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【第二弾】インスタント小説集  作者: 三色団子


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情に掉させば

とかくに人の世は……


「たけちゃんて消しゴム貸してくれそうな性格してるよね」


 中学生の頃に言われた言葉が頭を過った。そりゃ、貸すだろう。


「小林君」


 課長が手招きをしていた。定時間際だった。


「明日のプレゼン資料作っといてくれない」


「今からですか?」


「悪いけどお願い」


「まあ、いいですけど」


「それじゃあよろしくね」


 席に戻って背もたれに体を預けてふと、「これか」と腑に落ちた。


 同時に、あの日の言葉には大事なものが抜け落ちていたことを思いだす。


「たけちゃんて”頼んでもないのに”消しゴム貸してくれそうな性格してるよね」


 なるほど、どうりで生きづらいわけだ。


 財布から小銭を取り出して席を立ち、自販機の缶コーヒーのボタンを押した。


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