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近所の歯医者
近所にあるよく行く歯科医院に勤めていた医師が、麻薬の所持と売買の容疑で捕まったというのを、病院の前で受けたインタビューで知った。
俺はその先生に非常にお世話になっていたから、驚きが隠せなかった。
「まさかあの人が……」
顔を青ざめる俺にマイクを向ける無神経なインタビュアーは、「本当に知らなかったんですか」なんて追い打ちをかけてきた。
「知りませんでした」
俺は拳をぷるぷると震わせていた。
「とてもいい人で、こんな俺にも親切にしてくれたんです」
金がない俺に仕事を斡旋してくれたし、色々と融通を利かせてくれたし、便宜まで図ってくれた恩人である。
だからてっきり俺はそれが彼の表向きの身分で、体のいい隠れ蓑に使っているだけだと思っていた。
「知らなかったんです。まさか彼が本当に歯医者だったなんて」
俺はこの先いったい、誰から薬を買えばいいのだろう。
そう思うと拳の震えは止まらなかった。
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