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【第二弾】インスタント小説集  作者: 三色団子


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夕陽


「夕陽に足を止めることの方が多いじゃんね」


 寄せては返す波を逃がすまいと踏みつけた彼女が呟いた。


「昔のドラマにさ、あの夕陽に向かって走るぞってあったでしょ」


 知らない。と素っ気なく返事をしたけれど、彼女はまるで俺のことなど見えていないかのように続ける。


「でもさ、きれいなものを見たら立ち止まるものじゃない?」


 何が言いたいのかなんて分かっている。


 子どもの頃に「大人になったら一緒に死のう」と約束したことを後悔させないよう、最後の警告をしてくれているのだ。


 けれどもう、後悔する覚悟はしてきたばかりだ。


 俺は彼女の手を取って、ぎゅっと握った。


 彼女は優しく握り返してくれた。


 ざっ、と波がくるぶしをさらう。


 夕陽を前に走り出すなんてことはできない。


 俺たちはただ、歩くだけだ。


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