子供とのお話
正直早く本編に戻りたくなってきたので、もう一話更新します。
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リビットと待ち合わせしたベンチ前に戻ってきた所で、ジルはリフィアが付いてきていないことにようやく気づいた。
「あれ? リフィアはどうしたんだい?」
「なんか、ちょっとした用事だって~」
ジルの口をついたような疑問に、真っ先にベンチに座ったミミルが答えてくれる。
「もしかしておトイレかも」
「こらこら、レディがそういうこと言うもんじゃないよ」
ジルはそう、ミミルに続いて隣に座ったカンナを軽くたしなめた後、
「それじゃあ、彼女が帰ってくるまでは、二人にプロポーズの方法を考えてもらおうかな」
「えっ!?」
まっかせて! と元気よく両手を挙げる二人に反し、不安げな声を上げたのはリビットだった。
「大丈夫なのか? こんな子供たちで……」
「子供と言っても、立派な女の子ですから。きっと二人なら良いことを言ってくれます」
「そうは言ってもなぁ……」
イマイチ納得できないリビットを置いて早速、ミミルが元気よく「はいっ!」と挙手をする。
「早速かい、ミミル」
「うん! やっぱりこういうのはじょうねつてきなのが良いと思うの!」
「ふむふむ」
「だから、お家を燃やそう?」
「物理的すぎない!?」
「あ、まちがえた」
リビットのツッコミを聞いてすぐそう言って、テヘリ、と自分の頭を軽くコツンと叩いて、訂正。
「おうちの中にいる人を燃え上がらせるような大声で、告白するの!」
「なるほど……心を燃え上がらせるようなって言いたかったんだね」
「うん!」
いやそんな間違いはしないだろう……とジルの訂正に対して内心でツッコむが、言っても無駄になりそうなのでリビットは言葉にはしなかった。
「わたしは、むしろ逆です!」
と、今度はカンナが顔の横まで手を持ち上げて自らの意見を言う。
「いえ、情熱的というのはかわらないけど、そういった一瞬のきらめきじゃなくて、永遠に残る形にしたほうが良いと思う」
「というと?」
「バレないようにお家に入って、こっそり愛をささやき続けるんです」
「精神から崩そうとしてない!?」
「そうして心に刻みつけたものは、きっと永遠に残るはず……!」
「それはトラウマって言うんだよっ!?」
「なるほど……まずは自分を覚えてもらおうってことか」
「ジルくんはホントどんな意見でも丁寧に拾い上げるねっ!?」
子供の無茶苦茶をわざわざ……と思うリビットにしかし、ジルは首を振って「それは違いますよ」と続ける。
「どんな意見でも、ではありません。この子達の意見は、それだけでも貴重だから拾い上げているのです」
「いやいやどこが?」
「ではリビットさん、お訊ねしますが、その御方はお美しい方なんですよね?」
「まあ……はい」
「で、相手は小さいとは言え貴族の家柄……となれば、求愛してくる相手は沢山いるはずです。その中で印象に残るようなことをしなければならないとなれば、子供のような自由な発想をしてくれる、そんな意見が大事なはずです」
「…………な、なるほど……?」
イマイチ納得しきれないが、言われてみればそんな気もしてくる。
「ですから、相手の屋敷に潜り込んで、彼女の部屋で大声で叫びながら名前を名乗って告白しましょう」
「いやでもだからってそのふんだんに取り込んだ意見はおかしい」
本当に普通の犯罪者だ。
もしかして途中でいなくなった女の子は、こういったジルの「相手のことを必ず立てる生真面目さ」があらぬ方向にいくことを予期し、面倒くさくなって逃げたのでは――
「お、リビットじゃねぇか」
――なんて考えが脳裏を過ぎったその時、いきなり名前を呼ばれた。
その声のした方向……ジル達が来た路地とは別の路地からやってきた大柄な男二人組は……リビットにとって今、最も出会いたくない人物二人だった。




