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スキル「執事召喚」でコトリは異世界を優雅に歩く  作者: 阿井りいあ
二章

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64/64

64 珍しくちょっと反抗的?


 アレクサンダーによって襟首を掴まれ、ずるずると引きずられた先にいるのはもちろん、いまかいまかと待っていたミハイルさんの待機部屋。

 ぼけっとしているわけにもいかないので私もついていき、引きつった笑顔で紹介することに。


「え、えーっと、お待たせしました……」

「……そ、そちらの方が?」

「はい、そうです。グリンバルドと言います。ただ、その。人付き合いが本当にダメみたいで……すみません」


 ミハイルさんと護衛の方々まで困惑してるじゃん……。ほんと、なんかすみません。

 当のグリンバルドはこの期に及んでもアレクサンダーの後ろに隠れようとしているし。

 貴方はアレクサンダーより身長高いんだから隠れきれてないよ……存在感と態度はアレクサンダーのほうがデカいけど。


 さて、ここからどうしたものか。腕を組んで思案していると、目の前で説教タイムが始まった。


「ご主人様に謝らせるとはどういうことですか、グリンバルド! 貴方はそれでも執事ですかっ」

「ひぃ、執事になりたくてなってるわけじゃありませんしっ! ぼぼぼ僕はただこの天才的な頭脳をお貸しするのみ!」

「あ、そこは自分で天才って言っちゃうんだね」


 天才である自覚はあるらしい。

 少しだけ「執事になりたくてなったわけじゃない」という部分が気になったけど……今はスルー。後で聞いてみるとして。


「と、とにかく、古文書は読めるみたいなので……」

「それは本当かい!?」

「うわ、びっくりした」


 私がまずは結論を伝えると、食い気味にミハイルさんが反応したので一歩後退っちゃったよ。

 さっきから驚かされてばっかりだな、私。やっぱり気が合うと思うよ、ミハイルさんとグリンバルド。餌を前にした時の反応とかね。


 まぁいいや。ミハイルさんさえ気にしないのなら後は話が早い。


「彼も古文書を前にすると目の色を変えると思うので、手っ取り早く読み解いてほしいなら現物を差し出すのがよいかと……」

「なるほど。そうさせてもらうよ」


 どうやら早々にグリンバルドの生態を理解したようだ。助かる。

 ミハイルさんはグリンバルドに歩み寄りながら先ほどの古文書を手にして挨拶を口にした。


「グリンバルド殿。初めまして、私はミハイル・J・ヒンギス。どうか気軽にミハイルとお呼びください」

「……」

「例のブツはこちらに」

「っ!!」

「ええ、そうなんです。世の中に出回っている古文書よりもかなり古いかと。ただそのせいでお恥ずかしながら我々には解読出来ず……どうか貴殿の頭脳をお貸しいただけませんでしょうか」


 ……なんで会話が成立してるんだろう?

 ま、まぁいい。今は目だけで許可を求めてくるグリンバルドに返事をしなくては。


「私からも頼むよ、グリンバルド。ただし古文書はミハイルさんのものだから丁重に扱ってね。わかってるとは思うけどさ、一応ね」

「もちろんですとも! 今ですかな!? 今、この場で読み始めても!?」

「ええ、構いませんよ。ここにはいくらでもいてくださって結構です」


 いくらでも、って。えーっと、召喚に必要な魔力はどのくらいだろう。……あ、4か。思っていたより少なくてよかった。

 でも待っている間、私が暇だ。アレクサンダーにもいてもらわないと困る。


 そうなると二人同時に召喚し続けられる時間はこのくらいで、余裕を持たせると考えて……。


「半日で! まずは半日で、時間がかかりそうなら後日改めて再召喚させてください」

「そんな! 途中で解読をやめろと!?」

「我慢して! ここは譲れないからねっ」


 ちなみに執事界に持ち帰って解読するっていうのも却下だ。だって終わるまで戻ってこなくなりそうじゃん。

 そうなったらやきもきしながら待つのが目に見えているし、ミハイルさんだって古文書が常に目に入る場所にあったほうがいいはず。


「グリンバルドが解読出来るとわかった以上、ミハイルさんからの依頼を引き受けるってことになる。そして一度引き受けたからにはちゃんとしたいの。わかった?」

「ぐ、ぬぬ、承知いたしました……」


 口を歪め、喉の奥から絞り出すように返事をするグリンバルド。

 なかなか反抗的じゃないか……。これまでの執事とは毛色が違うね。それぞれ個性的ではあるけど、基本的に私の頼みを拒否しないもん。

 心の中で思っていても、表に出さないって感じかな? ここまで露骨なのは逆に新鮮だ。


「納得いってなさそー……でも譲らないもんね! ここは主人権限使っちゃうもんね!」

「さすがはコトリ様。使うべきところを心得ていらっしゃる」

「なかなか曲者っぽいよね、グリンバルドって。基本、無理強いはしたくないけどそれはそれ、これはこれ!」


 とかなんとか言っている間に、少しの時間も無駄にしたくないとばかりにグリンバルドが古文書に目を通し始めてしまった。床で。


 ちょ、せめてテーブルと椅子を使って! 大事な古文書を床に置こうとしないでっ!!


 やれやれ、先が思いやられる。

 ひとまず様子を見ておきたいけど……暇だな。

 仕方ないので待っている間にグリンバルドのことをタブレットにまとめておくことにしよう。


=====


インテリ執事

名前:グリンバルド

外見年齢:年齢不詳、声の感じだと50代かな?

身長:アレクサンダーより頭一つ分高い。

必要魔力:4

紫髪の癖毛。前髪が長くて目が見えない。猫背だし陰のオーラ放ってる。

ひょろっとしてるし、どもりがちだし。ビクビク怯えるくたびれたおじさんって印象。

ただし一度乗ってくると早口になるオタク気質有り。人付き合いがとことん嫌な様子。


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