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駐車場

空はこんなに青いのに

風はこんなに暖かいのに

太陽はこんなに明るいのに

どうしてこんなに

頭が痛いんだろ。

それは睡眠不足のせいではなく

僕がここに来た事を

まだ悩んでいたからだった。

僕は少なくとも

こんな事まで付き合う必要があるのだろうか?

そう考えると最後だ

皆と楽しみたい気持ちよりもそこに居たくない気持ちの方が勝ってしまう。

でも…結局は此処へ来てしまった

本当はそれとなく森田君に

今回の旅行は断っていた。


どう考えても

大学だけでの付き合いではない。


というより

自分がひどく場違いな気がしたから

けど…森田君はそれを拒否した。


「お前みたいなヤツ

誘わなきゃ付き合わないだろ?

だからいいんだって

楽しめばそれで」


確かにその通りだけど

その「楽しめば」が

僕に出来るか分からなかった。

佐々木君から

今回の旅行について

相談を受けた時

何故自分なのか分からなかった。

どんな風にすれば楽しめるか

どんな思い出が残す価値があるか

僕にとっては

全くの他人事だと考えいた

それでも真剣に考えた。


場所は観光地より

少し離れた山間の別荘地

だって僕の考えた計画が

「よかった」って肯定されたなら、

それはやっぱり嬉しい事だから

少し離れてはいるけど

近くに観光地があることのメリットもある

山間だけど下れば海もある

そこを道並みに進めば

海水浴場もある

何しろ長期滞在するなら

色々散りばめてないと

そればかりでは飽きてしまうのではと考えた。


言うには

麗香さんも行くっていうし

麗香さんの飽きっぽさと

我が儘ぶりは異常で

それでも純愛結婚がしたいと

本気で乙女な事を言った時には

なんだか微笑ましかったなぁ。


僕にツラく当たらなきゃ

いい人なのにな。

ちなみに僕は麗香さんにだけは

名前で呼んでいる。


麗香さんは自分の苗字が

もの凄く嫌いみたいで

前に「岩男さん」と

僕にとっては

普通に言ったつもりだったんだけど

麗香さんにとってはそうではなくて

殺されそうな目で僕を見て

散々怒られて謝って

それからは名前で呼んでる


容姿端麗を地で行く彼女にとって

「岩男」はある種の汚名

不名誉なんだろうな

その事ばかりは地雷とかではなくて

僕の不注意から来る過失だから

本気で謝った

許してもらった…と思う。


今は名前でさえ呼べば

逆鱗に触れるまではいかない。

でもやっぱり

麗香さんと一緒に旅行に行くなんて

僕には出来ないかな

大変だろうな

って思ってました。

此処にいる

車内で窓の向こうを見ながら

戻れぬ日々を…

って程でもないんだけど

それは紛れもない事実

なのに…憂鬱

だから…憂鬱


「黄金の蝶を探してる?」


僕が憂鬱な気分に浸ってる時に

声を掛けてきた。


「え…?」


その方を見ると桃井さんだった。


「黄金色の…蝶って

そういう蝶が…いるんだ…」


そんな蝶がいるなんて

聞いた事がなかったので

桃井さんに感心していたら


「いない」


と桃井さんに

あっさり否定された。


「そっか…

それは…ちょっと残念かな」


意味合いが分からないので

僕がそう答えると


「これが…普通か」


何故か桃井さんが気絶?

というか

殴られた体勢にみたいになってる。


「いや…ごめん。

「『僕は…取り返しのつかない事してしまった。

僕は…旅行に…来てしまった』

みたいな顔をしてるから」


心臓が止まるかと思った。


「そんなこと…ないよ」


僕は今の憂鬱と不安を

気取られないように

本当に今更

最後の最後で隠す事に必死になった。


「信司くん」


笑顔だった桃井さんが

僕の目を見ながら


「帰っちゃ…イヤだよ?」


その目は笑っていない

動いてもいない

ただ獲物を見定める

鷹の目のような眼光

僕の目は揺れる

心の動きと同じように


「ぷっ」


真剣だったはずの桃井さんは

吹き出して笑う

僕には何故桃井さんが

急に笑い出すのか理解できず

呆然としていた。


「やっぱりいいね信司君

やっぱりいいわ信司君」


クスクス笑う桃井さんに

僕は今までからかわれていた事を今更理解した。


6人のレンタカーで移動していて

運転は佐々木君

助手席は麗香さん

二列目に森田君と真澄さん

三列目に僕と桃井さんが座る

それぞれ話題で盛り上がっているのに

僕だけ窓の景色ばかり見ていて

面白くなかったので

僕がからかわれる事になった。


駐車場に着いて

外に出た皆はまず暑さに驚いていた。

夏の暑い日

しかも車で長時間クーラーの中から

いきなり紫外線の砂漠?に

放り出されるのだから

暑くないわけない

僕は1番最後に車から出た

皆は長旅で疲れたのか

思い思いに伸びとかをしている。


夏の暑さだけど

こうやって山とかに来て

思いっきり伸びとかして

新鮮な空気とか吸ったら

やっぱり気持ちいいのだろうか。

僕はやる気になれないけど

それよりも…今は…


「大丈夫よ

今はまだ機嫌がいいから」


僕にそう言ったのは石塚さん。


「そうみたい…だね」


いきなり不機嫌モードにはならなかったみたい

ちょっと安心


「そんな

今から畏縮しなくても

大丈夫だって」


石塚さんは優しく

そう言ってくれるが

貧乏籤は僕担当だろうし

やっぱりこういう旅行は初めてで

緊張と憂鬱と不安とと

色々混ざり合い

心中穏やかでない

けど駐車場だというのに

肝心の貸別荘が見えない

イヤな予感はした。


「え~!!」


いきなり不満爆発みたいな

麗香さんの声が聞こえてくる。

僕の予感が当たってしまった。


「何かあったの?」


僕と石塚さんは

皆のいる方へ向かう


「いや…今から貸別荘に向かうんだけどね」


森田君も苦笑ってて

なんだか歯切れが悪い


「30分よ!30分!?

長旅で疲れてるのに

これから重い荷物を持って

歩かなきゃいけないんだって信じられる?」


麗香がその不満と共に

状況ま説明してくれた。

そのせいで誰も

誰が或いは自分が悪いとは

言い出し辛くなってしまった。


「でも…暑いからって

いつまでもここに居られない

涼しくなるまで待ってたら

山道も危険だろうから

行くしかないだろ?」


佐々木君の意見に

誰も反論はしなかった

納得したかは微妙だけど

麗香さんも一応の納得

貸別荘へ歩き出した。


「大丈夫だよ

何かあればフォローしてあげるから」


と石塚さんが微笑んだ

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