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こちとら命懸けてねぇんだわ。  作者: もち。
森とのつきあい方
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「おかえりー。もう俺暇すぎて死ぬかと思った」

割と命の危機もなく帰宅すれば出迎えてくれた海の最初の一言がこれだ。お前ほんとどうかと思うよ。

「私のおやつは無事か」

「流石に了承なく食わんわ俺でも。チョコレートバーくれよ」

「あれは散策時の非常食にすると決めてるから」

あのカロリー爆弾、インベントリに入れようと思ってて忘れてたんだわ。あと車にも何本か積んでたな……。

「じゃあそのうち貰える、と」

「前向きだよねお前」

あと爪切りな、リビングのお猫様グッズの中には入れてないんだわ。私の私物エリアにあるんだわ。悪いな。


「で、今回は割と平和な感じ?」

「まぁぼちぼち。親父が割と活躍した」

熱感知の爬虫類が発見されましてのことよ、と言えばマジかよと顰め面が返ってくる。とりあえず靴脱いで家に上がり込んで着替えることもせずに炬燵に一直線に向かえば、しらたまさんがごろにゃんして腹を見せて構えとおっしゃるのでとりあえずわしゃわしゃ撫でておいた。そうじゃないんだわとばかりに逃げられた。申し訳ございません。

「まーでも、スキルはやっぱり慣れんなぁ。ぱっと使うぞ、とはならん」

はー、と疲れた感じを演出しながら親父が腰に手を当ててぼやく。それに頷くようにして見せた母も

「結局スキル使ったの空だけだものねぇ」

と続けて言葉を放った。母さんもやろうかなとか思った時にはもう使ってるんだもの、と言われても困る。割とイニチアチブ大事だと思うよこれに関しては。

あと母よ、あなたは大体草むしってたよね。エネミーに関して警戒心がかなり低くなってはいませんか。スキルってそんなに絶対的に頼りになるものではないので油断はなさらないようお願いします本当に。

この人だけは単独で行動絶対ダメだなと思った。いや、どの道単独行動なんてしないしさせないけど。

「逆にスキルなしで活躍する親父が解んねぇな」

半笑いでそう言った海に、ほんとだよねぇと同意する。

いやホント、スキルがぱっと思いつかないにしても大体物理で問題解決するその応用力が意味不明である。助かったけど。頼もしかったけど。

「で、一応クリアになったけど散策組のご褒美として海くん触らずにおいてるので、薬局オープンしようぜ」

加熱式タバコ補充できるんじゃねぇのと言っているが、100本作ったオリジナルブレンドでも吸ってろ。無駄金使おうとするんじゃないよ。

散策用に色々買いこむ必要があるし、あと基礎化粧品欲しいな。使わないと肌がっさがさになる。もうオールインワンのやっすい奴でいいからせめて保湿だけでもさせてほしい。あと歯ブラシそろそろ新しいのに替えたい。ブラシが開いて来ている。歯の健康は大事である。虫歯ダメ絶対。そういえば虫歯ってキュアポーションで治ったりするんだろうか……?親父で試すか。幸いなことに私はこの年で虫歯ゼロであるので、確かめようがないのだ。

「洗剤ほしいわ。あと柔軟剤」

それは必須ですねわかります。

日用品の買い足しも急務であるようだ。スキル画面を展開して母がぽちっとオープン執行を選べば、相変わらずのイエクサの電子音声が流れて


『ご利用ありがとうございます。ドラッグストア・イエクサ、開店しました』


となる。

だからな、屋号にイエクサってつけなきゃいけないその縛りなんなの?お前多方面に業務展開しすぎじゃない?大丈夫なの経営。

しかしてようやく念願の薬局オープンだ。

散策用に大人用おむつは必須だし、あと野営を考えたなら汗拭きシートもマストだ。あと殺虫剤の類。絶対必要。それから水のいらないシャンプータオルとやらもあればきっと有用だろう。考えた奴天才かよ。風呂入れない環境ってどう考えても地獄よな……でもミドル・ポーションの材料集めに西の森に行かなきゃならんわけで。もう泊りがけで一気に採取してしまいたい。一株くらいは根ごと持って帰ってきたい。

どうかプランター栽培で増えますようにと祈りながらロー・ポーションぶちまけるから。

とは言え西は走った記憶が多いので、父とツーマンセルがベターだろうか。母には海の相手をしていて貰うか?日数放置するとコイツ寂しさで死ぬ気がする。

「ところで大人用おむつって、さらさらエアスルーしてくれんの?」

「いや知らん」

「海くんの繊細なおしりがあせもになったらどうすんの?」

「ベビパ買うからはたいとけ」

軟膏とかいるかな。あせもに効くやつとかあるのかな。あ、ロー・ポーションで何とかなるか?なればいいなぁ。ダメならベビーパウダーでなんとかなれば幸いではあるが。何にせよベピパのさらさらした感触好きなので買おう。

「ところでいきなり野営はリスキーなので、自宅結界範囲内で快適な野営の模索を具申します」

「お、いいね。おうちキャンプ。それなら俺も参加できるし」

なんせ寒さ対策は絶対に必要だ。あとテントは組み立ててからインベントリに入れておきたい。あと就寝準備な。インベントリが使えるのだからいっそ快適空間にしてしまいたい。

