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【第二弾】インスタント小説集  作者: 三色団子


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70/100

飾り指

こういう環境で育った子どもって異様に察するんだよね


 段ボールを二段重ねて持ってエレベーターに乗った。


 ボタンを押して上昇してすぐ、二階で止まる。


 けばけばした化粧のおばさんと、それに連れられた小学校低学年くらいの育ちがよさそうな男の子が乗ってきた。


「六階」


 おばさんがしゃがれた声で呟いた。


 急に何を言い出すんだこのおばさんは、と無視をした。


「六階って言ったんだけど。なんで押さないの?」


 今度は明確に、不快感をあらわにしながら私に言ってきた。


 私はつい反射で「お前の指は飾りかよ」と喉まで出かかって、


「いらないなら引きちぎってやろうか」


 言いかけた言葉をのみ込む。


 代わりに押し出された言葉は、絶句した「あ」であった。


 よく見ると洗い物をしたこともないようなきれいな手をしていた。


 睨み合う私たちをよそに、子どもがボタンを押した。


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