第七十一話 《龍神》
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第71話を投稿させていただきました。
ついに《暁》と《龍神》がぶつかり合う。
神木を追放した者たちはいったいどれほどの力を持っているのか。
是非お楽しみください。
荒川以外の《龍神》勢力はシエル、リリィ、アリス、ヤミ、ルシファー、キツネへ攻撃を仕掛けていた。
「《龍神》…。ずいぶんと人が増えたんだね…。」
「そういう《暁》も増えたじゃねぇか。あれ、それでも何人か死んじまったんだっけか?」
シエルにそう言う神崎は声を上げて笑い始める。
「やっぱり暁彦も含め《暁》って雑魚チームじゃんかよ!なぁ!」
神崎に続いて田島が言う。それに五条、志村、櫻井、斎藤、山田が嘲笑う。
「そろそろ黙れ。ゲス共。」
「おぉ。これはこれはルシファーさんじゃねぇかよ。」
神崎は剣を抜きルシファーの前に歩み出る。
「どうしたよ?怒ってんのか?」
神崎がニヤニヤしながらルシファーの顔を眺める。ルシファーは剣を抜き神崎へ振るう。神崎はそれを悠々と受け止め
「たとえ《終末の七勇者》だろうが女が俺に勝てるわけないんだよ!お前ら!女はみんな殺せ!」
五条、志村、櫻井、斎藤、山田、田島はシエル達へ駆け出す。しかし、《龍神》のメンバーであるはずの森田、高橋はその場に留まったままだった。
「何してんだ?お前ら。」
神崎が高橋へ寄り頬を叩く。
「何してんだって聞いてんだよ!聞こえてんなら、返事しろ!殺すぞ!」
それでも二人は黙っている。
「クソ!こいつら殺したあとはお前らだからな。」
神崎は殺意に溢れた視線を高橋たちに向け、ルシファーへ向き直る。
「ずいぶん慕われていないようだな。クズ男。」
「言ってくれるじゃねぇか!クソ女!」
神崎は剣をルシファーへ振るう。ルシファーは神崎の攻撃を躱し
「遅いな。」
と耳元で煽る。
「テメェ!」
神崎は眉間にシワを寄せ剣を雑に振るう。
「そんなもので私に勝てるとでも?」
「当たり前だ!女が俺に勝てるわけがねぇんだ!」
「そうか。クズはクズらしく死ね。」
ルシファーは神崎を睨み
「潰れろ。」
途端、神崎の体が頭上から押し潰され血飛沫を撒き散らし血溜まりと化す。
「カスが。」
山田と斎藤はヤミへ剣を振り被る。
「神木を追い出したのってあんたたちでしょ?」
二人が迫る中、ヤミは冷静にそう言う。
「それがどうした!雑魚に人権ねぇから!」
斎藤はそう言い張り剣を振るう。ヤミはそれを躱し
「雑魚には人権無いんだね。じゃああんたたちも同じじゃん。神木より弱いくせに。」
「何だと!クソアマ!」
山田はそれにブチギレ刺突を放つ。
「ケルベロス!鬼!」
ヤミの声にケルベロスと鬼が現れ、鬼は金棒を振るい、山田と山田の握る剣を叩き潰す。
「山…田…。」
その光景に斎藤は唖然とする。
「ケルベロス、やっちゃって。」
ヤミの低い声と目の前の怪物に斎藤は腰を抜かし後退る。
「や!やめて!やめてください!」
だがケルベロスは斎藤に飛び掛かり三つの口がそれぞれ斎藤へ噛み付き、その度に斎藤の断末魔が響き渡る。五条はシエルへ大剣を振り下ろす。
「女の子に手を上げる男ってカッコ悪いよ?」
「俺は男女平等主義なんだ!女に手を上げないってのは差別だからしないのさ!」
そう言って軽々と大剣を振るう五条。しかし、シエルはどうってことのないように大剣を躱していく。
「ちょこまかと!お前も戦え!」
