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ガールズトーク

「で?」


部屋に入った私達三人は

その時点で男子禁制の聖域となった

そして麗香のその言葉が

ある種の始まりを意味していた


「貴女達は誰が目当てなの?」


この旅行の主旨は言ってみれば

意中の男子と過ごす

擬似的な共同生活にある

となれば

私達女性も

その意中の男子が

違うなら応援し合う仲間

同じなら蹴落とす敵

つまりライバルになる

となれば

その確認は必須になる。


気持ちが変わる可能性もあるから

「ファイナルアンサー」と言っても

どこまで信用できるか

本人次第だけど

最終確認という意味では

本音を聞いておきたいのが

本音だと思う

けれどそれはライバル宣言

宣戦布告に近い

本当に本音で構わないのかというのも

当然ある。

麗香は分かりやすいから分かる

聞くまでもないと言ってもいい

ただ咲良が誰なのか分からない

元々天然と不思議系な子だから

心を読み難いのもある。

言ってしまえば楽になるだろうかと

思案しながら

咲良の言葉を待っていた

麗香は二人を見ていた

私は咲良を見ていた

咲良は興味無さそうにしていた

少しの沈黙が続いた


「私は信司君」


その言葉に二人は驚いた


「信司育成計画もばっちり」


親指立てていうかのように宣言

真っ先に驚きを口にしたのは麗香だった


「なんでまたあんなのを?

私は別に構わないけど」


驚き方が一瞬素だったので

お互いのカードが一緒なのか

どうかまでは微妙

そして…ガールズトーク特色とも言える

好奇心からの訊問が始まる

いつ?どこで?何が?どこが?

そんな事を問い詰められてもと

告白した女性は戸惑った

女なら分かるはず

恋をしたら相手の欠点ですら

愛すべき長所に変わることを

それはつまり

内藤信司への熱の高さの表現といってもいい

それを聞いてたもう1人に

黒い感情は抱いていないが

内心焦りを感じていた

相手の出方を見ようと思っていたら

本命が出てきた

完全に後手後手になってしまった

これだと後からでは

余計に言いづらい

ここで意中の相手が重なるなんて

誰に予測できただろう

内藤信司は競争率は高くなく

むしろ低くて

安全だと思っていた

ただ本音として

内藤信司が目的だと言いづらかったので

相手の出方を見ようと思っていた


「さあ言え」


って状況でも

言いづらかったけれど

言ってしまえる勇気があれば良かった

既に出てしまった名前を

もう一度言うのは

アイドルや俳優を愛でるのとは意味が違う

「それで?

そういう麗香は誰狙ってるの」


私は麗香に聞く

返答は聞くまでもないが

だからといって

言い出した人が部外者というのはおかしい

それに例え周知の事実でも

宣言させるというのは

それなりに意味がある

それは女性間の中だけにある。

法律の制定にも似て

だから気持ちが定まらない時には

中々口に出せなかったりする


「それは…その…ね

察してよ」


直接本人に告白するわけじゃないから

その辺りの意味合いが強い

まぁ…本当に「いい娘」もいるけど


「麗香と真澄は信司君だよね私はだあれ?」


咲良がそう言うと

麗香は今回二度目の衝撃を受けた

あまりの慌てぶりに

私は少しだけ冷静になれた


「ちょっ!!

そんなわけないじゃん

私には…和也が」


麗香はそう勢いで

反論してしまってから

気付いたようで後悔した

私も麗香の慌てようがなければ自爆していたに違いない。

携帯が鳴る

メールの着信音

麗香と咲良がふざけあっている中

それとなく携帯を覗く

それには

「考え直してくれ」と

短い文章の内容だった

馬鹿馬鹿しい

私は返信もせずに

携帯を閉じた


「メール?誰からよ?」


既に自爆した麗香は

もう怖いモノなく

お構い無しで地雷を踏んだ

私はメールの相手の顔を

連想してしまったが

すぐに打ち消し

私は体のいい嘘を言った


「お父さんからよ

もう…イヤになる」


私はうんざりした調子でいった。

うんざりしてたのは嘘じゃない


「なんでお父さんから?」


それを説明しなければならない

そういう面倒さが相まって

一応説得力があった。

その空気が浮わついた感じを静めた


「そっか

真澄のお父さん厳しいんだ?」


麗香

なんか凄く同情的な目で

見るのは何故?


「厳しいっていうか

…逆?」


私の言い難そうに話すと

麗香の驚きの感覚は

麻痺してしまったのかもしれない


「え…何

箱入り娘?」


私はもう苦笑うしかない


「自覚はないから

その言い方は止めてよ」


私は不機嫌を態度を示すと

その手の詮索を止めた

私達は狙う相手が同じなら

ライバルかもしれないが

そうでないなら

お互いに協力しあえる同士

気まずくして

その関係まで崩す

メリットはないのだろう。

そして…話は続いた

カマかけ

本音と建前

欺瞞と嘘

自爆と暴露

誰にも人間の奥深くまでは分からない

私は咲良のどこまでが本音かを

計りきれないまま

あまりに上手くやり過ごす彼女に

ある種の尊敬をしながら

話は終わってしまった。


私には皆に言えない秘密がある

それは誰にでも有り得る事だけど

秘密だから

知り合いには話せない

特にお父さんや麗香には

秘密というのは

さっきのメールに関係ある

「考え直してくれ」か

私だけが考えを改めれば

全てが丸く収まる話とかじゃないのは

分かりきった事なのに

今回の旅行は

皮肉っていうか

本当に計画されたような

作為的な感じがする

これが神様の気紛れじゃないなら

キナ臭い類いの感じがする

それは人喰い鬼の嫌がらせなんかより前から

私は麗香に話せない秘密があり

麗香は自分の気持ちを秘密にしている。

…さっき自爆したけど

咲良は最後まで本音を

煙に巻いて誤魔化そうとしていた

男達の思惑なんて

女の私には分からない


「何故?」


そんな言葉を投げ掛けなければ

きりがなくて

表面上だけの付き合いみたいだけど

そんな事はない

…と思う

一応断っておくけど

私達は仲が良い

ただみんなもう子供じゃないから

私達は理解り合ってるとか

繋がり合ってるとかいう気はない

私達は


「人に言えない隠し事や誤解、秘密などを前提にして

それでも私達は仲が良い」


それは謎でも答えでも

なんでもなく

それが人間関係ってモノだからね

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