再認識2話
今日も無理せず、無事に一日を終えられたらいいですね。
無事に一日を終えられたら、悩みや心配を忘れてゆっくりお休みください。
お休みの時間なら、私の作品とともに明日への準備ができることを願っています。
読者の皆様の人生に、私の作品が大きな助けになることはできないかもしれませんが、
少しでも活力の源になれたら嬉しいです。
いつも作品を読んでくださって本当にありがとうございます。
大好きです、読者の皆様。
エーテルブレードをプレイしていた当時に見た、ゲーム内の人物たちの記録。
今になってようやく、それがポジウェル家の先祖によるものだと気付き、こうした形で自分と繋がっていたのだと理解した。
「先祖の記録には、並大抵の装備ではこちらが被害を受けるだけだと記されていた」
「ポジウェル家の先代当主様が、本当にそんな記録を残しておられたんで?」
「そうだ」
「はあ……」
俺の説明を聞いてようやく納得したのか、エバン少領は深くため息をついた。
「今は他に手がないけん送り出すしかなかとです。気ぃ付けてくだされ」
「できる限り努力する」
エバン少領に自分の意思をはっきりと伝えた俺は、痛みを堪えながら立ち上がった。
そして、もしかすると鋼の棺桶になるかもしれないコクピットへと戻る。
「すぐ片付けて戻りますけん、無理はなさらんでください」
俺は軽くうなずいた。
『ガシャン、ガシャン』
『ギィィィィィ……』
『ドン』
わずか数刻で原形を大きく失ったハッチが、軋む音を立てながら外界と内部を遮断した。
(改善と修繕が必要だな)
攻撃を受けたことも、エバン少佐がハッチを開けるのに苦労したことも、すべてが貴重な経験だ。
これらを無駄にするつもりはない。俺は静かに決意を固めた。
(一度起きたことは、二度目も起きる……)
遠征が終わり次第、整備と改良を行うと決めた俺は、操作に集中する。
二度も奇襲を受ける気はなかった。慎重に、騎士たちのいる方角へと進む。
『シィィィィィ……』
『ドン、ドン』
空気の抜ける音が聞こえるが、それでも機体はどうにか歩行を維持していた。
さすがに先ほどと比べれば万全とは言えないが、致命的な損傷ではないのが不幸中の幸いだった。
――その時。
『閃光』
「――あれは……!」
強烈な光。
まるで地上に太陽が降臨したかのような輝きが、目的地から放たれていた。
(アルドリックか!)
熟練の騎士であり、ソードマスターでもあるアルドリックだ。
よほどのことがなければ使用せず、試験の段階まで温存するだろうと考えていた。
だが、まさかこの緊急時に使うとは――機能を組み込んだ当時の俺は、そんな事態を想定していなかった。
(試験というものは、過酷な環境を通してこそ意味があると思うが……)
すでにある程度の成果を出し、検証済みの技術であればまだ納得できる。
だが、外骨格スーツやマナタンクによる強化――いわゆるブースト技術は、まともな実戦試験を一度も行っていない。
結果は、完全に未知数だった。
人体にどんな影響を及ぼすかすら、想像がつかない。
(っ!)
アルドリックは他の騎士とは比較にならない速度で敵へと肉薄した。
そして終始、異形を圧倒している。
(俺が考えすぎただけか……? 一見、問題なさそうだが……)
――だが、その認識が甘いものであると、すぐに思い知らされる。
(想定した出力じゃない……それに消耗が激しすぎる!)
設計時の想定では、あくまで操縦者の補助に留まるはずだった。
しかし実際は違う。すべての能力を引き出し、限界まで酷使する――まるでオーバークロックだ。
このまま運用を続ければ、機体だけでなく、操縦者の精神と肉体にも取り返しのつかない損傷を与えかねない。
(このまま見ていられる状況じゃない!)
『タタタタタッ』
俺はスイッチレバーを一斉に倒した。
本来、戦闘用に開発した機能ではない。
だが今は、そんな贅沢を言っている余裕はなかった。
即座に機能を起動させる。
「温存したところで、誰かが褒めてくれるわけでもないだろう!」
ペダルと両腕のレバーを荒々しく操作する。
損傷を受けた機体は、それでも俊敏に応答し、走り出した。
(不幸中の幸いだな)
理由は不明だが、異形は大きな駆動音を立てて接近する機体にまったく気付いていない。
(記憶している姿と変わらない……!)
見た目は人間と大差ない。
だが、その皮の内側には内臓の代わりに別の何かが潜んでいる。
鋭い歯がびっしりと並ぶ口腔。
背中からは絶え間なく蠢く触手。
それだけで、人ではないと理解させるには十分だった。
(適切な職と装備がなければ遭遇すらできないイベントのはずだ……なぜ今、このタイミングで……?)
序盤でありながら、豊富な資源と有能な人材を得られるイベント。
だが同時に、失う可能性も極めて高い。
まさにハイリスク・ハイリターンの極致。
この時点で遭遇するなど、夢にも思っていなかった。
『カチッ』
『ガコン』
作動に適した距離に入ったと判断した俺は、レバーを操作しつつボタンを押す。
機械音とともに作動部がせり上がり、いつでも発射可能な状態で待機した。
「これでも喰らええええええッ!」
「最初に一つになる栄誉を与えてやろう!」
『ズガァァァッ』
『ドンッ』
「な、何だと!?」
俺は右足を大きく踏み込み、軸足にして上半身を回転させる。
その勢いのまま、左腕を前方へ突き出した。
原始的ではあるが、生物には耐え難いほどの強大な力を宿した工具が、異形へと叩き込まれる。
『ゴォォォンッ』
『ブシャァァァッ』
本来は工事用の道具に過ぎない。
だが、その衝撃に耐えきれず、異形の皮膚はあっけなく裂けた。
青い血が、大量に宙へと飛び散る。
「工事用とは思えないほど効率的だな!」
次回の話は2026年4月14日(火)午後8時にアップロードされる予定です。
ぜひご覧ください!




