↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/38

平成26年⑥

8月中旬の夏休み。夜中の出来事から約1ヶ経った頃に名波さんからLINEがきた。

僕と一緒にご飯を食べに行きたいという内容だった。

渋谷駅のモヤイ像前に13時で待ち合わせをした。

名波さんはピンクのワンピースで前回会った時と雰囲気が変わっていた。

セミロングで淡いブラウンカラーの髪の色が大人の雰囲気がありドキッとした。

名波さんは満面に笑みで

「高瀬くん!久しぶり!」

と声を掛けた。

「久しぶり。名波さん雰囲気前よりもっと軽くなったね。」

「うん。そうかなぁ。それより高瀬くん!お腹空いた!ガッツリ食べたい!」

「何食べたい?」

「カレー」

「カレー?カレー屋さんあまり知らないんだよなぁ。CoCo壱ぐらいしか知らないんだよなぁ」

「高瀬くん!CoCo壱にしよう!」

僕は目を見開いて

「CoCo壱でいいの?しかも名波さん

こんなにおしゃれな服着てるのに。大丈夫なの?」

と聞いた。

名波さんは

「私、CoCo壱行ったことなくて、

お兄ちゃんが美味しいって言ってたから

行ってみたくて!大学行く途中にあるよね!?」

「まぁあるけど‥」

名波さんとの久しぶりの食事はCoCo壱になった。

少し変わってる辺りもいいじゃないかと思う気持ちもあった。

お互いチーズカレーを頼みカウンターで並んで食べた。

お昼の時間帯でもあり、周りはスーツ姿のサラリーマンばかりだった。

そこに僕らがカレーを食べてるのも変わった光景だった。

名波さんはカレーを食べながら

「実はね、彼氏と別れた!

別れ話とか色々あってもうしんどかったよ。でも今は気が楽になったけどね!」

と笑って言った。

僕は

「そっか。」

とカレーを食べながらボソッと答えた。

「だから、高瀬くんと久しぶりに出掛けられると思って!久しぶりに笑いたいし!」

「そんなに、面白いかな?」

名波さんは満目の笑みで

「高瀬くんはね、本当、私ツボなんだよねぇ!」と笑っていた。

この後、映画を見ようとなったがお互い見たい映画がなく時間帯で見て

ジブリの思い出のマーニーを見ることに決めた。

人生の初の映画デートということもあり集中して見れなかった。

映画を観た後感想を話そうということで

上島珈琲店に向かった。

「高瀬くん!マーニーがおばあちゃんだったのビックリだよね!」

「マーニーがおばあちゃん?誰が?」

名波さんは笑いながら

「高瀬くんしっかり映画見てた?寝てたんじゃない?」

と言った。

「いやいや、自分には難し過ぎたよ。」

名波さんは笑いながら

「ちょっとジブリの中では難しい内容だったよね。」

と言った。

「名波さん、一つ思い出したことあるんだけど。」

「何?」

「名波さんのお兄さんと会ったことあるかも!」

名波さんは口を大きく開けて笑いながら

「知ってるよ!私もお兄ちゃんから聞いてビックリしたの!だから高瀬くんってどんな子なのかって気になってたんだ!」

「え!?前から知ってたの?」

「うん。それをねエミリーに話してたかさ。

でね、初めて私たちが会った時あるでしょ?

その時にエミリーから、あれが高瀬だよって!言われて」

「エミリーのやつ。」

「だからやっとお兄ちゃんが言ってた子と会えたって思えて!そしたら高瀬くん凄く変な人でビックリしたよ!知らないふりしててごめんね!」

名波さんは楽しそうに話していた。

時間帯も夜になっており、渋谷駅まで一緒に帰ることになった。

夜の明治通りはサラリーマンや学生たちが渋谷駅に向かって歩いていた。名波さんはずっと僕に明日のサークルのメンツについて笑顔で語っていた。

渋谷駅の歩道橋を登る前、渋谷警察署の前で僕は立ち止まった。

僕はこのまま楽しく帰るつもりでいたが、急に足が止まってしまった。

本当にそういうつもりではなかったが、気持ちが急に揺れ動いてしまった。

名波さんは

ビックリしたように「高瀬くんどうしたの?」と声を掛けた。

僕は一回空気を吸って呼吸を整えた。

「名波さんが元気になってて良かったよ。」

「うん、高瀬くんが色々話し聞いてくれたり

笑わしてくれたからだよ。」

「名波さんは本当に明るくて周りの人を明るくしてくれる。でも、その分無理して明るくしてる所もあるのかなって。僕は名波さんが心からずっと笑顔でいられるようにしてあげたいと思った。

名波さんのそばにいたいって思う気持ちが凄く強くなった。

あまり上手なこと言えないし。

もしこれから言う言葉によってせっかく仲良くなったのに、関係が壊れるかもしれない承知の上で言うね。


僕は名波さんのことが好きです。」


僕はついに言ってしまったという後悔と変な達成感があった。

もし関係が崩れても言い出した僕が悪いんだし。

名波さんをまた悲しくさせちゃうのでは?

色んな気持ちが入り乱れた。

しかし、名波さんは笑みがなく若干俯いたままだった。

ただ、少し俯いたまま動かない。

周りの車の音や、人の話し声だけがやけに大きく聞こえる。


名波さんは一度、小さく息を吐いてから、ゆっくり顔を上げた。

「……ごめん、ちょっとだけ考えてもいい?」


僕は心の中でやってしまったと後悔をした時だった。


「高瀬くん‥ありがとう‥

こちらこそ、よろしくお願いします‥」

と言い小さくお辞儀をした。

僕は思ってた反応と違い明治通り辺りを少しキョロキョロしてしまった。

その様子を横で見ていた渋谷警察署の前で警棒を持っている警察の方と目が合い、警察の方がクビを縦に振って頷いた。

僕は名波さんの目の前に立ち

「名波さん、田園都市線まで送るよ。」と手を差し伸ばした。

名波さんは満面に笑みで手を握り

「春樹くんよろしくね!」

と言った。

僕は「花音さんよろしくね。」

と返した。

「花音でいいよ!」

と花音は言った。

「分かったよ!花音!自分は春樹でいいよ!」

「いーや、春樹くんかな!

春樹くんは春樹くんかな?」

「どういうことだよ」

笑いながら渋谷駅まで一緒に向かった。

花音の手は小さく温かった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。