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そこは異界の騎士学校 ―幕間短編集―  作者: ◆smf.0Bn91U
ジグゼイル・ヴェイルロイド編
18/21

子供とのお話

 正直早く本編に戻りたくなってきたので、もう一話更新します。

~~~~~~


 リビットと待ち合わせしたベンチ前に戻ってきた所で、ジルはリフィアが付いてきていないことにようやく気づいた。


「あれ? リフィアはどうしたんだい?」

「なんか、ちょっとした用事だって~」


 ジルの口をついたような疑問に、真っ先にベンチに座ったミミルが答えてくれる。


「もしかしておトイレかも」

「こらこら、レディがそういうこと言うもんじゃないよ」


 ジルはそう、ミミルに続いて隣に座ったカンナを軽くたしなめた後、


「それじゃあ、彼女が帰ってくるまでは、二人にプロポーズの方法を考えてもらおうかな」

「えっ!?」


 まっかせて! と元気よく両手を挙げる二人に反し、不安げな声を上げたのはリビットだった。


「大丈夫なのか? こんな子供たちで……」

「子供と言っても、立派な女の子ですから。きっと二人なら良いことを言ってくれます」

「そうは言ってもなぁ……」


 イマイチ納得できないリビットを置いて早速、ミミルが元気よく「はいっ!」と挙手をする。


「早速かい、ミミル」

「うん! やっぱりこういうのはじょうねつてきなのが良いと思うの!」

「ふむふむ」

「だから、お家を燃やそう?」

「物理的すぎない!?」

「あ、まちがえた」


 リビットのツッコミを聞いてすぐそう言って、テヘリ、と自分の頭を軽くコツンと叩いて、訂正。


「おうちの中にいる人を燃え上がらせるような大声で、告白するの!」

「なるほど……心を燃え上がらせるようなって言いたかったんだね」

「うん!」


 いやそんな間違いはしないだろう……とジルの訂正に対して内心でツッコむが、言っても無駄になりそうなのでリビットは言葉にはしなかった。


「わたしは、むしろ逆です!」


 と、今度はカンナが顔の横まで手を持ち上げて自らの意見を言う。


「いえ、情熱的というのはかわらないけど、そういった一瞬のきらめきじゃなくて、永遠に残る形にしたほうが良いと思う」

「というと?」

「バレないようにお家に入って、こっそり愛をささやき続けるんです」

「精神から崩そうとしてない!?」

「そうして心に刻みつけたものは、きっと永遠に残るはず……!」

「それはトラウマって言うんだよっ!?」

「なるほど……まずは自分を覚えてもらおうってことか」

「ジルくんはホントどんな意見でも丁寧に拾い上げるねっ!?」


 子供の無茶苦茶をわざわざ……と思うリビットにしかし、ジルは首を振って「それは違いますよ」と続ける。


「どんな意見でも、ではありません。この子達の意見は、それだけでも貴重だから拾い上げているのです」

「いやいやどこが?」

「ではリビットさん、お訊ねしますが、その御方はお美しい方なんですよね?」

「まあ……はい」

「で、相手は小さいとは言え貴族の家柄……となれば、求愛してくる相手は沢山いるはずです。その中で印象に残るようなことをしなければならないとなれば、子供のような自由な発想をしてくれる、そんな意見が大事なはずです」

「…………な、なるほど……?」


 イマイチ納得しきれないが、言われてみればそんな気もしてくる。


「ですから、相手の屋敷に潜り込んで、彼女の部屋で大声で叫びながら名前を名乗って告白しましょう」

「いやでもだからってそのふんだんに取り込んだ意見はおかしい」


 本当に普通の犯罪者だ。

 もしかして途中でいなくなった女の子は、こういったジルの「相手のことを必ず立てる生真面目さ」があらぬ方向にいくことを予期し、面倒くさくなって逃げたのでは――


「お、リビットじゃねぇか」


 ――なんて考えが脳裏を過ぎったその時、いきなり名前を呼ばれた。

 その声のした方向……ジル達が来た路地とは別の路地からやってきた大柄な男二人組は……リビットにとって今、最も出会いたくない人物二人だった。

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