「別に良いけど、私が攻撃したら多分あなたすぐ死んじゃうよ?」
「じゃあ試してみろよ!女ぁ!」
五条が余裕の笑みを浮かべ、大剣を振るうと同時に五条は氷漬けになり砕け散る。
「ね。言ったでしょ。」
志村はリリィへ駆け出していく。
「いい女だ!動けなくして俺がその体使ってやるよ!」
志村は頬を紅潮させながら素早い動きでリリィへ迫る。リリィはバスターソードを背から抜くと、真一文字に一閃する。志村は跳躍し、リリィの攻撃を躱すと背後に回り込み首根っこを掴む。
「んぁ…。」
リリィは急に脱力し、バスターソードを離す。
「良い子だね。」
リリィの耳元で舌舐めずりしながら囁く。志村の気色の悪さにリリィは身震いする。
「可愛い反応するね。はぁ…興奮してきちゃったじゃないか…。どうしてくれるんだ?もう抑えられない。」
志村は首根っこを掴んだ手とは逆の手をリリィの腰に当て、そこから横腹、そして胸へとゆっくり手を這わせる。
「んっ…。」
「むほほぉ!最高だぜぇ!」
そしてリリィの大きな胸を揉みしだき始める。
「良いね!良いね!」
「やめ…て…。いやぁ…。」
「そう言われると余計に興奮してきちゃうじゃないか…。」
志村が鼻の下を伸ばしていると
「吹き飛べ。」
ルシファーの声に反応するように志村は遥か彼方へと吹き飛んでいく。
「大丈夫?リリィ。」
倒れそうになるリリィをルシファーが支える。
「ありが…とう…。」
リリィが力なく礼を言う。ルシファーはリリィとバスターソードを抱えるとこの場を少し離れる。櫻井はキツネへ銃口を向ける。
「お嬢ちゃん。そこから一歩でも動いたら撃つぜ。」
キツネは言われた通り一歩も動かずにいる。
「良い子だ。」
櫻井はキツネへ近付き眉間へ銃口を突き付ける。
「死にたくなければ俺の言う事を聞け。」
「なんでしょうか…?」
「仲間を殺してこい。」
櫻井の言葉にキツネは目の色を変え
「断ります。」
と断言する。
「じゃあ死ね!」
「劫火紅蓮!」
櫻井が引き金を引くよりも早く、キツネの魔力が発動し、櫻井は燃え上がる。田島はアリスへ近付きながら
「アリューシア・テイラー。お前の祖母だよな?お前たちが俺たちに楯突くと俺たちはいつでもお前の祖母を殺せるんだぜ?」
「脅しですか?」
「ハハハ。そうだよ。」
「ゲスですね。」
「生意気言ってんじゃねぇぞ!巫女風情が!」
急に声を荒げる田島。しかしアリスは何の反応も示さず
「符術 雷。」
田島へ雷を落とし、黒焦げにする。
「あなたたち四人はどうして命令に従わなかったの?」
シエルが森田たちへ近付く。すると高橋が口を開く。
「俺たちは星影たちのクラスメイトです。あいつの仲間に手を出すような命令は聞けません。」
「…カゲの?」
「はい。」
そこへ
「何してる?」
荒川が現れる。その手には神木の刀が握られていた。それを見たシエルは戦慄した。
「神木は…?」
「俺が殺した。安心しろ。ちゃんと生き返らないように首は刎ねておいた。」
「氷輪月花!」
氷が荒川を包み込もうとするが、荒川は絶対切断で氷を切り裂く。
「無駄だ。」
そこへアリス、キツネ、ヤミも駆け付ける。
「その刀は…。」
ヤミがそれに気付くと
「刀見ただけでみんな分かるもんなんだな。まあ雑魚だから俺に殺されるんだ。あいつの仲間であるお前らも雑魚だろうがな。」
荒川は自分の刀も抜刀する。
「来いよ。」
荒川が挑発的に切っ先をシエルたちへ向ける。
「みんな、いくよ!」
シエルの声にアリス、キツネ、ヤミは駆け出し
「符術 鎌鼬!」
