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父の趣味
社会人になって親元を離れ、初めて帰省したのはお盆の時だった。
「ただいま」
帰りを告げても返事はないが、リビングには父がいた。
つけっぱなしのテレビをBGMに、学校で使うようなノートにボールペンを走らせている。
「なにしてんの?」
「ちょっとな」
気になって覗いてみると、文字がびっしりと綴られていた。
「遺書?」
「詩だよ」
「死? あ、詩ね」
「少し前にこれを見つけてね」
古びたノートを渡されて、私は瞠目する。
中学生の頃に書いていた自作の詩集ノートNo.8だった。
「勝手に見ないでよ恥ずかしい」
もはや死臭すら漂うそれを父に返す。
「読んでたら書いてみたくなったんだ」
「お父さんのも見せて」
私と、亡くなった母のことばかりが書かれていた。
帰ってきた。そんな気がした。
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