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「お互い謝るのを止めて! いつまで謝り続けるつもりなの? 驚いてるでしょ! 久しぶりだね。主のウィリアム! もうこの名前で呼んでくれる人いないでしょう? 会いに来たよ」
そして主は彼女のことを観察すると目を見開きます。
「そなたまさかミアか?」
「やっと気づいたの? ってばれないように変装していたからね。気づかなくても無理はないよ。そうミアだよ! 主のこと驚かそうとしてきちゃった」
「ミア! きてくれたのか。私の依頼に応じてくれてありがとう」
「いいえ、私も来ようと思っていたからね。でもノア? そろそろ帰らないまだ2日しかたっていないからと何とかなるけど……帰らないと騒ぎになっちゃうからあなたの力で戻せる?」
「ああ今から返そうかと思っているところだ」
その言葉を聞き主が焦ります。
「ちょっとまって! 聞きたいことがあるんだ。この本って買えないの? いい話だったから読み直したいと思って。もちろん言葉使いは違うし変えていると思うけどこの話を手元に置いてきたいんだ」
「買うというより交換ならできますよ。夢の森書房では少し変わっていて書房というくらいですから買いたいと希望されるお客様もいらっしゃいますがそれだと本が減ってしまいますよね? それだと困るのでお客様の本と交換を提案しているんです。どんな本でも構いません。思い入れがないほうがいいでしょうね」
その言葉を聞き主は一冊の本を持ってきました。その本の名前は『ディランの冒険』でした。
「こいつと約束をしたんだけど何年待っても来ない。だからもういいんだ」
その声はあきらめを含んでいました。
「本当にいいのですね?」
確認のために瑠璃はそう問いかけると彼は頷きます。そうして瑠璃は本を受け取りました。
「それは構わないが……そなたをまたこちら側に来させるわけにはいかないしどうすればよいだろうか」
その言葉に対し、ミアと呼ばれた少女が前に出ました。
「それなら私に任せて! 私ならいつでもここに来れるから届けに来るよ。少し遅くなるかもしれないけれどそれでもいいなら。忙しいからさ」
「それで構わない。いつでもいいから届けに来てほしい」
「かしこまりました。主様。では、私はこれにて」
ミアはそう言うと優雅に一礼すると同時にその姿は消えました。その様子を少し寂しそうに見つめていました。きっと寂しかったのでしょう。話し相手になってくれる人がほしいという彼の願いに精霊が答えてあげたのでしょう。
「それでは皆様、お帰りの時間となりました。名残惜しいですがまた機会があればいらしてください」
彼はゆっくりとお辞儀をしました。その姿は精霊には寂しげに見えたのでしょう。精霊のノアが瑠璃にたくさんの便箋を差し出します。
「これはこの世界とそちらの世界を行き来することができる特別な便箋なんだ。もしよかったら主に手紙を書いてほしい。では、ゆくぞ」
彼がそう言い瑠璃が手にしている本に手をかざし何かを呟くとその本が輝きをまし三人は眩しい光に包まれました。その中で主やロイドたちが手を振っていたようなそんな気がしました。光が強すぎてよく見えませんでしたが、そうだったらいいなと思いました。
そして気が付くと夢の森書房に帰ってきていました。目を覚ますと同時に瑠香、灯に抱きしめられ、二人はよかったと涙を流していました。よほど心配をかけてしまったようです。他の二人も隣で目を覚まし、帰ってこれたと喜びあいました。
レイラが何か言いたげな表情をしていたので話を聞こうとしましたが、瑠璃ははっとして時間をみました。時計の短い針が5をさし長い針が12をさしていました。
「その話はまた明日聞きますので本日はお帰りください」
二人は不思議そうに顔を見合わせましたが、彼女の言う通りにし店をでました。すると、入ってきた扉は消えていました。レイラはそのことに驚いていましたが、リアムは特に気にしていないようで二人とも家に帰って行きました。友人の家に泊まっていたというと両親は納得し、その後なかなか寝付けませんでしたが、気づいたら朝になっていました。




