られた洞窟が、切り立った岩の壁面に変わり、古い採石場の広間は魔素を含んで青白く光る苔にライトアップされている。


 日常の世界から切り離された地下神殿のようだった。


 岩壁が奥から吹き抜ける風に冷やされて、ひんやりと心地いい。ダンジョンでなければ、妙に洒落たデートスポット扱いされていてもおかしくない。


「ここから第二層ですね。気を引き締めていきましょう」


 景色にはまるで興味がない、と言わんばかりの口調だった。俺は肩をすくめた。


 その時。


「神谷さん、あそこ———」


 凛が前方を指さした。目の前には何もない。


 なおも指差す凛につられて、俺も額に手を当てて目を凝らした。すると百メートル以上先だろうか、突然青白い光が走った。


 ———戦闘だ。


 他の探索者がゴーレムと戦っている。

 先程の光は誰かの魔法だったのか。更に目を凝らす。囲まれている。


 やがて、誰かが倒れた。ハッキリと押されている。


「あれが今回の依頼のストーンゴーレムです。ここからだとあまりよく見えませんが、三体は居るみたいですね」


 凛はいつも通り淡々としていた。だが、迷っている時間はない。


「言ってる場合かよ。行くぞ」


「はいはい」


 さっきまでちょっとしたデート気分だったのに、とんだ水差し野郎がいたもんだ。悪いがあいつらで憂さ晴らしさせてもらおう。



「くそっ、化け物!こっち来るな!」


 半分ほど駆けたところで、ようやく向こうの様子がはっきり見えてきた。


 二人組の男女が襲われている。


 剣士らしき男が倒れた女を庇うように立ち向かっている。だが、岩の体に刃が通っていない。


「雷光!」


 女が尻餅をついたまま呪文を唱えると、指先から先程見えた雷の矢が放たれる。だが、体勢が悪かった。矢は狙いを逸れて肩を撃ち抜いた。砕けた肩はものの数秒で再生し、何事もなかったようにゴーレムが女ににじり寄る。


 ゴーレムの腕が振り上がった。


「彩乃、逃げろーっ!」

 男の悲痛さがこちらにも伝わってくるようだった。


 振り上げられた腕が彩乃に振り下ろされる。

 間に合わない。そう思った瞬間。


 目の前のゴーレムがいきなり崩れ落ちた。


「え?」


 振り上げて無防備になったゴーレムの脇腹のコアに、凛のナイフが深々と突き刺さっていた。急所を貫かれたゴーレムはもう、ピクリとも動かなかった。


「どうも」


 追いついた凛が、淡々と声をかけた。


 いつナイフを取り出して投げたのか、俺にも全く分からなかった。まざまざと差を見せつけられた気分だ。


 一呼吸遅れて、俺も男と対峙していたゴーレムに追いつく。


 女に気を取られていた男が向き直った。

 だがもう遅い。コイツは俺の獲物だ。


 男を餌にゴーレムの背後に回り込んで、背中のコアに思い切りナイフを捩じ込んだ。


 クレイゴーレムと同じく、コア自体はそこまで硬くないらしい。腕を引くと同時に、ガラガラッと崩れ落ちた。


 起き上がって凛を見ると、二体目のゴーレムも既に仕留めた後だった。鑑定結果ではコアは腰辺りで、かなり狙いづらい位置にあった筈だが、凛には関係ないらしい。


 さっきまでは、少しは近付けたつもりでいた。まだまだ背中は遠いようだ。


 ほんの少しだけ、悔しかった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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