「今インベントリ何キロ入ったっけ?」

「41kg入るわよー。随分容量増えたわね」

「テントの重さは?」

「……8キロくらいかしら?骨組み込みで」

思ったより重かった。古いテントだもんなぁ……そうだよなぁ。あと家族4人、当時は子供だったとはいえなんとか転がれるサイズ感だもんなぁ。それなりに大きいよなぁ。

「大きさは2畳に収まるんだったよね?」

「それは大丈夫よー。たぶん」

多分かよ。まぁいい。それも調べればいいだけだ。とにかく一度自宅結界の範囲内で野営してみて、色々なアイテムの使い勝手を調べよう。

でも明日以降な。今日はもう家から出ない。絶対にだ。

そもそも私は家が大好きなタイプなので、そんなに積極的にお出かけしたいわけではない。必要だからそうしているだけで、可能なら引きこもっていたい。


「一つ疑問があるんだが」

ぽつ、と親父が首を傾げながら呟く。なんぞ、と全員が目を向けたなら

「インベントリって、中のもの腐ったりするのか?」

「え。時間停止とかがセオリーじゃないの?」

きょとんとした顔で母が言えば、目を閉じて重々しく溜息を吐いて

「セオリーなら裏切られるんじゃないのか?」

と。おっしゃるとおり過ぎる。

「……え。持ち歩く食料って日持ちするやつだけってこと?」

「可能性はあるな」

終わってんな。それ。

「とりあえず冷蔵庫にいる死にかけのほうれん草でも入れて試す?死ぬか死にかけのままか」

むしろ死にかけのほうれん草早く使ってあげてよ。かわいそうじゃないのよ。

「そこらへんの草ぶち込んでおけばいいんでねぇの?ほうれん草は食おうぜ」

「そうな。私もそこらへんの草でいいと思う。食べ物は大事にしような。ほうれん草食おうぜ」

「ほうれん草何に使うか悩んでる間に死にそうなのよ」

「バター焼きで充分美味しいよほうれん草。米も進むよ」

「俺は塩コショウでも好き」

「いや、ここは澄まし汁だろう。あれは美味い」

意見が割れた。だがしかし、ほうれん草さんがどのお姿になられても文句はないので良しとする。

しかし、インベントリの時間経過かぁ……てっきりないものだと思っていた。そうだよねぇ……そんな甘い話が転がってるなんて思っちゃ駄目だよねぇ。

そう考えたならポーションの賞味期限ってどれくらいなんだろう。時間経過しすぎるとお腹壊すとか言わねぇだろうな。

初期のポーション折に触れ鑑定して調べておこう。賞味期限切れの表示とか出るのかな……いや、出そうよな。きっと出るに違いない。


とりあえず色々買い込んでみたなら、リビングにぼこぼこと買った商品が積み上がっていく。

買った順番に出現するから重いものに押しつぶされる哀れな商品なんかも出てくるので、救助活動をしながらも買い足していけば少しずつ残高が目減りしていく。そう、私の貯蓄が減っていくのだ。

……いや、まぁ散策に行っている間の両親の食料を考えると、家に居る時は私の残高から使うのがベターなのだけど。こんなわけ解らん事態の為に貯めていたわけじゃないので何だか悔しいわ。

それにしてもこの商品どっから現れてるんだろう。買ったらぽこんとか言う電子音と共にいきなり現れるんだけど。イエクサさん、本当にどうなってるんですかマジで。この商品大丈夫?正規品だろうな。

もしも非正規であったとしても、質は向上させていてくれ。低品質商品とか真面目にキレるから。

「あ、俺のシェービングフォームも買ってほしい」

最近人に会わないからって無精ひげのまま放置してんなと思ってたらそんな理由かよ!しかたねぇなと購入。

こいつ髭剃らないと余計にチンピラ感増すんだよなぁ……

「電気シェーバーとかないの?」

「あるにはあるけど……」

なんだか嫌そうな顔をしている。何故だ。

「……あんま使ってると肌荒れすんだよな、あれ」

本当にお前肌弱いな!

「だからまぁ、野営の時はそれで耐えるにしても、家では使いたくないな」

「いや、野営の時こそ別に放置したらよくない?」

「もし現地人とのエンカウントあったらどうすんだよ。いきなり盗賊扱いとかされたら俺の繊細なハートは粉々よ?」

だから森の外縁くらいまで出たら身だしなみちゃんとする、と。え、じゃあ私もすっぴんじゃ拙いのでは?……いや、まぁいいか。それはいいや。面倒くさいし。

そしてそんな話はまだまだ先の事なのだから。

目下、快適なテント生活を探ってから西の森で薬草採取だ。でもってミドル・ポーションで海の足が治るかどうかの実験をして、駄目なら南より先に東に行くか。……うーん、悩む。

「ま、とにかく日用品が充実してひと段落ね。お昼にしましょうか、ほうれん草で」

そうしてくれ。ほうれん草よ永遠なれ。

あ、幅広の包帯も念の為買っておこう。あって困るもんでもないだろうし。あとガーゼとかの応急処置キット。ポーションでどうにもならない時には必要になるだろうし。使い捨てのビニール手袋もいいな。おお、安い。100枚入りとか素敵。そんな使わないだろうけど。

あ、防水スプレーとか薬局にあるのか。凄いな世の中進んでるな。……世の中?イエクサの中?どっちでもいいか。

元々薬局好きなんだよなぁ……無駄に買い物してしまう不思議空間だと思う。見てると色々欲しくなるから困るわ。

そっとウィンドウを閉じて欲求を遠ざけることにした。いくらでも買い物しそう。無駄遣いダメ絶対。

章分けを覚えました。日進月歩。

とりあえず25話までは森とのつきあい方で区切る予定で。

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