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花束
花束を抱えて歩いていた。それに意味はないし、別に冠婚葬祭とかでもない。
ジロジロと視線が刺さって、ちょうどきたタクシーを止めた。
道行く人は全員酔っ払いだが、それでも恥ずかしいことに変わりはない。
タクシーに乗り込んで、住所を伝え一息吐いた。
「何かお祝い事ですか」
バックミラー越しに目が合った運転手が話しかけてきた。
なんと答えたものか、詮索されるのもだるいなと、「ええ、まあ」なんて曖昧な返事をした。
「そりゃいいですね。じゃあ今日はおまけしときますよ」
「いやいいですよそんな」
「まあまあ、いいじゃないですか減るもんじゃなしに」
「じゃあ、まあ、お言葉に甘えて」
言えない。キャバクラで客からもらったなんて。
言えない。今月に入って三回目の割引だなんて。
胸にもやっとした異物感を覚えてまた、溜め息を吐いた。
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