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【第二弾】インスタント小説集  作者: 三色団子


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キチガイ

火事と喧嘩が江戸の華


 マナーを間違えると、お母さんは烈火のごとく怒り狂う。


 昔はそうでもなかったのだが、離婚してから激しくなったように思う。


「違うって言ってるでしょ! 何度言えば分かるの!」


 パン、と頬が叩かれ、じんじんと痛みが走る。まだ一度目だよ。


 今回の火種は江戸しぐさだった。


 うかつあやまりを実践しなさいと言って、友達とおそろいのマグカップを割ったお母さんが怒ったのだ。つまり、私に謝れと言っているのだ。


 江戸しぐさは創作だよと伝えると、火勢が強まって、いよいよ収拾がつかない。


 ほら、また一つ。壁に開いた穴はもう直せない。


 お母さんは有り体に言ってキチガイだ。


 そんなお母さんから生まれた私も、多分、どこかおかしいに違いない。


 割れたマグカップを新聞紙に包んでゴミ箱に捨てた。


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