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「さすがですね。リアン様は聡明というか相手の気持ちがわかるようですね。今日はここまでにしましょう。璃々様が疲れてしまったようなので、無理もありません。普段とは勝手が違いますから。璃々様、お部屋でゆっくりお休みください。お二人も来てください。ご案内いたします」
彼女が頷いたので、ロイドが手を差し出すと、彼女はその手を取り椅子から立ち上がります。全員が立ち上がると今度は主が指を鳴らします。すると、今まであった椅子が消えました。それを確認し、主は奥へと入っていきました。ロイドがそれを確認し、皆を部屋へ案内します。
「こちらへおこしください」
彼は三人を部屋に案内します。移動中瑠璃は、強い眠気に襲われていました。もう三十分ほど歩いたでしょうか。ロイドは女子二人を二人部屋に男子一人を一人部屋に案内しました。先ほどの場所とは、別の場所なのでしょうか。ここには扉があります。そのことをレイラが、疑問に思っているとロイドが答えます。
「ここの扉は私が主に頼み込んでつけてもらったのです。主は主の部屋にはもちろん扉があるのですが、なるべく扉をつけたくないようでして……。そうですね。現世での博物館みたいな感じが好きなんですよ。空間と空間がつながっているのが。ですが、ここは客室ですから。ここに扉がないのはおかしいということでつけていただきました。もちろん、私の私室にも。璃々様、部屋につきましたよ」
その声を聞きフラフラと倒れそうになりながらなんとかついてきていた瑠璃はそのままベッドに倒れこみ眠ってしまいました。
「語り手は大変なのですよ? 物語が始まった瞬間、少女と少年が現れましたよね? あれは璃々様の想像力が生み出したものなのです。あんなにはっきりと想像できる人は、私は璃々様以外にはあの方以外見たことはありません。あの方につきましては、またお話いたしますね。主より特に話してはいけないとは、言われておりませんので。では、私はこれにて。リアン様を右隣の部屋にご案内しなければいけませんから。私を呼ぶ際はそこにおいてあるベルでお呼びください。夕食の時間になりましたら、またお声掛けをしにきます。それまで、きっと璃々様は眠っていらっしゃると思いますので起こさないようお願いします。あと、これが鍵です。これがないと入れませんのでお気をつけて」
そう言うと二つの鍵、一つはクローバーの装飾のある鍵、もう一つはハートの装飾のある鍵をおいて部屋をでました。その部屋は防音のようで外の音は全く聞こえません。レイラはクローバーの装飾の鍵を持ち部屋を出て右の部屋をノックしました。暫くしてリアムが部屋の扉を開けます。
「どうしたの? 僕、寝たいんだけど……」
「何もすることがないから話し相手になってよ。」
レイラはリアムの話を聞く気はないようで強引に部屋に入り、入って驚きました。壁の色が自分たちの部屋と違うからです。二人の部屋はうすピンク色の壁紙でしたが、彼の部屋は薄緑の壁紙でした。床は同じフローリングでしたが……レイラはこの部屋を気に入ったようですが、交換してとは言えませんでした。
「璃々さんは寝ているの? 疲れていたようだけど」
「ええ、寝ている。疲れていたみたい。想像力が生み出したものだと言っていたけれどどういうことだろう?」
レイラは首をかしげます。その問いにリアムは説明を始めます。
「ここは本の世界だからきっと想像したものが出せるということだと思う。例えば、花とか見ていて」
彼が花を強くイメージしたのでしょう。しかし、イメージが足りなかったのでしょうか。全体的に花びらが欠けた不格好な花と花が植えられている植木鉢も出てきましたが、その植木鉢も壊れていました。そしてそれを消してから告げます。
「これが僕の限界なんだ。なかなか難しくてあんな完璧なイメージを保ち続けるには骨が折れるよ。だから、疲れているんじゃないかな? 集中しないといけないし少しでも集中が途切れるとイメージ自体がぶれるからね。僕にはできないよ」
彼の答えを聞いてもレイラはまだ信じられませんでした。もしかしたら、私にもできるかもしれないと思い彼女もやってみることにしました。深呼吸をして彼と同じ植木鉢に植えられている花をイメージします。出てきた花は半分かけていましたが、植木鉢は何とか形を保っていました。今にも壊れてしまいそうではありますが……。彼女はそれを消すと彼の部屋のベッドに倒れこみました。うまくいかなくて悔しかったのかもしれません。暫くの間、彼女はベッドに横になっていました。そうしている間に夕食の時間になったのでしょう。ロイドが瑠璃と一緒に呼びに来ました。




