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形見の腕時計
お母さんの形見の腕時計が動かなくなった。
修理に出しても「直せない」と戻ってきてしまった。なにぶん古い物というか、軍隊関係の品らしくて、中身を開けたくないとのことだった。
仕方がないので知り合いに頼むことにした。
「昔の米軍が付けてたモデルだね」
なぜそんなものをお母さんが?
疑問を差し込む前に、修理を終えた知り合いが教えてくれた。
「エマって君のお母さんの名前だったよね」
「そうだけど、それがどうしたの」
「中に彫ってあったよ」
年代的にはおじいちゃんの物らしく、世界大戦を一緒に経験したんだろうとのことだった。
「この時計はまだ生きてるから、君の時間を刻ませてあげるといい」
直った時計を腕につける。
なんだか少し、時を超えた気分だった。
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