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そこは異界の騎士学校 ―幕間短編集―  作者: ◆smf.0Bn91U
ジグゼイル・ヴェイルロイド編
19/21

肩代わりの約束

 しかし同時に、そりゃここにいれば会ってしまうわな、とも思う訳で……。


「……はぁ……」


 つい、ため息が口を吐いた。

 自分の馬鹿さ加減なのか、それとも運の無さなのか……何に対してなのかは分からないが、ともかく、諦めにも似た感情が去来した。


 話し込んでしまった……予定通りなら、早々にジルのおかげで会って、心置きなく話をしてから、この周辺から逃げ出せていたのに……告白だとか家を見せてほしいだとか、そんなことを言われて周辺に居すぎてしまった。


「誰だ? お前たちは」


 そう後悔しているリビットの前に、ジルが立つ。

 彼と男たちの間に割って入るように。


「俺達は、取り立て人だよ」

「取り立て?」

「ソイツの借金のな」

「えっ……?」


 驚き振り返ってくるジルに向け、リビットは観念したかのように、再びため息を吐く。


「実は、そういうことなんだよ。俺はこれでも大量に借金があってな。返さないといけない立場なんだ」

「じゃあ……女の子に告白したいって言うのは……?」

「いやだから、ひと目会いたかっただけだって言っただろ? 返しきれない借金のせいで、これから先どうなるか分からないからさ。ジルの力で女の子を外に連れ出してもらって、一通り話をしたらそれで終わらせるつもりだったんだよ。どうせ俺はこれから、この町を出ることになるだろうからな」


 所謂、出稼ぎ、というやつだろう。


「ここは学校があるし貴族たちもいる結構大きな街だ。でも経済の中心地だったり城がある訳じゃない。だから働けたとしても、そこまで大きな稼ぎにはならない。それじゃあ借金を返し終わるまで待って貰えそうにないからな」

「……お別れを、言いたかっただけ、と……?」

「まあ、会ったこともない男にそんなこと言われちゃ、あの女の子も困ったことになったろうけどね」


 その話が終わるタイミングを待っていてくれたのか、そこでようやく現れた大男の一人が声をかけてきた。


「それじゃあ、主人の元へ行こうか。契約の見直しだ」

「ああ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 歩み出ようとしたリビットを、手を横に挙げて静止するジル。

 そして再び振り返り、男二人と対峙する。


「君たち二人、もう少しだけ待ってもらえないか?」

「あん?」

「僕は、彼との約束を果たしたい。彼女と彼を、会わせてあげたい」


 そんなジルの提案に、男二人は顔を見合わせて、少し困ったような表情を浮かべる。


「……兄ちゃん、まだ学生だろ?」

「……ああ」


 制服を着たままだから、誤魔化しようがない。正直に頷く。

 ……いや、ジルのことだから私服であったとしても頷いただろうが。


「どうしてこの時間に外にいるんだ?」

「彼を、助けるためだ」

「それを果たしたいから待ってくれって?」

「ああ」

「だがなぁ……ソイツ、逃げてここにいるんだぞ? これ以上信用しろってのか?」

「だったら、もし彼が逃げ出したら、僕がその借金の肩代わりをしよう」

「「は?」」


 突拍子もない提案に、取り立て人である二人の声が驚きに重なった。


「だから、彼が逃げれば、借金は僕が返す。それでしばらく待ってもらえないだろうか」

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