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迷子
慈悲はない
河川敷の道路を走っていたら草むらから子猫が顔を出した。
俺が足を止めると「みゃあみゃあ」と人懐っこくじゃれてくる。
家はペット禁止だしなぁ、と悩んで子猫を蹴り飛ばし頭を踏み砕いた。
可哀そうに。前日は台風だったから、親とはぐれたのだろう。
このまま生きても二、三日の命だっただろうし、他の動物に襲われたり苦しい思いをしながら餓死するくらいなら、俺はなんて慈悲深いのだろう。
ランニングを再開すると、今度は橋の下から赤ちゃんの泣き声がした。
土手を下りて橋の下に行くと、毛布にくるまれた赤ちゃんが段ボールの中に入っていた。
周りを見ると保護者らしき人はいない。
下敷きになっていた一通の手紙を見つけて読んでみた。
「可哀そうに」
段ボールを持ち上げて、濁流の川の中にひっくり返しておいた。
ランニングを再開する心は快晴の空のように晴れやかだった。
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