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【第二弾】インスタント小説集  作者: 三色団子


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ポリグロット


 必修になっていた第二外国語の初授業に先生が遅刻してきた。


 平謝りをしながら教壇に立った先生の見た目は若く、二十代と言ってもギリギリ通用するかといった印象だ。


 言語学の専攻ということもあって、様々な国の言語で自己紹介を披露した先生は、「さて」と日本語に切り替える。


「たくさんの言語を話せる私ですが、唯一苦手な言語があります」


 問われた生徒たちがざわざわとし始めるが、誰からも答えは上がらなかった。


「正解は妻の言葉です。もちろん妻は日本人ですよ」


 笑うところですよ、と小さな笑いが起こる。


「同じ言語でさえこれですから、上手く発音ができるとか文法的に正しいとかはさして重要ではありません」


 先生は一人一人の生徒に合わせるように視線を動かした。


「大切なのは何を伝えたいか、また真摯に聞き入れようという姿勢です」


 見事に教室にいる誰もが、先生の短い言葉を聞きいっていた。


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