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俺を異世界に飛ばした美少女巫女が、ウー○ーと○郎を貪り食ってふっくら戻ってきた ~元保育士のコンビニ店員を巻き込んで、異世界で3人家族(設定)始めました  作者: 蜜朗
第1章:武力でいけそうだけど、ここはあえて頭を使います 〜乙女原奪還と悪徳宿場町攻略

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第3話 最強家臣の忠誠が重すぎる

「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。いや、本当に心強いです」


 正面に並んだ面々を見渡し、俺はまずは深く一礼した。


 心強いなんてレベルじゃない。ゲームであれば相応の課金の末でないとそろわない、有能な人材がそろい踏みだ。


「まずスズラン。君には、岩松と辻宿の繋がりを探ってもらいたい。できるかな?」


「はい、お任せを」


 スズランは表情一つ変えずに淡々と頷く。


「あとは、辻宿の戦力も調べてほしいんだ。実際に戦える人間の数や種類、どんな武器を保有しているか。特に鉄砲とか、そういう『飛び道具』がどれくらいあるのかを重点的に知りたい」


「……はい。承知いたしました」


 彼女は一瞬だけ目を細めたが、すぐに音もなく頭を下げた。

 さすがはクノイチ、この手の任務への対応力は抜群だ。


「で、朝秀と州平は戦力の整備をお願い。……他に集められる人員っているんだよね?」


 俺の問いかけに、朝秀が力強く胸を叩く。


「はい! 私どもの仲間だけで、あと二十名ほどはすぐに動かせます。周囲の『流れ者』たちに声をかければ、もっと大人数を集めることも可能ですが……」


「んーそうだね。そこら辺は朝秀に任せるよ。必要な資材や装備はこちらでそろえるから、何かあったら遠慮なく言ってくれ」


「ははっ! ありがたきお幸せにございます!」


 朝秀と州平が同時に頭を下げる。

 よし、実戦部隊の統括はこれで安心だ。


「で、弾正。君は弓が得意なんだよね?」


「――なっ!?」


 俺がそう話を振ると、弾正は「えっ、なんでそれを……?」という顔をした。

 そりゃそうだ、まだ何も説明されてないのに、俺は君のスキル『狙撃』を知っている。


 俺は、驚く弾正の目をまっすぐに見つめる。


「もし戦わなくちゃいけない状況になったら、絶対に『飛び道具』が肝になると思うんだ。だから、君みたいな弓の達人が味方にいてくれるのは、本当に心強いよ」


「ははっ……! この弾正、過分なお言葉、身に余る光栄にございます!」


 単純でよかった。すっかり感激して目を輝かせている。


「そこでさ、ここにいる久蔵と組んで、これまでにない『新しい飛び道具』の開発をお願いできるかな?」


 突然名前を呼ばれ、久蔵が「えっ、私ですか!?」と戸惑いの表情を浮かべた。


「そう、久蔵。君は頭がいいし、手先も器用だ。実際にそれを使う弾正と知恵を出し合って、この世界を圧倒できるような新しい武器を作ってほしいんだよね」


 俺が真剣な目を向けると、久蔵はゴクリと唾を呑み込み、覚悟を決めたように深く頷いた。


「よし。じゃあ、これをプレゼントしよう」


 光の輪を出現させる。

 ――コトリ。


 現れたのは二冊の本だ。そう、先日の宝探しで手に入れた『技術書』である。

 そのうちの一冊を久蔵に手渡す。


「え……? これは……っ」


 久蔵が本を受け取った瞬間、彼の身体がかすかに、ふわっと発光したような気がした。


「あっ、もう一冊は五助にね」


 残る一冊を五助に手渡すと、こちらも同様に身体が淡い光に包まれる。


 俺は改めて二人のステータスを確認してみた。


 ─────

 名前:石渡久蔵(いしわたきゅうぞう)

 年齢:18歳

 属性:村の書生

 体力:E

 武力:E

 技術力:A+

 知略:C

 魅力:E

 信頼/忠誠:8

 スキル:本草学

 ─────

 名前:芦沢五助(あしざわごすけ)

 年齢:17歳

 属性:村の書生

 体力:E

 武力:E

 技術力:C+

 知略:A

 魅力:E

 信頼/忠誠:8

 スキル:算術

 ─────


 君たち、前々から似てるなとは思っていたけれど、ステータスも似たような感じなのね。

 それにしても清々しいほどにインドア系に振り切ったステータスだ。


 久蔵のスキルは『本草学』……要するに植物や薬学の知識か。

 武器開発は畑違いな気もするけれど、まぁ彼は頭が柔らかいというか発想が柔軟なタイプだ。


 弾正の知識と組み合わせれば、化学反応を起こして良い方向に向かう気がする。


「開発に必要な道具や資材があれば遠慮なく言ってくれ。全部俺が用意するから」


「「はい! 承知いたしました!!」」


 二人は息をぴったり合わせて、真剣な眼差しで頭を下げた。


「で、最後に五助」


「はいっ!」


 待ってましたとばかりに五助が身を乗り出す。


「君は、俺、ミチル、ユキホと一緒に、辻宿の調査に同行してもらう。名主の評判や集落の実情。そもそも、なんで彼らが『乙女原』を手に入れようとしたのか、そのあたりの背景をリサーチして回りたいんだ」


