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巣立ち
鉄砲玉みたいに飛び出した娘が上京して、家の中がずいぶんがらんとした。
無音の割合が大きくなっていくのが怖くて、最近では見もしないテレビをつけっぱなしにしている。
早々に掃除を終えてふと、娘の使っていた部屋はもうずいぶん掃除していない。
勝手に入ると怒るので、中学生に上がってから入った記憶がない。
部屋に入ると、カーテンの隙間から伸びた薄明りが埃の影を差していた。
残っている物は勉強机とベッドと本棚くらいで、実家の屋根裏部屋を思い出すくらいにはずいぶん殺風景だ。
カーテンと窓を開けて換気し、積もった埃を拭きとっていく。
カーペットを剥がすと、年老いたフローリングがあらわになった。
雑巾で丁寧に拭く様はどこか介護のようでもある。
ただどれだけきれいにしたところで、センチメンタルは拭えないらしい。
すっかりきれいになった部屋は、もはや娘が死んだみたいに寂しかった。
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