「妖術 劫火紅蓮!」
「氷輪月花!」
三人の攻撃は絶対切断により切り裂かれる。
「ドラゴン!いけぇ!」
ヤミが召喚したドラゴンは紫色の炎を吹く。荒川は絶対切断により炎を切り裂き、自身の刀を振るうと巨大なドラゴンの首が切断される。
「そんな…。」
荒川はヤミへ駆け出し、鳩尾に蹴りを入れる。蹲るヤミへ刀を振り下ろす。しかし、その攻撃はルシファーにより遮られる。
「吹き飛べ!」
荒川はルシファーの命令に吹き飛ばされる。
「ずいぶんと手荒だな。」
荒川はシエル、アリス、ヤミ、キツネ、ルシファーに囲まれる。
「俺の能力は斬撃を飛ばす。そしてこいつ。」
荒川は自身の刀をかざし
「こいつは斬撃の威力を増幅させる能力。」
次に神木の刀を少し傾かせ
「そしてこいつが絶対切断。どんなものでも切れる。お前らは俺を囲んでるが、別に追い詰めてるわけじゃねぇ。俺はいつだってお前らを殺せる。」
荒川は二振りの刀を構える。咄嗟にルシファーが叫ぶ。
「潰れ…!」
だがルシファーが命令を終える前に喉笛が斬り裂かれていた。ルシファーは溢れる血を止めるべく首を手で押さえる。しかし、呼吸ができない状態に膝を付く。
「お姉ちゃん!」
シエルが駆け寄り治癒魔法を掛ける。そこへ二振りの刀から斬撃が無数に飛翔してくる。
「符術 光壁!」
しかし、絶対切断により光壁は破壊されてしまう。五人へ斬撃が襲い掛かるが、寸前のところで斬撃はすべて弾かれる。
「今ここで君たちに殺し合いをしてもらっては困る。どうかお互い手を引いてくれないかな?」
そこにはメガネを掛けた黒スーツ姿の男が刀を片手に握り立っていた。
「あ…ありがとうございます。…えっとあなたは…?」
「誰だお前は?」
アリスと荒川が目の前の男に問う。
「僕は須郷雅仁。星の主という組織で長を務めさせてもらってます。」
須郷はニコッと笑みを浮かべる。シエルたちは驚愕する。その組織の名は五年前、仲間だと思っていたアルケインが所属していた組織であったから。
「なんだか知らねぇが、邪魔するならまずはお前から殺すぞ?」
荒川は切っ先を須郷へ向ける。
「ご理解いただけないみたいですね。では分からせてあげましょうか。」
須郷が一歩荒川に歩み寄ったと思うと、荒川は須郷に刀で腹部を貫かれていた。
「おやおや。これに反応できないなんて、可哀想なくらい弱いですね。」
その瞬間、シエルたちは背筋が凍るような恐怖を感じた。須郷は刀を抜くと荒川の傷は塞がり
「須郷さん。頭冷えたぜ。あんたにここは従う。」
「協力的でありがたいですね。そちらのお嬢さん方も理解してくれますね?」
シエルたちは恐怖で声が出ず、体の震えも収まらない。それでも力を振り絞り頷く。
「そうですか。ありがとうございます。それでは僕はこの辺で失礼しますね。次会うことがあれば会いましょう。すべてが終わったあとの新たな世界で。」
須郷はそう言うと姿を消す。同刻、マーリン、ルミナス、ノワールの元、《邪神》と《暁》のもとにも須郷雅仁が現れ、シエルや荒川へ要求したことと同じ内容の旨を要求し、承諾しない者は強制的に承諾させた。そして、王と《邪神》はエーデルから手を引くことになった。その後星影はルミナスの能力から解放され目を覚まし、ノワールから星影が眠っていた間の話を聞くこととなった。《暁》はエーデルのギルド宿舎内の一室に集まっていた。
「あれから五年、王が三人。そして《世界政府》の奴らも動き始めたか。そして…。」
