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人でなし
高層ビルの屋上から飛び降りた瞬間、何かに腕を掴まれた。
「なんで」
上を見ると人間モドキの伸びた手が俺の腕を掴んでいた。
振りほどこうにも力で敵うはずもなく、無責任にも引き上げられてしまった。
「死んじゃだめだよ」
「お前に何が分かるんだよ。はじめから化物だったお前に」
怒りに呼応して皮膚が硬化しはじめ、尾てい骨のあたりがむずむずする。
「分からないよ。でも君が死んだら、私は一人ぼっちになっちゃう」
そりゃそうだろ。お前のせいで俺は人間モドキになったんだから。
「人でなしのくせに」
「そうだよ。でも心はまだ人のつもりさ」
それなら俺はとっくに人でなしじゃないか。
「だから人であろうともがいているんでしょ?」
彼女は俺の手を引いて「選んでいいよ」ビルの淵に立った。
「落ちるなら私も連れてって。それがだめなら一緒に生きて」
彼女の体を引き寄せた俺は、まだ人でありたいらしい。
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