 五助は一瞬、「えっ、僕の役割ってそっち系なの?」という顔をしたが、文句を言うことなく黙って頷いた。


 すかさず俺はフォローを入れる。


「さっき説明したとおり、作戦の肝は『辻宿切り崩しの決定的なポイント』を探ることだ。辻宿は商業の街だって聞くしね。きっと君の能力が必要になると思うんだ」


「なるほど……そういうことですか! 分かりました、お任せください!」


 俺のもっともらしい言葉に、五助はすっかり納得した様子だ。

 まぁ、「君の能力が必要云々」っていうのは正直その場のノリで言った適当な方便なんだけど。


「あ、あとごめん。辻宿への潜入リサーチなんだけど、朝秀のところからも誰かひとり出してもらっていいかな? 万が一のときの護衛的なやつをさ」


「おお、護衛ですか! うむ、かしこまりました。ならば、明日はこの私が直々にご同行いたしましょう!」


 朝秀がガハハと笑いながら立候補してくれた。


【武力:S+】かつ、『無双』スキル持ちのゴリゴリ重戦士が護衛についてくれるなら、これ以上安全な旅はないが、できる限り目立たないようにしてくれよな……。


 ◇


「朝秀、少し話がある。外に出ようか」


 俺は一通り指示を出すと、朝秀を促し、納屋の外へと連れ出した。


 秋めいた柔らかな日差しの下、俺はポケットからタバコの箱を取り出し、そのうちの一本を彼に差し出す。


 俺がいない間にユキホが宝探しで獲得したアイテムだ。

 ユキホは「こんな無駄なもの……」と言っていたが、今の俺にはものすごくありがたい。


 火を点けると、数日ぶりに味わう芳醇な香りが漂った。

「一本、どうだ?」と朝秀に勧めてみる。


 朝秀もかつては嗜んでいたらしいが、目の前にある洗練された白い筒には少し戸惑ったようだ。

 慣れない手つきでそれを受け取り、おずおずと口にする。


 煙を吐き出し、彼は目を見開いた。


「……なんと。これは、鼻を抜ける香りが不思議と落ち着きますな。これほど上品で美味い代物、味わったことがございませぬ」


「そうだろ。まだあるから、よかったら一箱置いていこうか?」


「あはは、いえいえ。もったいない。こうして、あなたと共にくゆらせるこの時間だけで十分でございます」


 他愛のない世間話で少しだけ緊張を解いてから、俺は話を核心へと切り出した。


「朝秀、これからのことについて、君にだけはちゃんと話しておきたいんだ」


 背筋を正した朝秀に、俺は少しずつ言葉を選びながら語り始めた。


 乙女原は始まりに過ぎない。

 この先、もっと過酷な戦いを強いられる可能性があること。

 それでも、俺には逃げる選択肢がないこと。


 流石に「転移」のことについては話していない。


 今の朝秀なら信じてくれそうではあるが、話したところで何が変わるわけでもないし、彼を混乱させる必要もない。


 俺の説明を聞き終えた朝秀は、驚きに目を見開きながらも、その瞳には淀みのない忠誠が宿っている。


「……なんと。そこまで大きな重荷を背負っておられたとは……」


「俺は何の力も持たない。そんな俺についてくると決めてくれたお前には、ちゃんと話しておきたかった」


「私は、あなたの家臣です。主人(あるじ)の言いつけであれば、何であろうと守り抜く所存」


 朝秀の言葉はどこまでも真っ直ぐで、そして重い。


 俺は苦笑しつつ、その肩を叩いた。


「ありがとう。……言ったとおり、今後の道は平坦じゃない。乙女原を取り返せばお前たちは元の生活に戻れるはずだが、これからの俺の目的には、どうしても朝秀の力が必要になる。できるだけ武力衝突は避けるつもりだが、どうしようもない事態になることもあるだろう」


「あはは。望むところです。信濃だろうが越後だろうが、主人(あるじ)の御旗の下であれば、この命、いついかなる時も差し出す覚悟にございますぞ!」


 その言葉を聞きながら、俺は胸の奥が熱くなるような、あるいは締め付けられるような感覚を覚えた。


 乙女原さえ取り戻せば、彼は家族とともに平穏に暮らせるはずだ。

 そんな彼を、俺はこの先、幾度となく死地へ連れていくことになるかもしれない。


 朝秀に忠誠を誓われるたび、「純粋な信頼」という名の重石が、俺の肩にのしかかる。


(こいつを、絶対に死なせちゃいけない)


 改めて心に誓う。

 朝秀の命を無駄にするような事態には、絶対にさせない。


 この最強の武力を持つ男を、駒としてではなく共に生き残る仲間として――。


 タバコを指先で弾き、灰を落とす。


 現代に戻り、自分がどれほど無力でちっぽけな存在であったかを、改めて突きつけられた。


 チートな能力補正を失ってしまえば、俺は年下の若造に理不尽に怒鳴られるだけの、誰にも必要とされない孤独なおっさん。

 それが俺という人間の、身の丈に合ったリアルな正体だ。


 だからこそ、俺には朝秀の力が絶対に必要だった。


 だけど、「こんなにちっぽけで頼りない俺だけど、それでも信じてついてきてくれるか?」なんて、主人公ぶったお願いの仕方はしなかった。

 そんな殊勝な態度で相手の同情を誘うような真似は、それこそ違うと思ったからだ。


 だからこそ、お前が必要なんだという本音だけを、飾らずにそのままぶつけた。


 朝秀の目には淀みのない忠誠が宿っていた。

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