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慈悲
その兵士の手記にはこう記されていた。
頻発していた少女誘拐事件の拠点に乗り込んだ。
犯人たちは事前に情報を掴んでいたのか、拠点にはいなかった。
だが慌てていたのだろう。代わりに、誘拐された少女たちが残されていた。
裸のままコンクリートが剥き出しの牢に鎖で繋がれている。
すでに息絶えている者がほとんどの中、生きている者を発見した。
手足のない少女は、木製のテーブルの上に舌を杭で打たれていた。
その舌は干からび、また青黒く変色している。
目が合った。喉がわずかに動いていた。俺は耳を傾けた。
「ほろ、ひて」
砂の城が崩れるように血の気が引いていく。
なんて残酷なことを。場違いな怒りに駆られた。
目を閉じ深呼吸をして、少女のこめかみに銃口を突き付ける。
祈るように目を閉じた少女は美しかった。
パン、渇いた銃声が貫通した。
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