ルベルは部屋の角にあるベッドへ目を向ける。ベッドには大きな白い布が被されており何があるのか見えなかった。しかし、皆はルベルの視線に表情が曇る。
「神木…。」
悠都が今はここにいない教師の名を口にした。一瞬で空気が重くなったのを感じる。その中でルベルは
「今回の戦いで俺たちは神木を失った。だが、《龍神》は荒川以外の奴を、《邪神》は卑弥呼、佐々木、宮本を失うこととなった。何よりもこちら側の力となりうる《世界政府》で能力を身に付けた星影のクラスメイトが四人こちらに加わった。これは何よりも大きな収穫だった。」
「あとはあいつだな。」
アランがルベルへ視線を向ける。
「ああ。全員の前に突如姿を現した星の主の首謀者、須郷雅仁。奴は何故戦いを止めさせたのか。星の主の目的は何なのか。それだけが分からない。」
「彼が立ち去る前に、“次会うことがあれば会いましょう。すべてが終わったあとの新たな世界で。”と言っていましたが、あれはどういうことなのでしょうか。」
オベイロンが口を挟む。
「そうだな。奴が何を考えて何を起こそうとしているのかを定かにしたいな。」
オベイロンの疑問にルベルは頷く。時を同じくして七王はアヴァロンの地に訪れていた。《王の茶会》が開催される円卓を囲むように七王が座り、その中心には須郷雅仁が立っていた。
「七王の皆様、僕の声に応じてくださり感謝します。」
「そんなことはどうでも良い。要件を話せ。」
龍王グラヴィールは須郷を睨み、本題へ入るように促す。
「…そうですね。では本題に入りましょう。七王の皆様は気付かれているはずです。管理者との繋がりが断たれたことに。」
その言葉に七王たちの殺気が須郷へ集まる。
「そう威圧しないで下さい。ちびってしまったらどうするんですか。」
須郷は七王たちの殺気を感じても余裕があるようだった。
「それで、管理者が何だよ?」
天界王釈迦が須郷に聞く。
「彼らは僕が殺しました。」
その言葉に七王は戦慄し、それぞれがそれぞれの神器に手を掛ける。
「早まらないでください。これは仕方のない事なのです。《堕天使》ルシファーの封印を解き放ち、この世界を新たな世界へと導くために。七王の皆様も《新世界秩序》のために動いているなんて話を聞いたことがあります。ここはどうか協力しませんか?現世と異世界の人類の選別を行い、不要な人間を生贄にし、《堕天使》ルシファーの封印を解く。」
須郷は狂気じみた笑みを浮かべ七王に提案する。魔神王メフィストは須郷をまっすぐ見つめ
「選別はどうやるつもりだ?」
「いい質問ですね。」
須郷は頷きながら顔から笑みが消える。
「非能力者に能力を与え、全人類、全種族のモンスター、七王、《終末の七勇者》、《世界政府》による《終末戦争》を行います。能力に適応し、戦いの中で生き残れるのであればその者たちにはルシファーが作り出す新世界での生きる権利を、それができない者たちにはルシファーの封印を解くための生贄になってもらう。」
七王たちは須郷の言葉に驚きを隠せないようだが、それと同時に千年前の混沌とした時代を思い出す。
「皆様、いい顔をしていますね。それでは始めましょうか。《新世界秩序》の誕生を祝す祭りを。」
今ここに星の主による壮大な計画が幕を開ける。
皆さん、いかがだったでしょうか。
荒川以外の《龍神》は滅んだが、神木を失った《暁》。
そして突如として現れた星の主の首謀者、須郷雅仁。
ここから終末世界へのカウントダウンが一気に加速する。
星影たちは世界を救うことができるのか。
次回第七十二話 《終末世界》の始まり




