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無垢な私を、裏アカ御曹司が溺愛して離さない  作者: Avelin


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6/8

震える鼓動、近づく距離

第6話では、璃音がますます「声」に惹かれていきます。


電話の余韻に眠れない夜。

社内で少しずつ変化していく自分に気づき、戸惑う璃音。


そして──ジュンからの2度目の電話。


その優しさに、心は大きく揺れていきます。


声が重なり、心が近づく。

新しい一歩を踏み出す回になっています。


どうぞ最後までお楽しみください。


眠れない。


電話を切ったあとも、耳の奥にあの声が残っている。


──低くて落ち着いた声。


「璃音……可愛い名前だね」


思い出すだけで、胸がじんわり熱くなる。


(あの人が……社長なの?)


(でも、そんなわけない……)


確信にも似た予感と、信じられない気持ちが胸の中でせめぎ合う。



怖いのに。


なのに──惹かれてしまう。


スマホを胸に抱きしめたまま、ぎゅっと目を閉じた。


どれだけ眠ろうとしても、彼の声が消えてくれなかった。


──私、もう後戻りできないのかもしれない。




翌日。


デスクで資料をまとめていると、

隣の席の男性社員に声をかけられた。


「白石さん、今度みんなで飲みに行かない?」


……え?

一瞬、耳を疑った。


今まで会社の男性から誘われるなんて、

一度もなかったのに。


「わ、私……?」


「うん。雰囲気、前より柔らかくなった気がしてさ。話しやすそうだなって」


さらりと笑顔で言われて、少し驚いた。


それと同時に、なんだかくすぐったいような気持ち。



昼休み、洗面所の鏡を覗き込む。


そこに映る自分の表情は……少し、柔らかくなっていた。


(……これ、私?)


思わず頬に触れる。


その瞬間、胸が熱くなる。


(恋をしてるから……?)


無意識のつぶやきに、さらに頬が赤くなっていく。




仕事帰り。


スマホが震えた瞬間、心臓がギュッとした。


画面には──「ジュン」の名前。


「今日も声が聞きたくて」


たったそれだけの短いメッセージなのに、胸の奥で大きな波が立つ。


(……声が、聞きたいって)


指先が震える。



気づけば、返事を打っていた。


──「私も……聞きたいです」



夜。


枕元に置いたスマホが鳴った。


着信表示を見た瞬間、胸がぎゅっと高鳴る。



「こんばんは、璃音」


低く落ち着いた声。


一日の疲れがすっと溶けていくような温かさだった。



「こんばんは……」


少し照れくさくて、でも嬉しくて。


声が震えるのを隠せなかった。


最初は、仕事のことや些細な日常の話。


お互いに笑い合ううちに、心の距離が少しずつ近づいていくのを感じる。



「不思議だな……」


「え?」


「飾らない自分を見せられるのって……」


その一言に、胸がぎゅっと締めつけられる。


まるで仮面を外した本音みたいで──


(……やっぱり、この人……)



ドキドキしている自分がいた。



通話を終えたあとも、胸の鼓動は収まらなかった。


「……どうして、こんなに声を聞きたいなんて思っちゃうんだろう」


枕に顔を埋めながら、小さくつぶやく。


心の奥でふと浮かんだ直感──。


(……この人が、本当に社長なのかもしれない)


けれどすぐに、現実の声が打ち消す。


(いや……ただの裏アカの人でしょ。私なんかに、そんなはずない)



──新着メッセージ。


「君の声に、僕はすごく救われてる」


(……私なんかの声で、救われてるって……)


「出会えたことに……感謝している」


画面を見つめた瞬間、胸が熱くなった。


目の奥がじんわり滲んで、涙がこぼれそうになる。



胸の奥から、初めての想いが芽生えていた。


──この人のために、何かしてあげたい。


(……私なんかが、そんな存在になれるの?)


迷いながらも、もし本当に会えたなら……そんな夢みたいなことを考えてしまう。



布団の中で、思わず小さな声が零れる。



「……会えたらいいのに」



その瞬間、私はメッセージを送っていた。


「ジュンさん、あなたに会いたいです。」


一文を送った瞬間、息が止まる。


(……わたし、なんてことを……)


裏アカからの返事は、最後まで届かなかった。



(そうだよね……無理に決まってる……よね)


期待と不安が一気に、胸をぎゅっと締めつけた。


返事の来ない画面を見つめながら、胸の奥で小さな痛みが広がっていく。



──夜の静寂の中、璃音の鼓動だけがやけに大きく響いていた。




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


第6話では、璃音の心が大きく動きました。


「声に救われている」というジュンの言葉。


その一言で、璃音の中に初めて「この人のために何かしたい」という想いが芽生えました。


──それは、恋の始まりの証。


次回は、さらに強まる二人のつながり。


そして、「会う」という言葉がふたりの関係にどんな意味を持つのか。


ぜひ引き続き見守っていただけると嬉しいです。

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