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夢の森書房での不思議な体験  作者: 柊瑠璃
第二章 本に喚ばれてしまった少女の話
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『少女は甘い恋を知る』

そう言うと一人の女の子が出てきました。

 少女の名前はクレア・ルージュ。彼女はまだ恋をしたことがありません。もう17歳になるというのに。彼女は恋人がいなくてもよいと思っていました。彼に会うまでは……。彼の名前はジェイク・ロイス。そう言った瞬間一人の男の子が現れました。彼は容姿端麗、勉強もできスポーツもできるという理想的な持ち主でした。こんな完璧な人間がこの世にいるのかというくらい彼は完璧でした。いえ、完璧すぎて怖いくらいでした。隙が全くありません。ですが、クレアはその笑みに違和感を覚えていました。どこか作っているようなそんな笑顔をしていると彼女は思っていました。しかし、そう思っていたのは彼女だけのようで他のクラスメイトにそれを伝えてもそんなことはないと言われてしまいました。彼女だけがそう感じているようです。

不思議なこともあるようですね。彼女だけが彼の作り笑いに気づいたのですから。ですが、彼はそのことに気づいていません。彼は彼で苦悩していました。彼の家は厳しく勉強も少し点数が下がると怒られるのです。例えば前が九十七点だとします。それが勉強不足ではないのですが、調子が悪く九十点でした。すると、彼の父親はこういうのです。

「七点も落ちているではないか! 今回はどうしたんだ」

「すみません。次からは気を付けます」

これが彼のいつものセリフです。しかし、母親は褒めてくれます。父親にはばれないように。誰だって調子の悪いときはあります。完璧な人間などこの世にはいないのですから。

これが彼のストレスになっているのです。ですから、学校でも完璧な自分を演じるようになってしまいました。話を戻しましょう。

 クレアの話です。クレアは彼の事情など知りません。笑顔がどこか無理をしているように感じたのでしょう。彼女は思い切ってそのことを聞いてみることにしました。聞いた瞬間、彼が取り乱し慌てふためくことになるとは知らずに……。


ここで瑠璃は一度話すのをやめました。その瞬間にロイドが質問します。

「ジェイクに関する質問です。クレアに関してはまだ情報が少なすぎますから。彼の父親はどうして怒ったのだと思いますか?」

「どうして怒ったのか……。わかった! 簡単なミスをしていたからそれが許せなかったんだ」

その答えに対し、リアンは自分が感じたことを言います。

「違うよ、レティ。多分もっとできると期待しすぎてしまったんだよ。その期待がプレッシャーになるとも知らずにね」

その答えを聞いたロイドは笑顔を彼に向けます。

「その通りです。彼は、期待をしすぎてしまった。自分の息子なのだからもっといい点が取れるはずだとね。親の期待に応えようとする子もいれば、逆にそれがプレッシャーとなりやる気をなくしてしまう子もいます。あまり期待しすぎないのが良いのですが……。親は子供に期待してしまいますから。困ったものですよね。それでは、次の話に行きましょう。」

その答えに瑠璃は頷きます。そしてまるで幼子に物語を語って聞かせるように話し始めました。


クレアはジェイクを放課後に呼び出しました。でもどう聞いていいのかわかりません。まだ、彼を好きかどうかはわからないので告白をするわけではありません。彼が来てくれるかどうかわからないため、彼女は空き教室で待っていました。暫くして彼が姿を見せました。彼女は思い切って聞いてみることにしました。

「ジェイクくん、どうして無理をして笑っているの?」

その言葉を聞いた彼が取り乱しました。目は左右に動き、落ち着きがなく、明らかに動揺しています。その様子を見て彼女は、これは聞いてはいけないことだったのだと気づきこれに声を掛けます。

「ごめんなさい。一回落ち着いて。多分気づいているのは私だけ。ほかのみんなはどうしてそんなこと聞くの? という感じだったから」

それを聞くと彼は一度大きく深呼吸をしました。

「それなら、よかった。僕は、完璧でなくてはいけないんだ。父さんにそういわれたんだよ。お前は常に完璧でなくてはいけない。勉強も、スポーツもみんなより人一倍努力して常にトップでいなさい。いや、トップでいるように。一位以外は許さないと」

「そうなの? 何事も完璧でいることって難しいよね。私、そういうタイプの人は苦手かな。この前のテストだってなんとか平均点は取れたけど両親はよく頑張ったねって言ってくれたし……。お父さんがね、お前が努力していることわかっているからそういう些細な努力を認めてくれる人が一人でもいたら、人は頑張れるものなんだ。だからこの調子で頑張りなさいって言ってくれたの! うれしかったな」


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